自然言語処理モデルBERTとは?名前の由来と双方向から文脈を理解する仕組みを解説
こんにちは。ゆうせいです。
自然言語処理(NLP)の分野において、検索エンジンや自動翻訳などの基盤技術として広く活用されているモデルに、BERT(バート)があります。
新人エンジニアの皆様に向けて、BERTの名前の由来やその仕組み、メリットとデメリットについて、専門用語を交えながら分かりやすく解説します。
BERTの名前の由来と基本概念
BERTの正式名称は、Bidirectional Encoder Representations from Transformers(トランスフォーマーからの双方向のエンコーダ表現)です。
それぞれの単語の頭文字を組み合わせてBERTと名付けられました。同時に、アメリカの教育番組に登場するキャラクターと同じ名前であることも、親しみやすさから広く知られる一因となりました。
この正式名称に含まれる技術的な意味を分解して説明します。
まず、名称の最後にある「Transformers(トランスフォーマー)」とは、文の中の言葉と言葉の関連性を計算する仕組みを持つ、ニューラルネットワークの構成要素です。BERTはこのトランスフォーマーを基礎として設計されています。
次に、名称の最初にある「Bidirectional(双方向)」という特徴についてです。
従来のテキスト処理モデルは、文章を左から右、あるいは右から左へと、一方向のみに読み込んで処理をしていました。対照的に、BERTは文章の左側と右側の両方向から同時にテキストを読み込みます。
高校生の現代文の授業に例えてみましょう。
文章の中にある空欄に入る言葉を予想する問題を解くとき、空欄より前の文章だけを読んでも正しい言葉を推測するのは困難です。空欄の「前」と「後ろ」の両方の文脈を合わせて読むことで、初めて正しい言葉が何かを理解することができます。
前後の文脈を同時に捉えるアプローチを、双方向と呼びます。
BERTは、この双方向の解析によって、言葉の背景にある文脈をより深く理解できるようになりました。
BERTの学習を進める2つのステップ
BERTの動作は、2つの段階に分けて学習を行うことで実現されます。
事前学習
まず、特定の用途に限定しない膨大なテキストデータを用いて、言葉の一般的な意味や文脈のルールを学びます。
事前学習では、文章の一部をランダムに隠し、その隠された言葉が何であるかを前後の文脈から予測する訓練を行います。また、2つの文章が前後の関係として正しくつながっているかどうかを判定する訓練も同時に行います。
ファインチューニング
事前学習を終えた汎用的なBERTに対して、特定の目的に特化した少量のデータを追加して追加学習を行います。
段階的な学習を行うことで、文章の感情分析や、質問に対する回答の抽出といった、個別のタスクを高精度で実行できるようになります。
この段階的な学習の流れは、大学で一般的な教養を幅広く身につけた学生が、配属された研究室で特定の専門分野を深く学ぶプロセスに似ています。
BERTのメリットとデメリット
BERTを開発に導入するにあたり、把握しておくべきメリットとデメリットを示します。
メリット
- 双方向からのアプローチにより、文脈に応じた言葉の多義性を正しく解釈できます。例えば、金融の「口座」と、土木の「段差」といった同じ綴りの言葉であっても、周囲の単語から正確に見分けることが可能です。
- 事前学習済みのモデルが一般に公開されているため、少量の追加データを用意するだけで、自社の課題に応じた高精度なシステムを効率的に構築できます。
デメリット
- 双方向の文脈を考慮して大量の計算を行うため、処理を実行する際に多くの処理能力とメモリを必要とします。
- 文脈を深く分析することは得意ですが、ゼロから新しい文章をスムーズに作成する記述タスクにはあまり向いていません。
まとめと次の学習ステップ
BERTは、トランスフォーマーを基盤とし、文脈を前後の双方向から学習することで自然言語処理の精度を向上させたモデルです。
BERTの技術を実務に活かすための具体的な学習ステップを以下に示します。
- Hugging Face(ハギングフェイス)などのライブラリを利用して、すでに日本語で事前学習されたBERTのモデルをダウンロードする。
- サンプルのテキストデータを入力し、特定の言葉がどのように数値のリスト(ベクトル)に変換されるかをコード上で確認する。
- 公開データセットを用いて、ニュース記事のジャンル分けや、レビューの判定を行うファインチューニングの実装に挑戦する。
まずは、公開されている学習済みモデルを動かし、文脈を捉える精度を体験することから始めてみてください。
投稿者プロフィール

- 代表取締役
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セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
海外放浪の末、2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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学生時代は趣味と実益を兼ねてリゾートバイトにいそしむ。長野県白馬村に始まり、志賀高原でのスキーインストラクター、沖縄石垣島、北海道トマム。高じてオーストラリアのゴールドコーストでツアーガイドなど。現在は野菜作りにはまっている。

