個人情報の種類を理解する:要配慮個人情報とは何か
こんにちは。ゆうせいです。
ユーザーから個人情報を取得するWebアプリケーションやスマートフォンアプリを開発する際、扱う情報にはルールがあります。すべての個人情報が同じ扱いではなく、より慎重に取り扱うべき情報があることを、エンジニアが理解していることは重要です。特に「要配慮個人情報」という概念は、個人情報保護法で定義されており、システム実装やセキュリティ対策に直結します。本記事では、個人情報の種類とそれらの名前の由来、覚え方を解説します。
個人情報とは
個人情報保護法では、「個人情報」を「生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの」と定義しています。
簡潔に言うと、それが誰のものであるか特定できる情報が個人情報です。例えば、名前と生年月日が一緒にあれば個人情報です。しかし、「1990年生まれ」だけでは、特定の個人を識別できないため、個人情報ではありません。
個人情報には大きく二つの種類があります。一つは「個人識別情報」で、もう一つは「要配慮個人情報」です。
個人識別情報(通常の個人情報)
個人識別情報とは、個人を特定するために利用される基本的な情報です。これらは、ビジネス上で一般的に取得・利用される情報です。
具体的には、以下のような情報が含まれます。
氏名、住所、電話番号、メールアドレスなど、個人の連絡先に関する情報。
生年月日、性別などの属性情報。
会社名、職位など、職業に関する情報。
クレジットカード番号、銀行口座番号などの金融情報。
会員番号やユーザーIDなど、サービス内での識別番号。
これらの情報は、個人情報として保護される必要がありますが、「要配慮個人情報」ほどの厳格な取り扱いは通常は求められません。
要配慮個人情報とは
要配慮個人情報は、個人識別情報よりも、より慎重に取り扱う必要がある情報です。これらは、差別や不当な扱いにつながりやすいため、特別な注意が必要とされています。
個人情報保護法では、要配慮個人情報を以下のように定義しています。
本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪を犯したことがあること、犯罪により害を被ったことに関する情報。
健康診断の結果、医学的な検査の結果、医師の診断など、本人の身体や精神の状態に関する情報。
性生活に関する情報。
労働組合への加盟状況。
これらの情報は、単なる個人識別情報ではなく、プライバシーに対する強い保護が必要です。
名前の由来と覚え方
「要配慮個人情報」という名前は、日本語の構造から理解するとわかりやすくなります。
「要」という字は、「要る」「要する」という動詞の意味で、「必要である」を表します。「配慮」は、「気をつける」「配慮する」という意味です。したがって、「要配慮個人情報」は、文字通り「特に配慮(気をつけること)が必要な個人情報」という意味です。
覚え方としては、「要配慮」という二字熟語を「よう・はいりょ」と区切り、「(配慮が)要る情報」という理解をすると、概念が頭に残りやすくなります。別の覚え方として、「配慮がたくさん必要」という意味から「配慮が多い情報」と覚える方法もあります。
英語では、要配慮個人情報を「sensitive personal information」または「special category data」と表現します。「sensitive」という単語の「敏感な」「繊細な」という意味から、特に注意深く扱う必要があるという含意が伝わります。
要配慮個人情報の具体例
医療機関やクリニックが管理する患者の診療記録は、要配慮個人情報です。具体的には、患者の病名、処方された医薬品の情報、検査結果などが含まれます。
企業が従業員から取得する健康診断の結果も、要配慮個人情報です。血液検査の数値、健康状態の指摘など、従業員の健康状態に関するすべての情報がこれに該当します。
金融機関や保険会社が顧客から取得する情報の中には、要配慮個人情報が含まれることがあります。特に、生命保険の申請時に提出される医療履歴や、疾病に関する情報は要配慮個人情報です。
個人情報保護法における取り扱いの違い
個人識別情報と要配慮個人情報では、取り扱いに違いがあります。
個人識別情報の場合、本人の同意があれば、一般的には取得と利用ができます。ただし、データベースとしての適切な管理と、第三者への提供を制限することが必要です。
一方、要配慮個人情報の場合は、取得と利用の場面が法律で限定されています。医療に関する情報であれば、医療の提供を目的とする場合のみ取得が許可されます。原則として、本人の同意があっても、医療以外の目的で利用することはできません。
つまり、要配慮個人情報は「同意があれば何でもできる」という扱いではなく、「法律で認められた限定的な目的でのみ取得・利用できる」という制限があるのです。
エンジニアが実装時に気をつけるべき点
データベースを設計する段階で、どの情報が要配慮個人情報であるかを明確にしておく必要があります。要配慮個人情報に関連するテーブルやカラムには、特別なアクセス制御を設定します。
暗号化のレベルも、要配慮個人情報では厳格にする必要があります。個人識別情報はAES-256で暗号化する場合でも、要配慮個人情報はさらに強度の高い暗号化やハードウェアセキュリティモジュールの利用を検討すべきです。
アクセスログの記録も重要です。誰がいつ、どの要配慮個人情報にアクセスしたかを記録し、不正なアクセスがないか監視する仕組みを構築します。
また、要配慮個人情報を取り扱うシステムには、本人確認機能をより厳格に設定する必要があります。単なるパスワードではなく、二段階認証やバイオメトリクス認証の導入を検討すべきです。
個人情報保護以外の関連法律
要配慮個人情報は、個人情報保護法以外の法律でも重要です。
医療機関が患者情報を扱う場合は、医療法という別の法律が適用されます。この法律では、患者のプライバシー保護について、個人情報保護法と同等かそれ以上に厳格な要件が定められています。
労働組合に関する情報を使用者(雇用主)が取得する場合は、労働組合法で保護されています。これは、労働組合活動の自由を守るためです。
金融機関が金融商品を提供するときに、顧客から健康情報を取得する場合は、保険業法や銀行法による規制も受けます。
海外との違い
欧州連合のGDPR(一般データ保護規則)では、要配慮個人情報に相当する概念を「special category data」と呼びます。内容は日本の法律と類似していますが、より広範囲にカテゴライズされています。例えば、遺伝子情報もGDPRではspecial category dataに含まれます。
アメリカには、個人情報保護法に相当する統一された法律がなく、業界別・州別に規制が異なります。ただし、医療情報に関してはHIPAA(医療保険の携帯性と責任に関する法律)という厳格な規制があり、日本の要配慮個人情報の扱いと同等の保護が求められます。
まとめ
個人情報は大きく「個人識別情報」と「要配慮個人情報」に分けられます。「要配慮個人情報」という名前は、「配慮が必要である」という意味の日本語から命名されており、これらは健康情報、人種、信条、犯罪歴など、差別や不当な扱いにつながりやすい情報です。
法律上、要配慮個人情報は個人識別情報よりも厳格な取り扱いが要求されます。エンジニアがシステムを実装する際は、どの情報が要配慮個人情報であるかを早期に把握し、データベース設計、暗号化、アクセス制御の段階から、それに応じた対策を取る必要があります。
次のステップとして、実際に個人情報保護方針(プライバシーポリシー)を読み込んで、どのような情報をどのレベルで保護しようとしているのかを確認することをお勧めします。また、所属する企業や業界で適用される法律を特定し、その要件に応じたシステム実装を心がけることが、実務的なスキルの習得につながるでしょう。
投稿者プロフィール

- 代表取締役
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セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
海外放浪の末、2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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この記事に間違い等ありましたらぜひお知らせください。
学生時代は趣味と実益を兼ねてリゾートバイトにいそしむ。長野県白馬村に始まり、志賀高原でのスキーインストラクター、沖縄石垣島、北海道トマム。高じてオーストラリアのゴールドコーストでツアーガイドなど。現在は野菜作りにはまっている。
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