自己情報量の公式の覚え方と直感的理解:確率と情報量の関係
こんにちは。ゆうせいです。
情報理論の基礎となる自己情報量は、一見すると対数関数を用いた複雑な数式に見えます。しかし、日常の直感と数式を結びつけることで、公式の構造を無理なく記憶できます。数学的な前提知識がない方に向けて、自己情報量の公式の導き方と覚え方を順を追って解説します。
自己情報量とは何か
情報理論において、ある事象が起きたときに得られる「驚きの大きさ」や「新しさの度合い」を定量化した尺度を自己情報量と呼びます。
珍しい出来事ほど価値が高いという考え方
日常会話を例に考えてみます。例えば、天気予報で「明日は太陽が東から昇る」と聞いても、新しい情報は得られません。誰でも当たり前と分かっている出来事には、情報の価値がほとんど存在しないためです。
一方で、「明日は夏なのに雪が降る」という予報を聞いた場合、大きな驚きとともに多くの情報を得たと感じます。
このように、発生する確率が低い珍しい出来事ほど、起きたときに得られる情報の大きさ(自己情報量)は高くなります。反対に、発生する確率が高いありふれた出来事ほど、得られる情報の大きさは小さくなります。
自己情報量の公式とその構成要素
事象Eが起こる確率をP(E)と表すとき、事象Eが持つ自己情報量I(E)は以下の式で定義されます。
公式に含まれる各要素の意味を分解します。
確率の逆数にする理由
確率P(E)は、0より大きく1以下の値をとります。確率が小さくなるほど情報量を大きくしたい場合、最も単純な方法は確率の逆数を取ることです。
事象の起きにくさを表す倍率として解釈できます。例えば、確率が1/2(2回に1回起こる事象)であれば逆数は2となり、確率が1/100(100回に1回起こる事象)であれば逆数は100となります。逆数を取る操作によって、「確率が低いほど値が大きくなる」という関係が成立します。
対数(log)を取る理由
なぜ単なる逆数ではなく、対数を用いる必要があるのでしょうか。理由は情報の「足し算(加法性)」を満たすためです。
例えば、公正なコインを2回投げる場面を想定します。
- 1回目に表が出る確率は1/2です。
- 2回目にも表が出る確率は1/2です。
- 2回続けて表が出る確率は、1/2 × 1/2 = 1/4となります。
逆数だけで計算すると、1回ごとの値は2、連続で起きた場合は4になります。しかし、私たちが直感的に感じる情報量は、「1回目の情報」と「2回目の情報」を合計した量であってほしいと考えます。
掛け算を足し算に変換する数学的道具が、対数(log)です。対数を取ることで、確率の掛け算が情報量の足し算へと変換されます。
底として2を用いる理由は、コンピュータが扱う情報単位であるビット(0か1かという2択の質問の回数)に対応させるためです。裏表が等確率なコインを投げて結果を知る行為は、ちょうど1ビットの情報量に相当します。
自己情報量の公式を思い出すための3ステップ
試験や実務で公式を思い出す際は、以下の手順で組み立てます。
- 直感を思い出す:珍しい出来事ほど情報量は大きいため、確率Pの逆数(1/P)を置きます。
- 独立した出来事の足し算を思い出す:独立した事象の情報量を足し算にするため、対数(log)を被せます。
- 対数の性質を使って変形する:対数の公式によって、マイナスを前に出して整理します。
この変形手順を一度頭の中で再現できるようにしておくと、マイナスの付け忘れを防げます。

自己情報量を学ぶメリットと実務上の制約
自己情報量を理解することには、理論的な利点と考慮すべき制約が存在します。
客観的な利点
- データの圧縮効率を数理的に計算できるようになります。
- 機械学習における損失関数(交差エントロピー誤差など)の数学的背景を正確に把握できます。
- 通信路で送るべき情報ビット数の下限を定量的に評価できます。
考慮すべき制約
- 事象が起きる確率が事前に正しく定義・計測されていない場合、数値を算出できません。
- 意味の重要度(ニュースの感情的価値や金銭的損害など)は考慮されず、純粋な発生確率のみに依存した数値となります。
まとめ
自己情報量は、「起きにくさの度合い(確率の逆数)」を「情報の足し算ができる形(対数)」に整えた指標です。「珍しい事象ほど情報が大きい」という感覚を確率の逆数に結びつけ、独立試行の足し算のためにlogを取るという順序で捉えれば、公式を丸暗記する必要はありません。
今後は、この自己情報量をすべての事象について平均化した「平均情報量(エントロピー)」の計算へと進むことで、情報理論全体の体系的な理解へとつながります。
投稿者プロフィール

- 代表取締役
-
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
海外放浪の末、2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
この記事に間違い等ありましたらぜひお知らせください。
学生時代は趣味と実益を兼ねてリゾートバイトにいそしむ。長野県白馬村に始まり、志賀高原でのスキーインストラクター、沖縄石垣島、北海道トマム。高じてオーストラリアのゴールドコーストでツアーガイドなど。現在は野菜作りにはまっている。





