「人的資本経営の現在地と未来 ― IT企業の育成担当者が知るべき最新動向」

こんにちは。ゆうせいです。

近年、ビジネスの持続的成長には「人的資本」、つまり「人材」そのものが企業価値の源泉であるという考え方が注目を集めています。特にIT業界では、技術革新とともに人材のスキルアップや戦略的配置がますます重要になっています。

そこで今回は、2024年の「人的資本経営コンソーシアム」の調査結果をもとに、IT企業の育成担当者が知っておくべきキーポイントをわかりやすくご紹介します。


人的資本経営とは何か?

簡単に言えば「人材を資産として捉える経営」

「人的資本」とは、従業員一人ひとりが持つスキル、経験、知識、マインドセットといった“無形の価値”のことです。

これまで人は「コスト」として捉えられてきましたが、今は逆に「未来の成果を生み出す投資対象」として、経営の中核に位置付けられるようになっています。


調査結果から見える、IT企業に求められる3つの視点

2024年の調査では、特に以下の3点が重要なポイントとして浮かび上がりました。

① 経営戦略と人材戦略の「明確な連動」

たとえば、「DX人材を5年以内に50名育成する」などの具体的な人材ポートフォリオが必要とされています。
これは企業の目指す未来像から逆算して、「どんな人を・どれくらい・いつまでに」確保するかを明確にするものです。

例え話:野球チームで「全国優勝したい」と思ったときに、「ピッチャーを3人、キャッチャーを2人、エース候補は育成中」と戦略を練るのと同じです。

② ジョブ型人材マネジメントの導入

「誰がどの仕事を担うべきか」を明確にする制度です。調査では、IT企業の多くが“職務定義書の整備”や“成果主義評価”を導入中であると報告されています。

一方で、課題も多く挙がっています:

主な課題該当率
成果に基づく評価の設計が困難27.8%
専門人材の育成が追いついていない23.8%
パフォーマンス不良者への対応が曖昧24.6%

③ リスキルとキャリア自律の支援

IT企業にとって、従業員が自ら学び続ける環境の整備は急務です。

調査結果によると:

  • 69% の企業が社内でリスキルプログラムを設計・実施
  • 41% が大学など外部機関と連携した学習支援も活用
  • 47.9% が「離職率の低下に貢献した」と回答

IT育成担当者が今すぐ始めるべき4つのアクション

1. 人材戦略を「数値」と「時間軸」で描く

→ 例:「クラウドエンジニアを3年以内に20名確保」「若手PM候補を毎年5名育成」

2. 成果を可視化するジョブ型運用の設計

→ 職務定義書や評価指標をチームごとに見直す

3. 社員の学びとキャリアの接続

→ スキル習得が評価やキャリアパスにどうつながるかを“見える化”する

4. 社外ネットワークを活用する副業・兼業制度の整備

→ 新しい視点とスキルを社外からも取り込む文化をつくる


導入のメリットと注意点

メリットデメリット/注意点
スキルの見える化と人材育成の効率化評価の透明性が求められる
離職率の低下と従業員エンゲージメント向上制度導入にあたって現場の納得感が必要
採用ブランディング効果リスキルの定着には時間と資金が必要

終わりに — 次に学ぶべきことは?

人的資本経営は単なる人事の話ではなく、経営そのものです。
IT業界では、テクノロジーだけでなく「人をどう活かすか」が未来を決めます。

今後のステップとしては、以下のテーマを深掘りしてみましょう!

  • 「CHRO(最高人材責任者)」の役割と導入事例
  • 人的資本のKPI設計と投資対効果の測り方
  • AIを活用した人材情報基盤の整備方法

投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
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