「オンプレミス回帰」の背景
こんにちは。ゆうせいです。
今回は「オンプレミス回帰」について解説していきます。クラウド環境への移行が進む中、「オンプレミス回帰」という言葉が聞かれるようになってきました。これは一体どのような意味なのでしょうか?また、なぜ再びオンプレミス(自社内にサーバーやネットワークなどのインフラを保有・管理する方式)が注目されるようになったのでしょうか?一つずつ見ていきましょう。
オンプレミス回帰とは?
「オンプレミス回帰」とは、クラウド環境からオンプレミス環境に再び移行することを指します。多くの企業が一度クラウドを導入し、システムを外部のサーバーで運用するようになりましたが、何らかの理由で再び自社内のサーバーに戻すことを「オンプレミス回帰」と呼んでいます。
なぜオンプレミス回帰が増えているのか?
クラウドは、初期コストの低さやスケーラビリティ(必要に応じてシステムを拡張・縮小できること)の高さから、特に中小企業やスタートアップにとって大変魅力的でした。しかし、以下のような理由からオンプレミスに戻る企業が増えてきています。
- コストの増加
- クラウドは初期コストが安くても、使用量に応じて料金が発生する「従量課金制」のため、使えば使うほどコストがかさむことがあります。特に大量のデータを扱う企業や、常時稼働が必要なシステムでは、予想外の高額な請求が発生することもあります。
- セキュリティとプライバシーの懸念
- クラウドサービスは多くの企業やユーザーが共用するため、データの保護に不安を感じる企業も増えてきました。オンプレミスであれば、データを自社内で完結させ、物理的なセキュリティ対策も取りやすくなります。
- パフォーマンスの課題
- クラウドに依存すると、アクセスの遅延やネットワーク障害によってパフォーマンスが低下することがあります。特にリアルタイム性が求められるシステムでは、安定性を重視するためにオンプレミスが選ばれることもあります。
オンプレミスとクラウド、それぞれのメリットとデメリット
ここで、オンプレミスとクラウドの特徴を整理しておきましょう。
項目 | オンプレミス | クラウド |
---|---|---|
初期コスト | 高い | 低い |
ランニングコスト | 比較的安定(管理コストは発生) | 従量課金制で変動 |
セキュリティ | 高い(物理的管理が可能) | 共用環境でのリスクあり |
スケーラビリティ | 物理的制約がある | 自由に拡張可能 |
管理負担 | 自社で管理が必要 | サービス提供者が管理 |
それぞれに一長一短があるため、企業の規模や業務内容によって最適な選択肢は異なります。
オンプレミス回帰の具体例
例1:金融業界のケース
金融業界では、特にセキュリティの重要性が高く、顧客情報や取引情報の保護が最優先です。そのため、クラウド環境に移行した企業も多くのデータをオンプレミスに戻し、厳重なセキュリティ体制を敷いています。
例2:製造業のケース
製造業では、IoT(モノのインターネット)を使ったリアルタイムなデータ処理が増えています。クラウド環境での遅延が課題となることが多いため、オンプレミス回帰が選択されています。
オンプレミス回帰のデメリット
もちろん、オンプレミス回帰にもデメリットはあります。再び自社サーバーを設置するための費用がかかり、設備管理の負担が増えることは避けられません。また、インフラの維持やセキュリティ対策を怠ると、クラウドと同様にリスクが生じます。
まとめと今後の学習の指針
オンプレミス回帰の背景には、企業が求める「コスト管理」「セキュリティ」「パフォーマンス」などのニーズが反映されています。システムをどの環境で運用するかは、業務内容やリスク許容度に応じた選択が必要です。
次に学ぶべきテーマとして、ハイブリッドクラウドやエッジコンピューティングがあります。これらはオンプレミスとクラウドを組み合わせた形態で、それぞれのメリットを生かし、企業の多様なニーズに応える解決策として注目されています。
投稿者プロフィール
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セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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