「二重盲検試験(DBT:Double Blind Test)」と、「統計学」
こんにちは。ゆうせいです。
今日は「二重盲検試験(DBT:Double Blind Test)」と、それに欠かせない「統計学」について解説します。科学や医療、さらには心理学など、さまざまな分野で使用されているこの方法、聞いたことはあっても実際にはどういうものか分からない方も多いかもしれませんね。
二重盲検試験(DBT:Double Blind Test)とは?
まず、二重盲検試験とは何かを説明します。これは、新しい薬や治療法の効果を調べるときに使われる実験方法の一つです。この試験では、「被験者(実際に試験に参加する人)」だけでなく、「実験を行う研究者(試験を管理する人)」も、どの被験者がどの治療を受けているかを知らない状態で実施されます。
「盲検」とは、実験において特定の情報を意図的に隠すことです。たとえば、ある新しい薬の効果を調べる場合、被験者と研究者のどちらかが薬の種類を知っていると、無意識に結果に影響を与えてしまう可能性があります。これを「バイアス(偏り)」といいます。二重盲検試験では、被験者も研究者もその情報を知らないため、このバイアスの影響を最小限に抑えることができます。
二重盲検試験のメリットとデメリット
メリット
- バイアスの削減
被験者と研究者の双方が治療や投薬の内容を知らないため、意識的または無意識的な偏りが排除されやすくなります。 - 科学的な信頼性が高い
偏りの少ないデータが得られるため、結果の信頼性が高まり、他の研究者や医療機関からも信頼されやすい方法です。
デメリット
- 準備が複雑
二重盲検試験では、どの被験者がどの治療を受けるかを無作為に割り当てる必要があり、実施までに多くの計画や手間がかかります。 - 倫理的問題
特定の病気に対する効果的な治療が存在する場合、あえて効果が未知の治療を投与することは倫理的に問題となる場合があります。
統計学との関係
二重盲検試験は、得られたデータを解析するために「統計学」を使います。統計学とは、データを収集し、分析し、その傾向や関係性を明らかにする学問です。この試験で得られるデータが信頼性をもつためには、統計学的に正しく処理されることが必要です。
統計学的な検定
二重盲検試験で得られた結果が偶然の産物ではなく、実際に効果があるかどうかを確認するために、「統計的な検定(hypothesis testing)」という方法が使われます。検定には以下のようなものが含まれます。
- t検定:2つのグループ間の平均値に有意な差があるかどうかを調べます。たとえば、薬Aと薬Bの効果に違いがあるかを確認する場合です。
- カイ二乗検定:カテゴリ変数(例:治療効果がある/ない)について、観察された頻度と期待される頻度の差を調べます。
これらの検定を行うことで、実験結果が「有意な差を持っているのか」、つまり偶然ではなく実際に効果があるのかどうかを判断できます。
例:新薬の効果を検証する二重盲検試験
例えば、新しい花粉症の薬を試験するとしましょう。被験者グループを「薬を服用するグループ」と「偽薬(プラセボ)を服用するグループ」に分け、それぞれに二重盲検試験を行います。1ヶ月後、各グループの症状の変化を比較し、その結果をt検定などの統計学的手法で分析します。
- 実験デザイン:薬とプラセボのランダムな割り当て
- データ収集:薬を服用した人とプラセボを服用した人の症状スコア
- 統計的検定:t検定で2つのグループ間の症状スコアに有意な差があるか確認
このように、統計学を活用することで、薬が本当に効果があるのかを客観的に評価できます。
今後の学習の指針
二重盲検試験と統計学は、実証的な科学研究を進める上で重要な基礎です。もしこれに興味を持ったら、「無作為化」や「プラセボ効果」、さらに詳細な「統計的手法」についても学ぶと、より深く理解できるでしょう。
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投稿者プロフィール
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セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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