伝え方で判断が変わる心理:フレーミング効果の仕組みと研修への応用
こんにちは。ゆうせいです。
研修や業務において、同じ内容を伝えているにもかかわらず、言葉の選び方によって受講者の反応が大きく異なる場面が見受けられます。人間は、情報そのものの価値だけでなく、情報がどのような枠組みで提示されたかによって意思決定を変化させる傾向を備えています。本稿では、行動経済学におけるフレーミング効果について解説します。
フレーミング効果とは何か
フレーミング効果とは、全く同じ意味を持つ情報であっても、焦点を当てる部分や表現の仕方(フレーム)が変わることで、受け手の印象や選択が変化する心理的な傾向を指します。
高校生の予備校選びを例に説明します。ある予備校の合格実績について、「該当のコースを受講した生徒の90パーセントが志望校に合格しています」という説明と、「該当のコースを受講した生徒の10パーセントが志望校に不合格となっています」という説明を比較します。90パーセントの合格と10パーセントの不合格は、数学的に全く同じ状態を表しています。しかし、合格という表現を聞いた生徒はコースに対して安心感や期待を抱き、入塾を決定しやすくなります。一方、不合格という表現を聞いた生徒は、失敗するリスクに注意が向き、入塾をためらう傾向を示します。提示された枠組みが肯定的な要素か否定的な要素かによって、認識が変化する状態がフレーミング効果に該当します。
枠組みの設定による影響
フレーミング効果が人間の判断に与える影響を踏まえ、情報の提示方法を意図的に設定した場合の利点と不利益を列挙します。
フレーミング効果を適用する不利益
- 損失や失敗を強調する表現を多用すると、受講者の心理的な負担が増大し、研修への参加意欲が低下する
- 危険性を強調する枠組みで課題を提示することで、受講者が安全な選択肢のみを選び、新しい技術への挑戦を避けるようになる
- 意図的に情報を操作しているという印象を与えた場合、指導側への不信感が生じる原因となる
フレーミング効果を適用する利点
- 研修を受講して得られる利益を強調することで、受講者の学習に対する前向きな動機付けを形成できる
- 難易度の高い課題であっても、表現を肯定的な枠組みに変えることで、受講者の心理的な抵抗感を減らし、着手までの時間を短縮できる
- 状況に応じて枠組みを使い分けることで、危機感を持たせる場面と安心感を与える場面を適切に制御できる
伝え方を調整し学習を支援するステップ
受講者の認識を適切な方向へ導き、学習の促進を図るためには、以下の手順で情報の提示方法を調整する手法が有効です。
- 伝えるべき中核の情報を定義する研修を通じて受講者に理解してもらいたい数値や条件、結果などの基準となる情報を明確にします。
- 複数の表現方法を書き出す定義した情報に対して、利益を強調する表現と、損失を強調する表現の両方を作成し、比較可能な状態にします。
- 研修の目的に合わせて枠組みを選択する新しいスキルの習得を促したい場合は利益を強調する表現を選び、重大な事故を防ぐための安全規則を教える場合は損失を強調する表現を選ぶなど、目的に合致した表現を採用します。
- 伝達後の行動を検証する選択した表現を用いて情報を伝えた後、受講者の取り組み方や定着度合いを観察し、設定した枠組みが意図した効果を生んでいるかを確認します。
情報の見せ方を調整することで、受講者の心理的な負担を軽減し、目的に沿った行動を促す環境の構築が可能になります。
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投稿者プロフィール

- 代表取締役
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セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
海外放浪の末、2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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学生時代は趣味と実益を兼ねてリゾートバイトにいそしむ。長野県白馬村に始まり、志賀高原でのスキーインストラクター、沖縄石垣島、北海道トマム。高じてオーストラリアのゴールドコーストでツアーガイドなど。現在は野菜作りにはまっている。

