勾配法と勾配降下法の違いと機械学習における役割
こんにちは。ゆうせいです。
数学や機械学習の学習を進める中で、「勾配法」と「勾配降下法」という非常によく似た2つの専門用語に出会う場面があります。文献によって同じ文脈で扱われることもあれば、区別して記述されている場合もあり、両者が指す範囲にどのような違いがあるのか疑問を抱く初学者は少なくありません。
勾配法と勾配降下法が持つ数学的な定義の違い、それぞれの目的、そして機械学習における具体的な活用法について解説します。
勾配法と勾配降下法の基本的な違い
勾配法と勾配降下法の関係は、上位概念(広い概念)と下位概念(具体的な一手法)という分類で整理できます。
- 勾配法(総称)関数の傾き(勾配)の情報を手掛かりにして、関数の値が最大になる地点、または最小になる地点を段階的に探索する計算手法の総称です。
- 勾配降下法(最小化の手法)勾配法のうち、目的とする関数の値を最小にする地点へ向かって、勾配と逆の方向へ進んでいく具体的な手法を指します。
高校の山登りに例えて考えてみます。霧が濃く周囲の景色が見えない山の中で、足元の斜面の傾きだけを頼りに移動する状況を想像してください。このとき、傾きを手掛かりにして歩く行為全般が「勾配法」に相当します。その中で、ふもとの谷底(最も低い地点)へ降りるために下り坂の方向へ進む行動が「勾配降下法」です。反対に、山頂(最も高い地点)を目指して上り坂の方向へ進む行動は「勾配上昇法」と呼ばれます。
つまり、勾配法という大きな枠組みの中に、最小値を探す勾配降下法と、最大値を探す勾配上昇法の2つが含まれています。
機械学習における勾配降下法の位置づけ
機械学習の多くの場面では、勾配法の中でも勾配降下法が集中的に利用されます。
機械学習の目的は、予測値と実際の正解値とのズレ(誤差)をできる限り小さくすることです。このズレの大きさを数値として表した関数を「損失関数」と呼びます。損失関数の値が0に近いほど、予測の精度が高いモデルであると判断できます。
損失関数という谷底を目指すため、傾きを下る計算を何度も繰り返してパラメータを更新します。この更新式は次のように記述されます。
ここで、w は調整するパラメータ、記号 (イータ)は1回に進む歩幅を表す学習率、
(ナブラ)は損失関数の勾配を表します。勾配の符号にマイナスを掛けて進むことで、傾きを下る方向への移動を実現しています。
勾配法のメリットとデメリット
勾配法のメリット
- 高次元への対応力:調整すべき変数の数が数十万から数億におよぶ複雑なモデルであっても、微分によって傾きを算出できれば解の探索を進められます。
- 実装の標準化:目的とする関数が数学的に複雑な形状をしていても、現在地における傾きの計算を繰り返す基本アルゴリズムを一貫して適用できます。
勾配法のデメリット
- 局所最適解への埋没:目指すべき全体の谷底(大域的最適解)ではなく、途中の小さな窪み(局所的最適解)に入り込んだ際に、傾きが0となって移動が停止する危険性があります。
- 歩幅設定への依存:一度に進む歩幅(学習率)が大きすぎる場合は谷を飛び越えて発散し、歩幅が小さすぎる場合は最適な地点へ到達するまでに膨大な計算時間を要します。
まとめ
勾配法は傾きを利用して関数の極値を探すアプローチ全体の総称であり、その枠組みの中で関数の最小値を探索する特化型の手法が勾配降下法です。機械学習では誤差を最小化することが基本目標となるため、勾配法の代表例として勾配降下法が多用されています。
勾配法に関する理解を深めるための学習順序を提示します。
- 1変数の微分の復習高校数学で扱う微分の計算を振り返り、導関数の値が正のときは右上がりの傾き、負のときは右下がりの傾きを示す幾何学的な意味を確認します。
- 多変数の偏微分と勾配ベクトルの計算変数が2つ以上存在する関数において、各変数ごとに微分を行う偏微分の計算手順を学び、各成分を並べた勾配ベクトルが最も傾斜の急な上り方向を指す性質を確認します。
- アルゴリズムの拡張手法の学習基本的な勾配降下法が抱える局所最適解や計算効率の課題を改善するために開発された、確率的勾配降下法(SGD)やMomentum、Adamといった改良型の最適化アルゴリズムの仕組みを調査します。
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投稿者プロフィール

- 代表取締役
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セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
海外放浪の末、2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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学生時代は趣味と実益を兼ねてリゾートバイトにいそしむ。長野県白馬村に始まり、志賀高原でのスキーインストラクター、沖縄石垣島、北海道トマム。高じてオーストラリアのゴールドコーストでツアーガイドなど。現在は野菜作りにはまっている。

