新人研修講師が身につけたい「発問」のスキル
こんにちは。ゆうせいです。
今日は、新人研修の講師の方々に向けて「発問の種類」について解説します。研修の場で「質問」をうまく使いこなすことは、受講者の理解を深めたり、主体的な参加を促したりするために非常に重要です。ですが、質問にもさまざまな種類や使い方があることを知っていますか?
発問を効果的に行うためには、まず種類とそれぞれの特徴を理解することが大切です。それでは早速、発問の種類について見ていきましょう!
発問とは?
まず、「発問」という言葉の意味を押さえておきましょう。発問とは、講師や教師が受講者や生徒に対して問いを投げかけることです。ただ答えを引き出すだけではなく、考えさせたり、意見を引き出したりする役割も果たします。では、その具体的な種類について説明しますね。
発問の種類と特徴
1. 【閉じた発問】(クローズドクエスチョン)
特徴
- 答えが「はい/いいえ」や「A/B/C」のように限定されている質問です。
- 具体的な答えをすぐに得られるため、簡潔で分かりやすいのが特徴です。
例
- 「この手順は理解できましたか?」
- 「A案とB案では、どちらが有効だと思いますか?」
メリット
- 短時間で情報を収集できる。
- 初心者が答えやすく、研修の初期段階で特に有効。
デメリット
- 深い議論や思考を引き出すのには不向き。
- 会話が広がりにくい。
2. 【開いた発問】(オープンクエスチョン)
特徴
- 答えが自由で、受講者が自分の意見や考えを述べる質問です。
- 考えさせたり議論を活性化させたりするのに適しています。
例
- 「この状況で最適な解決策は何だと思いますか?」
- 「これまでの経験を踏まえて、どう感じますか?」
メリット
- 深い思考や主体的な意見を引き出せる。
- 受講者同士の交流や議論が生まれる。
デメリット
- 答えに時間がかかる場合がある。
- 受講者が消極的だと沈黙が生まれることも。
3. 【誘導発問】
特徴
- 講師が望む方向へ回答を導くための質問です。
- 受講者の理解を確認したり、正しい答えへ誘導したりする際に活用されます。
例
- 「この方法が効率的だと感じますよね?」
- 「これが成功するために必要なポイントは、○○ではないでしょうか?」
メリット
- 受講者が正しい答えに到達しやすい。
- 短時間で結論に導ける。
デメリット
- 自由な意見が出にくくなる。
- 強制的な印象を与える場合がある。
4. 【確認発問】
特徴
- 受講者が内容を正しく理解しているかを確認するための質問です。
- 重要なポイントを再確認する場面で役立ちます。
例
- 「このプロセスをもう一度説明してもらえますか?」
- 「先ほどの話で理解が難しかった部分はありますか?」
メリット
- 受講者の理解度を把握できる。
- 漏れなく進行を進められる。
デメリット
- 会話が広がりにくい。
- 受講者が質問を重圧に感じることがある。
5. 【発散型発問】と【収束型発問】
発散型質問
- 様々な視点から自由に考えを述べさせる質問です。
- 例:「どんな課題が考えられますか?」
収束型質問
- 答えを一定の範囲内に収める質問です。
- 例:「この3つの選択肢の中で、どれが最適ですか?」
両者をバランスよく使うことで、幅広い議論と具体的な結論の両方を引き出すことができます。
6. 全体発問
特徴
全体発問は、受講者全員に向けて投げかける質問のことです。講師が質問を提示した後、参加者全員に考える時間を与え、その後で答えを求めたり、議論を進めたりします。
例
- 「皆さん、この状況でどんな選択肢があると思いますか?」
- 「この問題を解決するにはどんな方法が効果的でしょうか?」
メリット
- 参加者全員に考えさせるきっかけを与える。
- 複数の意見や視点を引き出せる。
- 全体での一体感や議論の活性化につながる。
デメリット
- 一部の積極的な参加者ばかりが発言しがち。
- 消極的な受講者が黙ったままになる可能性がある。
7. 個別発問
特徴
個別発問は、特定の参加者を指名して質問する方法です。全体の議論が進む中で、特定の人に答えを求めたり、意見を聞いたりする際に使います。
例
- 「○○さん、この問題についてどう考えますか?」
- 「△△さん、先ほどの説明をもう一度整理していただけますか?」
メリット
- 個々の参加者に注意を促せる。
- 消極的な受講者にも発言の機会を与えられる。
- 個人の理解度や考え方を把握しやすい。
デメリット
- 指名されることをプレッシャーに感じる人もいる。
- 対象者を選ぶタイミングや配慮が必要。
8 自問自答
特徴
自問自答は、講師自身が質問を投げかけ、それに答える形式です。講師が進行をスムーズにするために、自ら問いを立てて答えを示すことで受講者の理解を促します。
例
- 「この状況では、どんな解決策が考えられるでしょうか?例えば、コスト削減や効率化が挙げられます。」
- 「なぜこの方法が有効なのでしょうか?それは、具体的なデータに基づいているからです。」
メリット
- 講師の考えをわかりやすく伝えられる。
- 受講者に考え方のモデルを示すことができる。
- 議論が停滞しているときの活性化に使える。
デメリット
- 一方的な進行になりがち。
- 受講者が受け身になりやすい。
9. リレー発問
特徴
リレー発問は、受講者同士が次々に質問や回答をつなげていく形式です。講師が最初の質問を投げかけた後、その答えに関連した次の質問を別の受講者に振るなど、発問をリレーのように展開します。
例
- 講師:「Aさん、この問題の原因は何だと思いますか?」
- Aさん:「○○だと思います。」
- 講師:「では、Bさん、それを踏まえて解決策はどうでしょうか?」
メリット
- 受講者間での交流が活性化する。
- 連続的な思考や議論が深まる。
- 講師の負担を軽減できる。
デメリット
- 受講者が質問に答えられない場合、流れが止まる。
- バランスよく発言機会を与える工夫が必要。
10. 切り返し発問
特徴
切り返し発問は、受講者の答えや意見に対してさらに問いを投げかけ、深掘りする方法です。一度の回答で終わらず、「なぜそう考えたのか」「他の選択肢はないのか」などを聞くことで、より深い理解を促します。
例
- 受講者:「私はA案がいいと思います。」
- 講師:「なるほど。では、なぜA案が最適だと考えたのですか?」
- 講師:「B案にはどんなデメリットがあると思いますか?」
メリット
- 思考を深め、論理的な考えを引き出せる。
- 議論や会話をさらに広げられる。
- 受講者の本質的な理解度を把握できる。
デメリット
- 受講者にとって難易度が高く感じる場合がある。
- 講師のスキル次第で深掘りが中途半端になる可能性がある。
効果的な発問のコツ
発問をうまく使いこなすためのポイントもいくつか紹介します!
- 目的を明確にする
- この質問をする目的は何か?考えを整理してから発問しましょう。
- 簡潔に、具体的に
- 長すぎる質問は受講者を混乱させます。
- 間(ま)を取る
- 質問後は、答えを待つ時間を意識的に確保してください。
- 質問の順序を工夫する
- 簡単な質問から始めて、徐々に深掘りしていくと効果的です。
今後の学習のために
発問のスキルは、一朝一夕で身につくものではありません。研修の現場でどんどん試しながら、受講者の反応を観察し、自分のスタイルを確立していきましょう。また、同僚講師や経験豊富な講師からフィードバックをもらうのもおすすめです。
発問を意識することで、研修の質が大きく変わります!ぜひ、今日学んだ内容を次の講義で試してみてくださいね。
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投稿者プロフィール
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セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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