機械学習で検証データに加えてテストデータを用意する理由と役割の違い

こんにちは。ゆうせいです。

機械学習のモデルを構築する際、収集したデータを「訓練データ」「検証データ」「テストデータ」の3つに分割することが標準的な手順とされています。学習に使う訓練データと、性能を確かめる検証データがあれば十分に見えるかもしれませんが、開発の現場ではさらに独立したテストデータを用意します。

検証データが存在する環境において、なぜ追加でテストデータを確保する必要があるのか、その背景とそれぞれの役割について解説します。

3つのデータの定義と役割の違い

機械学習のデータ分割は、高校生の学校生活における「問題演習」「模擬試験」「大学入試本番」の関係に置き換えて考えると整理しやすくなります。

  • 訓練データ(問題集や教科書)モデルがパターンの学習を進めるために直接読み込むデータです。生徒が日常的に解く練習問題に相当します。
  • 検証データ(定期テストや模擬試験)複数のモデル構造や設定値の候補を比較し、最も精度の高い組み合わせを選ぶために使うデータです。模試の結果を見て「どの勉強法や参考書が適切か」を調整する役割を持ちます。
  • テストデータ(入試本番の試験問題)完成したモデルが未知のデータに対してどれだけの精度を発揮できるかを、最終評価するために一度だけ使うデータです。模試を重ねて対策を完了した受験生が挑む、本番の初見問題に相当します。

過学習とデータ漏洩の防止

機械学習において重要な目標は、学習に使っていない未知のデータに対しても正しく予測できる汎化性能の獲得です。

検証データを用いてモデルのパラメータ調整やアルゴリズムの選定を繰り返すと、モデルはその検証データの特徴に過剰に適応し始めます。これは、特定の模試の出題傾向に特化して勉強した結果、その模試の点数だけが高くなり、真の実力が把握できなくなる現象と同じです。この状態を機械学習では過学習と呼びます。

検証データによる調整を繰り返す過程で、モデル制作者は検証データの結果を見ながら調整の判断を下すため、間接的に検証データの情報がモデルへ漏れ出します。そのため、調整の過程で一度も判断材料として参照されていない完全な未知のデータとして、テストデータが必要となります。

検証データとテストデータの比較

検証データの利点と留意点

  • 利点:学習の進行状況を把握でき、最適なモデル構造やハイパーパラメータの組み合わせを客観的に選定できます。
  • 留意点:選定や調整の回数を重ねるにつれて、検証データに対する特化が進み、実際の運用環境における性能との乖離が生じます。

テストデータの利点と留意点

  • 利点:開発段階の調整による影響を一切受けていないため、実際の運用環境へ導入した際の汎化性能を正確に測定できます。
  • 留意点:評価に用いる機会が最終段階の一度のみに限定されるため、全体のデータ数が少ない場合には検証や訓練に割り当てるデータ量が圧迫されます。

学習を深めるためのステップ

機械学習のデータ設計に関する理解を深める手順を提示します。

  1. ホールドアウト検証の実装手元のデータセットを訓練、検証、テストの比率(例:70対15対15)に分割し、それぞれのデータが学習、調整、評価のどの段階で呼び出されるかをプログラム上で確認します。
  2. ハイパーパラメータ調整による精度の推移観察検証データの精度を指標として設定値を変化させた際、検証データの精度が向上し続ける一方で、テストデータの精度が低下する過学習の発生境界を記録します。
  3. 交差検証の適用データ数が限られる場合に用いられるk分割交差検証などの手法を学び、検証データの偏りを抑えつつテストデータを独立して確保する枠組みを構築します。

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
海外放浪の末、2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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学生時代は趣味と実益を兼ねてリゾートバイトにいそしむ。長野県白馬村に始まり、志賀高原でのスキーインストラクター、沖縄石垣島、北海道トマム。高じてオーストラリアのゴールドコーストでツアーガイドなど。現在は野菜作りにはまっている。