生成AIパスポート試験とG検定はどちらを受けるべきか?

こんにちは。ゆうせいです。

社内でAI関連の資格を取らせたい。そう考えたとき、まず候補に挙がるのが生成AIパスポート試験とG検定です。

どちらを選ぶべきか、あるいは両方受けさせるべきか。この判断は、対象者と目的によって明確に分かれます。この記事では、両者の違いを整理し、人材育成の観点からの使い分けを示します。

結論

先に推奨案を示します。

全社員のリテラシー底上げが目的であれば、生成AIパスポート試験を選んでください。生成AIの使い方とリスクに焦点が絞られており、非エンジニアでも取り組めます。

IT部門や企画部門の人材に、AI技術の全体像を身に付けさせたいのであれば、G検定です。ディープラーニングの仕組みや歴史、法制度まで含む広い範囲を扱います。

両方を実施する場合は、生成AIパスポートを先に、G検定を後にする順序を推奨します。逆の順序では、易しい試験に取り組む動機が生まれにくくなります。

基本情報の比較

まず、事実関係を整理します。以下は2026年8月時点で公表されている情報です。

項目生成AIパスポート試験G検定
主催一般社団法人生成AI活用普及協会(GUGA)一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)
正式名称生成AIパスポート試験JDLA Deep Learning for GENERAL
受験資格制限なし制限なし
試験形式オンライン(IBT方式)オンライン、または会場
試験時間60分オンライン100分、会場120分
出題数60問145問程度
受験料(一般)11,000円(税込)13,200円(税込)
受験料(学生)5,500円(税込)5,500円(税込)
開催回数年5回オンライン6回、会場3回

生成AIパスポート試験の概要

試験はオンラインのIBT方式で実施され、試験時間は60分、問題数は60問です。受験資格に制限はなく、受験費用は一般が11,000円(税込)、学生は5,500円(税込)です。

受験期間は月単位で設定されており、たとえば2026年6月試験であれば、6月1日から6月30日までの間に受験します。期間内であれば都合のよいタイミングで受けられるため、業務との調整がしやすい形式です。

出題形式は4択の選択式です。

G検定の概要

JDLAの発表によると、G2026#1より試験時間および出題数が変更されました。オンライン試験は100分で小問145問程度、会場試験は120分で小問145問程度です。受験料は一般13,200円(税込)、学生5,500円(税込)です。

なお、旧仕様として160問や220問といった情報が残っている場合がありますが、これらは過去の出題数です。受験を検討する際は、この点に注意してください。

2026年は、オンライン試験6回に加えて、会場試験3回が開催されます。

合格率の比較

両者とも、合格率は高い水準にあります。

試験直近の合格率
生成AIパスポート 2026年2月78.84%
生成AIパスポート 2026年4月79.35%
生成AIパスポート 2026年6月79.90%
G検定 2026年第1回78.77%
G検定 2026年第2回77.04%
G検定 2026年第3回82.40%

生成AIパスポートの2026年4月試験は、受験者9,436名のうち合格者7,487名で、合格率は79.35%でした。2026年2月試験は受験者28,415名、合格者22,401名で、合格率78.84%です。6月試験は受験者21,752名、合格者17,380名で、合格率79.90%でした。

G検定の2026年第1回は、受験者8,529名のうち合格者6,718名で、合格率78.77%です。第2回は受験者12,027名、合格者9,265名で合格率77.04%。第3回はオンラインと会場を合わせて受験者8,305名、合格者6,843名で、合格率82.40%でした。

数字だけを見ると、両者に大きな差はありません。しかし、これは難易度が同じという意味ではありません。

理由は二つあります。一つは、受験者層が異なることです。G検定は、もともとITや技術に関心のある層が中心です。もう一つは、出題内容の性質です。次の節で詳しく見ます。

出題内容の違い

ここが最も重要な比較軸です。

観点生成AIパスポートG検定
中心テーマ生成AIの活用とリスク管理AI全般とディープラーニングの技術
AIの歴史概要程度詳しく問われる
機械学習の手法ほとんど出ない主要な手法を幅広く出題
ディープラーニングの仕組み概要程度中心的な出題範囲
プロンプト設計出題される限定的
法律、倫理出題される出題される
数学的な計算問われない直接的な計算問題は少ない

生成AIパスポートの出題内容は、AIの基本的な仕組みや活用事例、コンプライアンスに関する基礎知識が中心であり、数学的な計算や専門的なプログラミング知識は問われません。

一方、G検定は範囲が広く、探索木や統計的機械学習といった古典的な手法から、ニューラルネットワークの構造、学習の最適化手法、そして各分野への応用まで含みます。用語の数が圧倒的に多くなります。

つまり、両者は難易度の高低ではなく、扱う領域が違います。

シラバスの改定について

生成AIパスポートは、2026年2月試験より新しいシラバスが適用されています。RAG、AIエージェント、最新のAIモデルが追加され、2025年6月に公布されたAI新法の内容も反映されました。

また、2026年から試験回数が年3回から年5回に拡大されています。

G検定のシラバスも定期的に改定されます。受験前には、必ず主催団体の公式サイトで最新の出題範囲をご確認ください。

どちらを選ぶかの判断基準

対象者別に整理します。

対象者推奨理由
営業、事務、企画などの非エンジニア生成AIパスポート業務での使い方とリスクに直結する
新人エンジニアG検定技術の全体像を早い段階で把握できる
IT企業の営業担当両方顧客との会話に技術用語が必要
管理職生成AIパスポート部下の利用を管理する立場として適切
データ分析に進みたい人G検定E資格への足がかりになる
全社員一斉に実施生成AIパスポート学習負担が軽く、範囲が実務に近い

生成AIパスポートを選ぶべき場面

社内で生成AIの利用を開始する、あるいは既に利用が広がっているが管理が追いついていない。この状況であれば、生成AIパスポートが適しています。

理由は、扱う内容が実務のリスクに直結しているからです。機密情報の入力、著作権の扱い、出力の誤りへの対処。これらは、技術者でなくても知っておく必要があります。

G検定を選ぶべき場面

AI関連の案件に関わる部門、または今後関わる予定の部門であれば、G検定です。

顧客と会話する際、機械学習とディープラーニングの違い、教師あり学習と教師なし学習の区別、過学習という概念。こうした語彙がないと、話が噛み合いません。

なお、G検定に合格すると、デジタルリテラシー協議会が発行する「DX推進パスポート」のオープンバッジを取得できます。社内での可視化や、対外的な提示に使える点は、企業研修の観点では利点になります。

費用の比較

100名に受験させる場合を計算してみます。

生成AIパスポートの場合、次のようになります。

11000 \times 100 = 1100000

110万円です。

G検定の場合は次のようになります。

13200 \times 100 = 1320000

132万円です。差額は22万円になります。

ただし、実際の負担はこれだけではありません。学習時間も費用として計算する必要があります。

仮に時給換算3,000円、生成AIパスポートの学習に15時間、G検定に40時間を要すると仮定します。

生成AIパスポートの場合は次の通りです。

3000 \times 15 \times 100 = 4500000

G検定の場合は次の通りです。

3000 \times 40 \times 100 = 12000000

学習時間を含めると、差は約750万円に広がります。受験料の差より、こちらのほうがはるかに大きくなります。

学習時間の見積もりは個人差が大きく、あくまで試算です。ただし、対象人数が多いほど学習時間の差が効いてくるという構造は変わりません。全社展開を検討する際は、この点を必ず考慮してください。

なお、GUGAには企業向けの申込制度と割引制度があり、法人会員になれば1名から割引が適用されるとされています。複数名での受験を計画する場合は、主催団体に直接ご確認ください。

研修設計への落とし込み

資格取得を研修として設計する場合の構成案を示します。

生成AIパスポート対策の場合

想定時間は、集合研修6時間と自己学習10時間程度です。

内容
第1回(3時間)生成AIの仕組みの概要、主要なサービスの特徴、プロンプトの基本
第2回(3時間)情報漏洩、著作権、ハルシネーション、社内ルールの読み合わせ
自己学習公式テキストと模擬問題

第2回に社内ルールの読み合わせを入れる点が要点です。試験対策と実務のルール整備を同時に進められます。

G検定対策の場合

想定時間は、集合研修12時間と自己学習30時間程度です。

内容
第1回(3時間)AIの歴史、三度のブーム、探索と推論、知識表現
第2回(3時間)機械学習の手法、評価指標、過学習と正則化
第3回(3時間)ニューラルネットワーク、誤差逆伝播、CNN、RNN
第4回(3時間)最新技術の動向、法律、倫理、社会実装
自己学習用語の暗記と問題演習

G検定は用語数が多いため、集合研修だけでは合格に届きません。自己学習の時間をどう確保するかが、実施上の最大の課題になります。

実施時の注意点

四点あります。

一つ目は、合格を目的にしないことです。資格は手段であり、業務での行動が変わらなければ意味がありません。研修の最後に、学んだ内容を自分の業務にどう適用するかを書かせる時間を設けてください。

二つ目は、試験形式の理解です。両者ともオンライン受験が中心で、自宅や職場から受けられます。安定した通信環境と、静かな場所の確保を事前に案内してください。

三つ目は、シラバスの改定です。生成AI分野の変化は速く、出題範囲も更新されます。前年の教材をそのまま使い回すと、最新の内容が抜けます。実施のたびに公式シラバスを確認してください。

四つ目は、合格ラインの扱いです。両試験とも、合格基準の詳細が常に公表されているわけではありません。目標得点を社内で設定する場合は、余裕を持った水準にしてください。

まとめと次の検討ステップ

生成AIパスポート試験とG検定は、難易度で選ぶものではありません。扱う領域が違います。

生成AIを使う側のリテラシーを揃えたいなら、生成AIパスポート。AI技術の全体像を理解させたいなら、G検定。この切り分けが基本です。

合格率はいずれも8割前後で、資格試験としては取り組みやすい水準です。ただし、G検定は範囲が広く、学習時間の確保が課題になります。全社展開を検討する際は、受験料より学習時間の総量で判断してください。

次の検討ステップとしては、E資格の位置づけを確認するとよいでしょう。E資格は、JDLA認定プログラムを試験日の過去2年以内に修了することが受験資格として必要で、120分の多肢選択式、100問程度、指定会場での受験となります。Pythonやフレームワークを使った実装に関する問題が含まれます。

G検定で概念を固め、E資格で実装まで踏み込む。この二段構えが、AI人材育成の標準的な道筋です。ただしE資格は認定プログラムの受講費用が別途必要になるため、対象者を絞って実施することをおすすめします。

なお、試験制度、受験料、開催スケジュールは変更される場合があります。実施を決める前に、必ず各主催団体の公式サイトで最新情報をご確認ください。生成AIパスポートはGUGA、G検定とE資格はJDLAの公式サイトが一次情報になります。

セイ・コンサルティング・グループでは新人エンジニア研修のアシスタント講師を募集しています。

投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
海外放浪の末、2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
この記事に間違い等ありましたらぜひお知らせください。

学生時代は趣味と実益を兼ねてリゾートバイトにいそしむ。長野県白馬村に始まり、志賀高原でのスキーインストラクター、沖縄石垣島、北海道トマム。高じてオーストラリアのゴールドコーストでツアーガイドなど。現在は野菜作りにはまっている。