相関分析と単回帰分析の違いは?

相関分析と単回帰分析は、データ分析の中で頻繁に使われる手法ですが、それぞれ異なる目的とアプローチを持っています。初心者の方にも理解しやすいように、丁寧に説明していきますね。

相関分析とは

まず、相関分析について見ていきましょう。相関分析とは、2つの変数の間にどのような関係があるのかを調べる方法です。この関係の強さや方向を数値で示すことで、どの程度関連しているかを把握することができます。例えば、気温とアイスクリームの売り上げに相関があるかどうかを調べたいとしましょう。気温が高いとアイスクリームの売り上げも増える、というような傾向があるなら、それは正の相関と言えます。

相関係数

相関分析でよく使われる指標に相関係数(Pearsonの相関係数など)があります。相関係数は一般的に-1から1の範囲で表されます。

  • +1に近い場合:強い正の相関があります(片方の値が増えると、もう片方の値も増える)。
  • -1に近い場合:強い負の相関があります(片方の値が増えると、もう片方の値は減る)。
  • 0に近い場合:ほとんど相関がない(2つの変数に関係が見られない)。

相関分析の特徴

  • 対称性がある:変数Aと変数Bの相関は、変数Bと変数Aの相関と同じです。
  • 因果関係を示さない:相関があるからといって、一方がもう一方を引き起こしているとは限りません。

たとえば、夏になると溶けるアイスクリームと海辺にいる人の数には相関があるかもしれませんが、アイスクリームが溶けることが人々を海に引き寄せているわけではありません。これが因果関係を示さないということです。

単回帰分析とは

一方、単回帰分析は、1つの変数が別の変数にどのように影響を与えるかをモデル化する手法です。これは、ある変数(説明変数または独立変数)が変わったときに、もう1つの変数(目的変数または従属変数)がどのように変わるかを予測するために使われます。

たとえば、アイスクリームの売り上げを予測するために気温のデータを使うとします。気温が1度上がるごとに、アイスクリームの売り上げが何個増えるかを知りたいとき、単回帰分析を使います。

回帰方程式

単回帰分析では、次のような回帰方程式を使います:

[
y = a + bx
]

  • y:目的変数(予測したい値)
  • a:切片(xが0のときのyの値)
  • b:傾き(xが1単位増加するときのyの増加量)
  • x:説明変数(独立変数、予測に使う値)

この式を使うことで、どのように変数が影響し合っているかを数値的に表すことができます。

単回帰分析の特徴

  • 因果関係を示すことができる(ただし、前提条件が満たされている場合)
  • 変数間の影響の大きさを定量的に測ることができる
  • 片方向の関係性を考慮するため、説明変数と目的変数を明確に区別

相関分析と単回帰分析の違い

比較項目相関分析単回帰分析
目的変数間の関係の強さと方向を見る変数間の因果関係をモデル化し、予測する
因果関係の有無因果関係を示さない因果関係を示す場合がある
対称性あり(AとBの相関はBとAと同じ)なし(説明変数と目的変数は異なる)
数式相関係数(-1から1の範囲)回帰方程式 (y = a + bx)
方向性の区別方向性は関係なし説明変数と目的変数の方向を明確に区別

まとめと今後の学習の指針

相関分析は、変数同士がどの程度関係しているかを確認するための方法であり、単回帰分析はその関係を使って予測や因果関係の分析を行うための手法です。これらの分析手法は、データに基づいて意思決定を行う際の強力なツールとなりますが、どちらの手法も使い方を誤ると誤った結論を導いてしまう可能性があります。

次に進むべき学習としては、多変量回帰分析や重回帰分析など、複数の変数を考慮に入れたモデルに進むと良いでしょう。そうすることで、より複雑なデータを扱いながら、より正確な予測や分析が可能になります。また、因果関係を見極めるために「因果推論」についても学ぶと理解が深まりますよ。