研修の学習効果を左右する感情の働き:アフェクトの仕組みと対策

こんにちは。ゆうせいです。

研修を実施する際、受講者が特定のテーマに対して、内容を理解する前に拒絶反応を示す、あるいは逆に強い関心を示す状態に直面することがあります。人間は情報を処理する際、分析を行う前に、瞬間的な感情の動きによって判断の方向性を決定する傾向を持っています。今回は、心理学および行動経済学の概念であるアフェクトについて解説します。

アフェクトとは何か

アフェクトとは、外部からの刺激に対して無意識かつ瞬間的に生じる、快または不快という単純な感情の動きを指します。対象に対して抱く第一印象の感情的な色合いとも言えます。

高校生の時間割を例に説明します。ある高校生が、時間割表にある数学という文字を見た瞬間、教科書を開く前に胸のあたりが重くなり、避けたいという感情を抱いたとします。一方で、体育という文字を見た瞬間には、気持ちが軽くなり、前向きな感情を抱いたとします。科目の内容について深く考える前に、文字を見ただけで瞬時に生じる嫌だ、楽しいという身体的な反応を伴う感情の動きが、アフェクトに該当します。

アフェクトによる影響と理解する利点

アフェクトの仕組みを考慮せずに研修を進行した場合に生じる不利益を列挙します。

  • 過去の経験から不快なアフェクトと結びついている専門用語をそのまま使用することで、受講者が情報の受け入れを拒絶する
  • 講師が冷たい声のトーンで話すことで研修全体に不快なアフェクトが付与され、受講者の参加意欲が低下する
  • 対象に対する否定的な感情が先行し、提供する情報が有益であっても学習内容が定着しない

一方で、無意識に生じる感情の動きを理解し、研修の設計に組み込む利点を示します。

  • 複雑な課題に対して受講者が親しみを感じる言葉を意図的に用いることで、心理的な障壁を取り除くことができる
  • 肯定的な感情と学習内容を結びつけることで、受講者が自発的に情報に触れようとする姿勢を形成できる
  • 講師の振る舞いや資料のデザインを通じて心地よい感情を引き出し、研修環境への適応を早めることができる

感情の動きを調整し学習を支援する手順

受講者の瞬間的な拒絶反応を防ぎ、学習への前向きな姿勢を保つためには、以下の手順で情報の提示方法を調整する手法が有効です。

1. 題材に対する初期の感情を予測する

扱うテーマや専門用語に対して、受講者が現状どのようなアフェクトを抱いているかを事前に書き出します。

2. 不快な感情を和らげる表現に置き換える

不快なアフェクトを引き起こす可能性が高い用語や概念については、受講者が日常的に肯定的な感情を抱いている別の言葉や例え話に置き換えて説明を構成します。

3. 視覚的な心地よさを設計する

研修資料の文字の大きさや余白を調整し、受講者が資料を目にした瞬間に感じる圧迫感を減らします。

4. 肯定的な感情で学習を締めくくる

研修の終了時には受講者の取り組みを評価する言葉をかけ、研修そのものが快のアフェクトとして記憶に残るように進行を調整します。

人間は、思考する前に感情で対象を評価する性質を持っています。まずは、次回の研修で使用する最も難解な専門用語を一つ選び、受講者が親しみを感じる別の表現に言い換える手順から進めてください。感情の初期反応を整えることで、その後の情報処理を円滑に進める環境の構築が可能になります。

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
海外放浪の末、2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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学生時代は趣味と実益を兼ねてリゾートバイトにいそしむ。長野県白馬村に始まり、志賀高原でのスキーインストラクター、沖縄石垣島、北海道トマム。高じてオーストラリアのゴールドコーストでツアーガイドなど。現在は野菜作りにはまっている。