組織と戦略の深い関係とは?チャンドラーの命題とアンゾフの逆命題をやさしく解説
こんにちは。ゆうせいです。
今日は「チャンドラーの命題」と「アンゾフの逆命題」について、新人エンジニアの方でもしっかり理解できるように、じっくり丁寧に解説していきます。
この2つの理論は「戦略と組織構造の関係」に関するものです。ちょっと難しそうに聞こえるかもしれませんが、高校の部活動にたとえて説明するので、安心してください。
チャンドラーの命題とは?
戦略が先、組織があと
チャンドラー(A.D. Chandler)は、経営史の研究者で、1962年に出版した『Strategy and Structure(戦略と組織)』の中で、次のように主張しました。
「組織は戦略に従う(Structure follows strategy)」
これはつまり、「まず戦略を決めて、それに合うように組織を作るべきだ」という考えです。
たとえば部活動で考えてみよう
あなたが高校のサッカー部のキャプテンだとしましょう。最初に「全国大会を目指すぞ!」という戦略を立てたら、それに合わせて以下のように組織を整えますよね?
- 専属のトレーナーをつける
- 戦術コーチを外部から呼ぶ
- スカウト部門を作る
これはまさに「戦略が先、組織が後」です。
アンゾフの逆命題とは?
組織が先、戦略があと?
一方で、アンゾフ(H. Igor Ansoff)は、これに異議を唱えました。彼の立場からすると、現実の企業は組織に合わせて戦略を選ぶこともあると主張します。
これがよく知られる「アンゾフの逆命題」です。
「戦略は組織に従う(Strategy follows structure)」
部活動で再び例えよう
たとえば、今いる部員のほとんどがディフェンスに優れた選手ばかりだとします。そんな中で「超攻撃型サッカーで全国へ!」という戦略を選んでも、たぶん実現しません。
だから「守備を固めてカウンターで勝つ」戦略にする、という判断をするでしょう。つまり、「組織が戦略を決めてしまう」状態です。
どちらが正しいの?
チャンドラーとアンゾフ、両方の視点が必要
ここで疑問が浮かびますね。「結局どっちが正しいの?」と。
実は、どちらも一理あります。
- 新しい市場に挑戦するなど、大きな変化を伴うときには、チャンドラーの命題(戦略が先)が有効です。
- 現実的な制約(人材・資金・文化)が大きい場合には、アンゾフの逆命題(組織が先)が当てはまることが多いです。
表で整理してみよう
視点 | チャンドラーの命題 | アンゾフの逆命題 |
---|---|---|
原則 | 組織は戦略に従う | 戦略は組織に従う |
起点 | 戦略(目的) | 組織(現在の能力) |
向いている状況 | 成長・変革を目指すとき | 現実的な制約の中で戦うとき |
デメリット | 組織が対応できなければ戦略倒れになる | 可能性を制限してしまうリスクがある |
エンジニアにとっての意味
エンジニアとしてこれをどう活かすか? それが気になるところですね。
プロジェクトやチーム開発に応用!
たとえば新しい技術スタック(ReactやKubernetesなど)を導入したいとき、理想的には「これを使えばもっと早く開発できる!」と戦略的に導入を提案しますよね? それがチャンドラー的アプローチです。
でも、現実には「うちのメンバーはReactを知らないから、まずはVueで行こうか」という判断もありえます。これはアンゾフ的アプローチ。
どちらも現実的な選択であり、正解は状況次第なのです。
数式で表してみよう(あえて!)
チャンドラーの命題
Structure = f(Strategy)
組織構造 = 戦略の関数
つまり、戦略が変わると組織構造もそれに応じて変化する。
アンゾフの逆命題
Strategy = f(Structure)
戦略 = 組織構造の関数
組織の現状が、実行可能な戦略を決めるということです。
今後の学習の指針
いかがでしたか?
新人エンジニアであっても、組織の動き方やプロジェクトマネジメントの基本的な考え方を押さえておくと、チームでの立ち回りがうまくなります。
今後はぜひ以下のことも学んでみてください!
- Mintzberg(ミンツバーグ)の組織論:組織構造のタイプと戦略の関係性
- PDCAやOODAループ:実行とフィードバックを重視した戦略実行モデル
- DevOpsやアジャイル開発における組織・役割設計
少しずつ、楽しみながら学んでいきましょう!
セイ・コンサルティング・グループでは新人エンジニア研修のアシスタント講師を募集しています。
投稿者プロフィール
