関税で国を守るとどうなる?長期的な影響を徹底解説!

こんにちは。ゆうせいです。

「関税を高くすれば国内産業が守られる!」という考え方は、一見すると正しいように思えます。実際、多くの国が歴史的に保護貿易政策を採用してきました。しかし、長期的に見るとどうなるのでしょうか?

今回は、関税を使った保護貿易政策を取った国がどのような影響を受けるのかを、メリット・デメリットを交えて分かりやすく解説します!


関税による保護貿易とは?

まず、「関税による保護貿易」とは何かを簡単に説明します。

関税とは、輸入品に対して政府がかける税金のことです。例えば、日本が海外からの自動車の輸入に対して高い関税をかければ、海外メーカーの車は値上がりし、国内メーカーの車が相対的に安く見えるようになります。これにより、国内企業を競争から守ることができるのです。

このように、政府が関税を使って国内産業を守る政策を「保護貿易政策」と呼びます。一方で、関税を低くし、自由な貿易を推進するのが「自由貿易」です。


関税による保護貿易の短期的なメリット

関税を導入すると、短期的にはいくつかのメリットがあります。

① 国内産業の保護

海外製品が高くなることで、国内企業が競争力を失わずに済みます。特に、新しく成長し始めた産業(幼稚産業)を守るのに有効です。

② 雇用の維持

国内産業が守られることで、国内の労働者の雇用が安定します。もし海外製品が大量に流入すると、国内企業が倒産し、失業者が増えるリスクがあります。

③ 貿易赤字の削減

関税をかけることで輸入量が減り、貿易赤字を減らせる可能性があります。貿易赤字とは、輸入額が輸出額を上回る状態のことで、経済に悪影響を及ぼすことがあります。


では、長期的にはどうなるのか?

短期的にはメリットがある関税政策ですが、長期的にはデメリットが大きくなることが多いです。ここからは、長期的な影響を詳しく見ていきましょう。

① 競争力の低下

関税で守られた国内企業は、競争が少ないため技術革新やコスト削減の努力を怠りがちになります。結果として、世界市場での競争力を失ってしまうことが多いです。

例えば、20世紀のアメリカでは自動車産業を守るために関税をかけましたが、日本やドイツの自動車メーカーが技術革新を続けたため、長期的にはアメリカ車が競争に負けてしまいました。

② 消費者の負担増加

関税がかかると、輸入品の価格が上がるため、消費者は高い価格を払わなければならなくなります。 これは家計の負担になり、生活の質を下げる要因になります。

例えば、日本が食料品に高い関税をかけると、海外からの安い食品を買えずに、国内の高い食品しか選べなくなります。結果として、家計の支出が増えることになります。

③ 貿易戦争のリスク

関税を上げると、他国も報復措置として関税を上げることがよくあります。これを貿易戦争といいます。

例えば、2018年のアメリカと中国の貿易戦争では、アメリカが中国製品に高い関税をかけ、中国もアメリカ製品に高い関税をかけ返しました。その結果、両国の貿易は縮小し、経済成長が鈍化しました。

④ 海外市場の縮小

関税を上げると、他国からの輸入が減るだけでなく、自国の輸出も減る可能性があります。なぜなら、関税があると他国との関係が悪化し、輸出の機会が失われることがあるからです。

例えば、イギリスがEUから離脱(ブレグジット)した際、関税の問題でEUとの貿易が減り、経済的な打撃を受けました。


保護貿易が成功した例はあるのか?

「関税政策は必ず失敗するのか?」というと、そうとも限りません。一部の国では、戦略的に関税を利用して成功した例もあります。

例えば、19世紀のアメリカやドイツは、産業が未発達な段階で高い関税をかけ、国内産業を育成しました。そして、十分に競争力がついた後は関税を引き下げ、自由貿易へ移行しました。

しかし、これは「関税を一時的に利用した」ケースであり、長期的に関税を維持し続けたわけではありません。


まとめ:長期的には自由貿易の方が有利?

関税を使った保護貿易政策は、短期的には国内産業を守り、雇用を維持する効果があります。しかし、長期的には競争力の低下や消費者負担の増加、貿易戦争のリスクなどのデメリットが大きくなります。

そのため、成功するためには「一時的な措置」として慎重に運用することが重要です。最終的には、国際競争力を高め、自由貿易の中で成長していく方が国の発展につながると言えるでしょう。


いかがでしたか?
「関税を上げれば解決!」と思っていた方も、長期的な視点で考えると色々なリスクがあることが分かったのではないでしょうか。

経済政策は短期的な利益だけでなく、長期的な影響を見極めることが大切です。今後も、世界の貿易政策がどのように変化していくのか、ぜひ注目してみてください!

投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
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