Javaで学ぶ!「データ隠ぺい」と「情報隠ぺい」の違いをわかりやすく解説

例えば、「ArrayListの正体が配列である」ことをユーザー(開発者)に意識させずに使わせている仕組み、これは「情報隠ぺい」と「抽象化」両方の側面を持っています
ただし、それぞれの意味と役割は異なります。順を追って解説しますね。


ArrayListの正体が配列なのは 情報隠ぺい の一種

なぜ情報隠ぺいなのか?

「情報隠ぺい(Information Hiding)」とは、内部の実装の詳細を外部から隠すことでしたね。
ArrayListは内部的に配列(たとえば Object[] elementData)を使って実装されていますが、それは利用者から完全に隠されています

たとえばこんなコード

List<String> list = new ArrayList<>();
list.add("Apple");
list.add("Banana");

このようなコードを書くとき、開発者は「これが配列かリストか」なんて気にしていません
でも実際には、ArrayListの中では配列が使われています。
内部実装(配列)を隠すことで、外部からの干渉や依存を防いでいる。まさに情報隠ぺいです。


同時に 抽象化 の一種でもある!

抽象化(Abstraction)とは?

抽象化とは、共通の操作を切り出して、実装の違いを意識させずに使えるようにする考え方です。
たとえば「リストにデータを追加・取得・削除する」という共通インターフェース(List)を定義し、それに従うさまざまな具体的クラス(ArrayList, LinkedListなど)を用意するという設計が抽象化です。

List<String> list = new ArrayList<>(); // ← Listは抽象的な型(インターフェース)

ここで大事なのは、「ArrayListが配列で実装されているかどうか」は開発者が知る必要がないことです。
これは抽象化の恩恵です。


情報隠ぺいと抽象化の違いと関係性

項目情報隠ぺい抽象化
目的実装の詳細を隠して、安全性と柔軟性を保つ共通の操作に集中して使いやすくする
ArrayList の役割配列の使用を見せないようにするListという操作体系に統一する
メリット実装変更に強くなる実装の違いを意識せずに使える

情報隠ぺい=見せない
抽象化=共通操作にまとめる

このように覚えておくと、設計のときに役立ちます!


結論

JavaのArrayListが配列でできていることを隠しているのは、主に情報隠ぺいの効果であり、
その上でListというインターフェースで使えるようにしているのは、抽象化の考え方です。

つまり、「どちらか」というより両方の設計原則が使われているわけです。


今後の学習の指針

  • ArrayListだけでなく、MapSetといったコレクションも実装とインターフェースが分かれているので、情報隠ぺいと抽象化の視点で分析してみてください。
  • **デザインパターン(Strategy, Factory, Adapterなど)**は抽象化や情報隠ぺいの宝庫です。次の学習テーマにおすすめです。
  • 「publicとprivateの違い」や「インターフェースと抽象クラスの違い」もこの文脈で理解が深まります。

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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