LAN内におけるMACアドレス通信の仕組みについて

こんにちは。ゆうせいです。

新人研修中に受講者から以下の質問をいただきました。

同一のLAN内ではMACアドレスだけを使って通信しているのですか?

今回はこの質問に答えたいと思います。

結論から答えると、いいえ。宛先の判断にはIPアドレスも使い、同一LAN内で実際に機器へ届けるときにMACアドレスを使います。

同一のLAN内におけるMACアドレス通信の正誤

結論から申し上げますと、「同一のLAN内ではMACアドレスを使って通信をする」という記述は正しいです。

インターネットなどの広いネットワーク(WAN)では、データの届け先を特定するためにIPアドレスが利用されます。しかし、ルーターによって区切られた同じネットワークの内部(LAN)において、最終的にデータを特定の機器へ届ける役割を担うのはMACアドレスです。


MACアドレスとIPアドレスの役割の違い

LAN内の通信を正しく理解するために、まずはMACアドレスとIPアドレスの専門用語を整理します。

MACアドレスとIPアドレスの役割の違い

ネットワークにおける通信を理解するために、まずはMACアドレスとIPアドレスの役割の違いを、高校のクラス内に例えて説明します。

MACアドレスは「個人の名前」

MACアドレスは、ネットワーク機器の製造時に割り当てられる世界に一つだけの識別番号です。 これを高校のクラスに例えると、生徒一人ひとりの「個人の名前」に相当します。席替えをして座る場所が変わっても、その人の名前自体が変わることはありません。ネットワーク機器においても、接続する場所が変わってもMACアドレスは変化しません。

IPアドレスは「座席の場所」

IPアドレスは、ネットワーク上における機器の現在の位置を表す識別番号です。 これをクラスに例えると、「出席番号1番の席」や「窓側から2番目の席」といった「座席の場所」に相当します。席替えを行えば、同じ生徒(MACアドレス)であっても、座る席(IPアドレス)は変わります。

LAN内でMACアドレスが使われる仕組み

同じLAN内でデータを送る際、機器はIPアドレスを出発点として、通信相手のMACアドレスを特定する手順を踏みます。この仕組みにはARP(アドレス解決プロトコル)という技術が使われます。

ARPによる通信相手の特定

データを送りたい機器は、相手のIPアドレス(座席の場所)は知っていますが、その席に誰(どのMACアドレス)が座っているかが分かりません。 そこで、送信元の機器はLAN内のすべての機器に向けて「このIPアドレスの席に座っている人は、あなたの名前(MACアドレス)を教えてください」という問い合わせを一斉に送ります。 該当するIPアドレスを持つ機器が「それは私です。私の名前(MACアドレス)はこれです」と返事をすることで、送信元の機器は相手のMACアドレスを把握できます。

スイッチングハブによるデータ転送

MACアドレスが判明すると、LAN内にあるスイッチングハブという中継機器がデータを届けます。 スイッチングハブは、どの接続口にどのMACアドレスの機器が繋がっているかを記録した管理表を持っています。データを受け取ったスイッチングハブは、管理表を参照し、目的のMACアドレスを持つ機器が繋がっている接続口だけにデータを流します。 このように、LAN内の最終的な転送は、IPアドレスではなくMACアドレスを基準に行われています。

MACアドレスによる通信の事実に基づく長所と短所

LAN内でMACアドレスを用いて通信を行うことには、明確なメリットとデメリットが存在します。

メリット

  • 機器の移動に対応できる:機器固有の名前であるため、LAN内で接続するポートを変更しても、同一の機器として認識し通信を継続できます。
  • 転送処理が高速である:スイッチングハブがMACアドレスだけを確認して機械的にデータを振り分けるため、複雑な経路情報を解析するルーターの処理に比べて、高速にデータを転送できます。

デメリット

  • 大規模なネットワークの通信には単体で使えない:MACアドレスには国やプロバイダといった規則的な階層構造がないため、世界中のネットワークから特定のMACアドレスを直接探し出すことは不可能です。
  • 偽装されるリスクがある:一部の機器やソフトウェアの設定により、MACアドレスは書き換えることが可能です。そのため、MACアドレスのみによる機器の認証にはセキュリティ上のリスクが伴います。

まとめと今後の学習ステップ

同一のLAN内では、IPアドレスを使って相手の場所を特定したのち、ARPという仕組みによってMACアドレスを調べ、それを用いて実際のデータ転送を行っています。したがって、ご提示いただいたネットワークの認識は正確です。

この分野の理解をさらに深めるための論理的な学習ステップを提案いたします。

  1. OSI参照モデルの理解:ネットワークの仕組みを7つの階層に分けた「OSI参照モデル」を学び、MACアドレスが働く「データリンク層(第2層)」と、IPアドレスが働く「ネットワーク層(第3層)」の関係性を整理してください。
  2. ルーターの仕組みの学習:異なるLAN同士を結ぶ「ルーター」が、どのようにIPアドレスを読み取ってデータを次のネットワークへカプセル化(包み直し)して送っているかを学んでください。
  3. パケットキャプチャツールの活用:Wiresharkなどのツールを使い、自身のパソコンから出る通信データ(パケット)を実際に確認し、データの中にMACアドレスとIPアドレスがどのように並んで格納されているかを視覚的に確認してください。

グループでは新人エンジニア研修のアシスタント講師を募集しています。

投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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学生時代は趣味と実益を兼ねてリゾートバイトにいそしむ。長野県白馬村に始まり、志賀高原でのスキーインストラクター、沖縄石垣島、北海道トマム。高じてオーストラリアのゴールドコーストでツアーガイドなど。現在は野菜作りにはまっている。