エフェクチュエーション「手の中の鳥」 ~“すでに持っているもの”が、未来の仕事になる!?~
「起業家」と聞くと、特別な才能を持った人を想像しませんか?
資金力がある。
すごい人脈がある。
革新的なアイデアがある。
もちろん、そういう方もいます。
でも実は、優れた起業家たちは、最初から“何もかも揃っていた”わけではありません。
むしろ、
「今あるものを使って、まず動く」
という考え方をしています。
その代表的な理論が、エフェクチュエーションです。
今回は、その中でも特に重要な原則である、
「手の中の鳥」
について、経営的な視点も交えながら、どなたにも分かりやすくお伝えします(^^)
エフェクチュエーションとは?
エフェクチュエーションとは、簡単に言うと、
「未来を完璧に予測するより、今ある資源で未来をつくっていく考え方」
です。
料理でたとえると分かりやすいです。
| 一般的な考え方 | カレーを作るために材料を買いに行く |
|---|---|
| エフェクチュエーション | 冷蔵庫にある材料で何が作れるか考える |
仕事も人生も、すべての条件が完璧に揃う日は、なかなか来ません。
だからこそ、まずは「今あるもの」に目を向けることが大切なのです。
「手の中の鳥」とは?
「手の中の鳥」とは、エフェクチュエーションの原則のひとつです。
意味は、
“すでに自分が持っているものから始める”
ということです。
具体的には、次の3つを見つめます。
| 視点 | 考えること |
|---|---|
| 自分は誰か | 性格、価値観、経験、好きなこと |
| 何を知っているか | 知識、スキル、専門性、経験から学んだこと |
| 誰を知っているか | 社内外の人脈、相談できる人、応援してくれる人 |
多くの人は、つい「自分には何が足りないか」を考えてしまいます。
でも、「手の中の鳥」は逆です。
「自分はすでに何を持っているのか?」
ここから考え始めます。
まるで、自分のポケットの中に入っている宝物を探すような感覚ですね。
キャリアにも活かせる「手の中の鳥」
この考え方は、起業だけでなく、キャリア形成にもとても役立ちます。
たとえば、次のようなものはすべて“仕事資源”になります。
- 自分のスキル
- 今の仕事でできていること
- 社内の人脈
- 会社の強み
- 自分の強み
- 前職まででできていたこと
- 社外の人脈
- 苦労した案件
- 人間関係の失敗
- クレーム対応
- 新人時代に苦労したこと
- 部署異動などの経験
- 育児や介護の経験
- メンタル的に大変だった時期
- 長年やっている仕事
- 毎日続けている習慣
- 趣味
- 普通の人より詳しいこと
- ビックリされる経験
どうでしょうか?
「え、それも資源になるの?」と思うものもあるかもしれません。
でも実は、本人にとって当たり前すぎることほど、周囲から見ると価値だったりします。
趣味や驚かれる経験も仕事資源になる
たとえば、こんな例があります。
ボウリングがプロ級の場合
ボウリングそのものは、直接仕事に関係ないように見えるかもしれません。
でも、仕事資源に変換すると、こんな力が見えてきます。
- 継続力
- フォーム改善力
- 自己分析力
- メンタルコントロール
- 反復練習への耐性
- スコア管理力
- 大会経験
- プレッシャー耐性
さらに、社内イベントの企画、チーム交流、若手社員との接点づくりにもつながります。
すごいですよね!?
趣味が、組織づくりの資源にもなるのです。
釣りがプロ級の場合
釣りも同じです。
仕事資源に変換すると、次のような力が見えてきます。
- 観察力
- 待つ力
- 仮説検証力
- 状況判断力
- 自然変化への適応力
- 情報収集力
- 道具へのこだわり
- 長時間集中力
しかも、釣り好きのお客様と出会った瞬間に、一気に距離が縮まることもあります。
「仕事の話より、まず釣りの話で盛り上がった」なんてこと、ありそうですよね(笑)
大切なのは“その人らしさ”が出ること
ここで重要なのは、スキルそのものではありません。
本当に大切なのは、
“その人らしさ”が見えること
です。
職場では、役職や担当業務だけで人を見てしまいがちです。
でも、人には必ず、仕事だけでは見えない魅力があります。
たとえば研修で、
「仕事に関係ないけど異常に詳しいこと選手権」
を行うと、とても盛り上がります。
- ラーメン1000店舗
- 戦国武将
- 猫の種類
- キャンプ
- 韓国ドラマ
- Excelショートカット
- プロレス
- 麻雀
- 地図
すると、こんな反応が生まれます。
「えっ、この人こんな面白い人だったんだ!」
この気づきが、職場の心理的距離を縮めてくれるのです。
経営的に見ても大きな意味がある
経営の視点で見ると、「手の中の鳥」は人材活用にもつながります。
会社には、目に見える資産だけでなく、目に見えにくい資産があります。
| 見えやすい資産 | お金、設備、商品、システム |
|---|---|
| 見えにくい資産 | 経験、知恵、人脈、信頼、個性、失敗からの学び |
企業が成長するためには、見えにくい資産をどう活かすかが大切です。
社員一人ひとりの経験や得意なことを見つけることは、経営資源の発掘でもあります。
つまり、
人を知ることは、会社の可能性を知ること
でもあるのです。
心理的安全性にもつながる
心理的安全性とは、簡単に言うと、
「この場で自分を出しても大丈夫」
と思える状態のことです。
職場で自分の好きなことや得意なことを話せると、人と人との距離が少し近くなります。
距離が近くなると、相談しやすくなります。
相談しやすくなると、ミスの共有や改善も早くなります。
結果として、チーム全体の働きやすさにもつながるのです。
雑談や趣味の話は、単なる息抜きではありません。
職場の信頼関係を育てる、大切な入り口なのです。
にゃんこエピソード:猫好き社員がチームの空気を変えた話
ある職場に、会議ではあまり話さない社員さんがいました。
周囲からは、少し無口で近寄りにくい人だと思われていました。
ところが研修で、
「仕事に関係ないけど異常に詳しいこと」
を発表する時間がありました。
その方が選んだテーマは、なんと、
猫の種類
でした。
そこから一気に話が止まりません。
- 猫種ごとの性格
- 保護猫活動
- 猫が安心する距離感
- しっぽの動きで分かる気持ち
- 猫が急に走り出す理由
周囲はびっくりです。
「そんなに話す人だったんですね!」
「うちの猫の相談をしてもいいですか?」
そこから、職場で自然な会話が増えました。
猫の話をきっかけに、人間関係の距離が縮まったのです。
にゃんこ、すごいですね🐾
ちなみに猫は、無理に近づくと逃げます。
職場の人間関係も似ています。
ちょうどよい距離感で、安心できる場があると、少しずつ心を開いてくれるのです。
……猫から学ぶ組織論、意外と深いです(笑)
自分を見つめなおすワーク
ぜひ、次の質問に答えてみてください。
| 質問 | 書き出してみること |
|---|---|
| 1 | 人より少し詳しいことは何ですか? |
| 2 | 長く続けていることは何ですか? |
| 3 | 苦労した経験から学んだことは何ですか? |
| 4 | 周囲から驚かれる経験は何ですか? |
| 5 | 無意識にできていることは何ですか? |
| 6 | 趣味でつい調べてしまうことは何ですか? |
| 7 | 人からよく相談されることは何ですか? |
ポイントは、仕事に関係なさそうなことも遠慮なく書くことです。
なぜなら、仕事に関係なさそうなことの中に、“あなたらしさ”が隠れているからです。
まとめ:未来は「今あるもの」から始まる
エフェクチュエーションの「手の中の鳥」は、特別な才能を探す考え方ではありません。
すでに持っているものに気づき、それを活かして一歩踏み出す考え方です。
自分のスキル、経験、人脈、失敗、趣味、習慣、苦労した出来事。
一見バラバラに見えるものも、見方を変えると立派な資源になります。
そして組織においても、一人ひとりの“その人らしさ”を見つけることは、会社の可能性を広げることにつながります。
「自分には何もない」と思う前に、まずは手の中を見てみましょう。
意外な経験が、誰かの役に立つかもしれません。
趣味が、職場の会話を生むかもしれません。
苦労した経験が、後輩を助ける力になるかもしれません。
未来は、遠くにある特別な何かから始まるのではありません。
未来は、すでにあなたの手の中にあるものから始まります。
まずは今日、自分の「手の中の鳥」を一つ書き出してみてください。
そこから、新しいキャリアや働き方のヒントが見つかるはずです(^^)

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投稿者プロフィール

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セイ・コンサルティング・グループ株式会社専務取締役
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上
キャリアコンサルタント・産業カウンセラー
アンガーマネジメントファシリテーター、コンサルタント
ハッピーな人生を送る秘訣は「何事も楽しむ!」ことにあり。
一期一会を大切に、そして楽しく笑顔になる研修をミッションに!
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