【初心者向け】MySQLと標準SQLの違い10選をわかりやすく解説!

こんにちは。ゆうせいです。

今回は「MySQLと標準SQLの違い」というテーマでお話しします。
これからMySQLを使う新人エンジニアの方にとって、「あれ?SQLってこうじゃないの?」と混乱しやすいポイントを、構文(文法)とデータ型の違いに分けて丁寧に解説していきます。

「SQLってどのデータベースでも共通なんじゃないの?」と思ったあなた。
実は、SQLには「標準SQL(ISO標準)」というルールがありますが、各データベース製品(MySQL、PostgreSQL、Oracleなど)には独自の拡張や省略形があるんです!


構文・文法に関する主な違い

1. LIMIT句による行数制限

  • MySQL: SELECT * FROM users LIMIT 5;
  • 標準SQL: SELECT * FROM users FETCH FIRST 5 ROWS ONLY;

解説

MySQLでは LIMIT 句を使って「上から何行まで出力するか」を指定します。
一方、標準SQLでは FETCH FIRST n ROWS ONLY を使います。文法が違うだけで、やっていることは同じですね。

例えるなら、「注文は5つまで」という制限を、「MySQL語」で言うか「標準SQL語」で言うかの違いです。


2. INSERT ... ON DUPLICATE KEY UPDATE

  • MySQL独自: INSERT INTO users (id, name) VALUES (1, 'Taro') ON DUPLICATE KEY UPDATE name = 'Taro';

解説

この構文は、「もし主キーやユニークキーがかぶったら、新しい値で更新してね」というアップサート(挿入+更新)ができます。
標準SQLにはこのような簡潔な記述はなく、MERGEや複雑なサブクエリが必要です。

「既にあるなら更新、なければ追加」というように、データの整合性を保ちつつ柔軟に操作できます。


3. REPLACE INTO

  • MySQL独自: REPLACE INTO users (id, name) VALUES (1, 'Hanako');

解説

REPLACEは、「指定した主キーやユニークキーのレコードがあれば一旦削除してから挿入」します。
これはデータを完全に入れ替えるという操作です。

🛠️ 注意点として、削除→挿入なので、AUTO_INCREMENTが再採番されたり、トリガーが2回動作したりする可能性があります。


4. SHOW文でメタ情報取得

  • MySQL: SHOW TABLES; SHOW COLUMNS FROM users;
  • 標準SQL: SELECT * FROM INFORMATION_SCHEMA.TABLES;

解説

MySQLでは専用のSHOW構文でテーブルやカラムの情報が簡単に見られます。
標準SQLでは INFORMATION_SCHEMA を使ったやや長いクエリになります。

📋 SHOWはちょっとした確認に便利ですが、移植性を考えるなら標準の方法も知っておきましょう。


5. DESCRIBE / EXPLAIN

  • MySQL独自: DESCRIBE users; EXPLAIN SELECT * FROM users;

解説

DESCRIBEはテーブルの構造を表示、EXPLAINはクエリの実行計画(どうやって実行されるか)を見せてくれます。
これらもMySQL独特の表現で、標準SQLには対応する文法がありません。


6. バックティック (`)で識別子を囲む

  • MySQL: SELECT `select`, `table` FROM `order`;
  • 標準SQL: SELECT "select", "table" FROM "order";

解説

MySQLでは バックティック(キーボードの左上) を使いますが、標準SQLでは "ダブルクオーテーション" を使います。
予約語(例:SELECT, TABLEなど)をカラム名に使うときに便利です。


データ型に関する主な違い

7. 独自のデータ型:TINYINT, MEDIUMINT, TEXT, ENUM, SET

解説

MySQLでは以下のような独自の型が用意されています。

型名用途の例
TINYINT1バイトの整数。0〜255または-128〜127
MEDIUMINT3バイトの整数
TEXT文字列(最大64KB)
ENUMあらかじめ定義した選択肢から1つ選ぶ
SET複数選択肢を持てるENUMのような型

例えると、ENUMは「ラーメン、うどん、そば」の中から1つを選ぶイメージ、SETは「ラーメン、うどん、そば」の中から複数選べるイメージです。


8. BOOLEANは実はTINYINT(1)

解説

MySQLに BOOLEAN 型は存在しますが、実体は TINYINT(1)。つまり、TRUE=1, FALSE=0として扱われます。

「Boolean」という名前がついていますが、論理値専用の型ではないので注意が必要です。


9. DATETIMEのミリ秒精度拡張

  • MySQL: DATETIME(3) -- ミリ秒(小数点以下3桁)まで
  • 標準SQL: TIMESTAMP(3) -- こっちが標準

解説

MySQLは DATETIME(n) という形で、秒以下の精度(n=0〜6)を指定できます。
標準SQLではこの書き方は TIMESTAMP(n) に対してのみ使用可能です。


10. AUTO_INCREMENT と SEQUENCE

  • MySQL: id INT AUTO_INCREMENT PRIMARY KEY
  • 標準SQL: CREATE SEQUENCE seq_user_id START WITH 1 INCREMENT BY 1;

解説

MySQLはテーブルの定義内で AUTO_INCREMENT を指定して連番を生成します。
標準SQLでは SEQUENCE を別に作ってから NEXTVAL で取り出します。

📈 手軽さでは MySQL、柔軟性では標準SQLが優れているとも言えます。


今後の学習の指針

MySQLと標準SQLには、このように微妙な違いがたくさんあります。
開発初期の段階では、MySQLの書きやすさを活かすのもアリですが、将来的に他のデータベースに移行したり、共通化を図ったりする場合は、標準SQLの書き方を意識することが重要です。

おすすめの学習ステップ:

  1. MySQLでよく使う構文をまず覚える
  2. 同じことを標準SQLでどう書くか調べてみる
  3. データベース間の移植性・互換性を意識したコードを書くよう心がける

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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