決算書には載らない隠し財産?簿外資産の正体と活用法を徹底解説

こんにちは。ゆうせいです。

みなさんは、会社の健康状態をチェックするとき、まず何を見ますか。やはり、貸借対照表や損益計算書といった決算書でしょうか。

では、ここでひとつ質問です。

「決算書に載っている数字が、その会社の全ての財産を表している」

そう言い切れるでしょうか。

実は、決算書には載っていないけれど、実質的には会社にとって大きな価値を持つ資産が存在することがあります。それが今回解説する簿外資産です。

研修講師として受講生に教える際、この「見えない資産」の存在をどう伝えるかは、経営の奥深さを知ってもらう良いチャンスになります。今日はこの少し不思議な資産について、高校生でもわかるように噛み砕いてお話ししましょう。

簿外資産とは一体なにか

簿外資産とは、文字通り「帳簿の外にある資産」のことです。会社の公式な財産リストである貸借対照表(バランスシート)には記載されていない、あるいは実態よりも極端に低い金額で記載されている資産を指します。

なぜそんなことが起きるのでしょうか。

それは、会計のルールと、実際の経済価値にズレがあるからです。

わかりやすく例えてみましょう。

あなたが持っている「プレミアがついた限定フィギュア」を想像してください。

買った時は1万円でした。でも今は人気が爆発して、市場では100万円で取引されています。

会計の基本的なルールでは、買った時の値段、つまり1万円で帳簿に載せ続けることが多いのです。

すると、実際の価値(100万円)と帳簿の価値(1万円)に、99万円もの差が生まれますね。この見えていない99万円分の価値が、一種の簿外資産と言えます。

また、そもそも帳簿に一切載っていないケースもあります。

これは「全額を経費として処理してしまったけれど、手元には価値あるものが残っている」という状態です。

まるで、へそくりを家計簿につけないようなものですね。家計簿上はお金を使ったことになっていますが、実際にはタンスの奥に現金が眠っている。これが簿外資産の正体です。

代表的な例:経営セーフティ共済

では、中小企業の現場でよく見られる具体的な簿外資産をご紹介しましょう。もっとも有名なのが経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)です。

これは本来、取引先が倒産したときに連鎖倒産を防ぐための積立制度なのですが、多くの企業が節税と貯蓄を兼ねて利用しています。

仕組みを数式でイメージする

なぜこれが簿外資産になるのか、簡単な計算式で見てみましょう。

通常、お金を貯金すると、それは「資産」として扱われ、利益を減らすことはありません。

しかし、経営セーフティ共済の掛金は、税法上の要件を満たせば全額を「経費」にできます。

会計上の利益 = 売上高 - 経費

この式を見てください。経費が増えれば、当然、利益は減りますね。

利益が減れば、その分だけ納める税金も少なくて済みます。

ここからがポイントです。

経費として利益を減らしたにもかかわらず、支払った掛金は消えてなくなったわけではありません。

解約すれば、積み立てたお金は戻ってきます(40ヶ月以上納付していれば100%戻ります)。

つまり、「経費として処理して帳簿から消したはずのお金が、実は共済という別の場所で丸々温存されている」という状態になるのです。

決算書の「資産の部」には載ってきませんが、会社には確実に解約返戻金という請求権があります。これぞまさに、簿外資産の代表格といえるでしょう。

簿外資産を持つメリットとデメリット

物事には必ず表と裏があります。簿外資産を持つことの良い点と悪い点を整理しておきましょう。

メリット

  • 税金の支払いを先送りできる利益が出ている年に経費として計上し、簿外に資産を溜め込むことで、当面の法人税を抑えることができます。
  • 緊急時の資金源になる帳簿上は見えませんが、いざという時には解約して現金化できます。「まさか」の時の隠し金庫のような役割を果たします。
  • 株価の上昇を抑えられる自社株の評価額が高くなりすぎると、事業承継の際に税金が高くなり困ることがあります。簿外資産を作る(利益を圧縮する)ことで、一時的に株価を抑える効果が期待できます。

デデメリット

  • 銀行からの見た目が悪くなることがあるここ重要です!銀行は決算書の数字を見て融資の判断をします。過度に利益を減らして簿外資産を作ると、「この会社は儲かっていないな」と誤解される恐れがあります。
  • 資金繰りを圧迫する経費になるとはいえ、現金が出ていくことに変わりはありません。節税に夢中になりすぎて手元の現金を減らしすぎると、黒字倒産なんてことにもなりかねません。

研修で伝える際のポイント

もしあなたが研修講師としてこのテーマを扱うなら、単なる節税テクニックとして教えるのはやめましょう。

それは本質ではありません。

「経営の安定化を図るためのダム機能」

こう表現してみてはいかがでしょうか。

雨(利益)がたくさん降ったときにダム(簿外資産)に水を貯め、日照り(赤字)のときにその水を放流して田畑を潤す。

簿外資産は、会社を長く存続させるための調整弁なのだと伝えると、受講生の納得感も深まるはずです。

まとめ

簿外資産とは、決算書という公式記録には現れない、会社の隠された体力を示す重要な要素でした。

  • 帳簿のルールと実態のズレから生まれる。
  • 経営セーフティ共済のように、経費処理しつつ資産性を持つものが代表例。
  • 節税効果はあるが、銀行評価や資金繰りとのバランスが大切。

決算書の数字だけを鵜呑みにせず、「行間を読む」ことの大切さを、ぜひ伝えてあげてください。

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
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学生時代は趣味と実益を兼ねてリゾートバイトにいそしむ。長野県白馬村に始まり、志賀高原でのスキーインストラクター、沖縄石垣島、北海道トマム。高じてオーストラリアのゴールドコーストでツアーガイドなど。現在は野菜作りにはまっている。