AIの深層へようこそ!逆伝播バックプロパゲーションの仕組みを完全マスター

こんにちは。ゆうせいです。

みなさんは、AIがどうやって学習しているのか不思議に思ったことはありませんか。AIが賢くなる舞台裏には、バックプロパゲーション、日本語で逆伝播と呼ばれる魔法のような計算手法が隠れています。今回は、練習問題を通して、この仕組みを世界一わかりやすく解説していきます。

バックプロパゲーションって何だろう

バックプロパゲーションを一言で言うと、出力の結果から逆向きにたどって、原因となった各要素がどれくらい結果に影響を与えたかを計算する手法です。

例えば、美味しいカレーを作ろうとして塩を入れすぎてしまったとしましょう。出来上がったカレーの味、つまり出力がしょっぱかったとき、原因を逆方向にたどりますよね。隠し味のソースがいけなかったのか、それとも最初に入れた塩の量が多すぎたのか。このように、結果から原因へと責任の所在を明らかにする作業が、まさにバックプロパゲーションなのです。

専門用語を高校生レベルで解説

この計算を理解するために必要な3つのキーワードを整理しましょう。

  1. 連鎖律(チェインルール):複雑な計算を、小さな計算の積み重ねとして分解し、それぞれの影響力を掛け合わせるルールのことです。山登りで例えるなら、一歩の歩幅と傾斜を掛け合わせて、どれだけ標高が上がったかを計算するようなものです。
  2. 偏微分:たくさんの要因がある中で、特定の1つだけを少し動かしたときに、全体がどれだけ変化するかを調べる道具です。テストの点数を上げるために、英語だけを1時間多く勉強したら合計点が何点上がるか、という影響度を測るイメージです。
  3. 計算グラフ:計算の流れを、丸い節点(ノード)と矢印(エッジ)で図解したものです。データの流れが目に見えるので、複雑な数式も迷子にならずに追いかけることができます。

練習問題:数値を変えて挑戦してみよう

今回は以下の設定で最終的な出力の変化具合を計算してみましょう。

設定条件

  • 入力1: x = 5
  • 入力2: y (この変数の影響度を調べます)
  • 入力3: w = 10
  • 中間出力: z = x \times y
  • 最終出力: L = z \times w

問題

最終出力 L に対して、入力 y がどれくらいの影響力を持っているか、つまり偏微分 \frac{\partial L}{\partial y} を求めてください。


解答と解説

答えは、 50 です。なぜそうなるのか、順を追って解説しますね。

手順1:順伝播で流れを把握する

まず、計算が前から後ろにどう流れているかを確認しましょう。

z x y を掛け合わせたものなので、 z = 5 \times y となります。

最終的な L は、その z w を掛けるので、 L = z \times 10 です。

手順2:逆伝播で影響度をさかのぼる

ここからがバックプロパゲーションの真骨頂です。後ろから前へと影響度(微分値)を伝えていきます。

まず、 L = z \times w において、 z L に与える影響を考えます。

\frac{\partial L}{\partial z} = w なので、この値は 10 になります。

次に、 z = x \times y において、 y z に与える影響を考えます。

\frac{\partial z}{\partial y} = x なので、この値は 5 になります。

手順3:連鎖律でガッチャンコさせる

最後に、これらの影響力を掛け合わせます。

\frac{\partial L}{\partial y} = \frac{\partial L}{\partial z} \times \frac{\partial z}{\partial y}

\frac{\partial L}{\partial y} = 10 \times 5 = 50

これこそが、 y 1 増えたときに L 50 増えるという影響の正体です。


バックプロパゲーションのメリットとデメリット

この手法には、AI開発に欠かせない大きな利点があります。

メリット

  • 計算が圧倒的に速い。何万という膨大な変数があっても、一度後ろにたどるだけで全ての変数の影響度を計算できます。
  • 効率的。一歩ずつ原因を突き止めるので、無駄な計算を省いて学習を進められます。

デメリット

  • 勾配消失問題。計算のステップが長すぎると、掛け算を繰り返すうちに影響力が 0 に近づいて消えてしまうことがあります。
  • 局所解。山を下っているつもりが、一番低い谷ではなく、途中の小さなくぼみで止まってしまう可能性があります。

今後の学習の指針

バックプロパゲーションの基本は理解できましたか。次は、足し算のノードや、活性化関数と呼ばれる特別な計算が含まれる場合にどう変化するかを調べてみると面白いですよ。

今回の計算がスラスラ解けるようになったら、ぜひディープラーニングのフレームワークを使って、実際にAIが数字を認識するプログラムを動かしてみてください。理論が実感に変わる瞬間は、最高にエキサイティングです!

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
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学生時代は趣味と実益を兼ねてリゾートバイトにいそしむ。長野県白馬村に始まり、志賀高原でのスキーインストラクター、沖縄石垣島、北海道トマム。高じてオーストラリアのゴールドコーストでツアーガイドなど。現在は野菜作りにはまっている。