RBS(Risk Breakdown Structure)とは?失敗を未然に防ぐ方法

こんにちは。ゆうせいです。

新しいプロジェクトを始めるとき、「なんだか漠然とした不安がある…」「どこに落とし穴があるか分からない!」なんて感じたことはありませんか?まるで霧の中を進んでいるような感覚、とてもよく分かります。

そんな、プロジェクトに潜む"見えない敵"、つまり「リスク」を、まるごと丸裸にしてしまう強力な武器があるんです。その名も「RBS(Risk Breakdown Structure)」!日本語では「リスク分解構造」と呼ばれています。

今回は、このRBSという心強いツールについて、一緒に学んでいきましょう。この記事を読み終える頃には、あなたもプロジェクトのリスクを的確に捉え、自信を持って計画を進められるようになっているはずですよ!

RBSって、いったい何者?

RBSとは、一言でいうと「プロジェクトに潜むリスクの家系図」のようなものです。

大きなプロジェクトには、たくさんのリスクが隠れていますよね。お金の問題、技術の問題、人の問題…。それらを漠然と「リスク」と一括りにしていては、どこから手をつけていいか分かりません。

そこでRBSの出番です!プロジェクト全体のリスクを大きなカテゴリーに分け、それをさらに小さなリスク、もっと具体的なリスクへと、どんどん分解して整理していく手法なんです。

仕事の計画を立てるときに「やることリスト」を細かく分解していく「WBS(作業分解構造)」という手法を聞いたことがあるかもしれません。RBSは、まさにそのリスク版だと考えてみてください。作業を分解するように、リスクを分解していくのです。

なぜRBSを使うと良いの?嬉しいメリットたち

「リスクを分解するだけで、何が変わるの?」と思うかもしれませんね。いえいえ、その効果は絶大なんです!具体的なメリットを3つご紹介しますね。

1. リスクの"漏れ"がなくなる!

一番のメリットは、プロジェクトのリスクを体系的に、そして網羅的に洗い出せることです。

大きなカテゴリーから順番に考えていくので、「あ!こんなリスクを見逃していた!」なんてことが格段に減ります。これはまるで、大掃除をするときに、部屋の隅々までチェックリストを作って掃除するようなもの。勘や経験だけに頼らず、リスクを論理的に見つけ出せるようになります。

2. 具体的な対策が立てやすくなる!

リスクを細かく分解すると、それぞれのリスクに対して、ピンポイントで対策を考えられるようになります。

例えば、「天気が悪いリスク」と漠然と考えているだけだと、「どうしよう…」と悩んでしまいますよね。でも、「大雨で機材が濡れるリスク」と「強風でテントが飛ばされるリスク」に分解すればどうでしょう?「機材には防水カバーをかけよう」「テントはしっかり固定しよう」と、具体的なアクションが見えてきませんか?

3. チーム全員で"敵"を共有できる!

RBSで作ったリスクの家系図は、とても視覚的に分かりやすいです。

この図をチーム全員で共有すれば、「私たちが立ち向かうべきリスクはこれだね」という共通認識が生まれます。メンバーそれぞれが違う方向を向いて不安になるのではなく、全員で同じ地図を見ながら冒険に進むことができるようになるのです。コミュニケーションがスムーズになること間違いなし!

RBSを作ってみよう!簡単3ステップ

では、実際にRBSはどのように作ればいいのでしょうか?難しく考える必要はありません。以下の3つのステップで進めてみましょう。

ステップ1:リスクの大きな「箱」を用意する

まずは、プロジェクトにありそうなリスクを、大きな分類で分けてみましょう。これは、整理整頓で使う大きな収納ボックスを用意するイメージです。例えば、以下のような箱が考えられます。

  • 外部リスク(自分たちではコントロールしにくい、外からのリスク)
  • 内部リスク(プロジェクトの内部で発生するリスク)
  • 技術リスク(システムやツールに関するリスク)
  • 管理リスク(プロジェクトの進め方に関するリスク)

ステップ2:「箱」の中身をさらに仕分ける

次に、大きな箱の中を、さらに細かく仕切っていきます。先ほど用意した「外部リスク」という箱の中なら、「経済に関するリスク」「法律に関するリスク」といった中くらいの箱を置くイメージです。

そして、その中くらいの箱に、さらに具体的なリスクを入れていきます。「経済に関するリスク」なら、「為替レートが大きく変動する」「材料費が高騰する」といった感じです。

ステップ3:リスクに優先順位をつける

すべてのリスクを洗い出したら、最後にそれぞれの重要度を評価します。「もし発生したら、どれくらい影響が大きいか?」「どれくらいの確率で発生しそうか?」を考えて、優先順位をつけましょう。

すべてのリスクに100%の力で備えるのは大変です。影響が大きくて発生しやすい「大ボス」級のリスクから、優先的に対策を練っていくのが賢いやり方ですよ!

RBSの具体例

言葉だけだと分かりにくいかもしれないので、簡単な例を見てみましょう。

外部リスク 
1.1. 経済リスク 
 1.1.1. 為替変動
 1.1.2. インフレ
1.2. 法規制リスク
 1.2.1. 新しい規制の導入
 1.2.2. 規制変更への対応遅れ

内部リスク 
2.1. 技術リスク
 2.1.1. システム障害
 2.1.2. ソフトウェアのバグ 
2.2. 人材リスク 
 2.2.1. 中核メンバーの離職 
 2.2.2. メンバーのスキル不足

このように、階層的に整理していくと、頭の中がスッキリしますよね!

知っておきたいRBSの注意点

もちろん、RBSは万能ではありません。注意しておきたい点も正直にお伝えしますね。

1. 作成に時間と手間がかかる

リスクを詳細に洗い出して分解していく作業は、正直なところ、少し時間と労力がかかります。特に、大規模で複雑なプロジェクトほど、その作業は大変になるかもしれません。

2. 管理が細かくなりすぎる危険性

あれもこれもとリスクを細かく分解しすぎると、今度は管理する対象が増えすぎて、かえって大変になってしまうことがあります。先ほどの優先順位づけをしっかり行い、「重要度の低いリスクは、今は監視するだけにしておこう」といった判断も必要です。完璧な地図を作ろうとしすぎないでください!

まとめ:未来のトラブルを予測する杖を持とう

今回は、プロジェクトのリスクを体系的に整理し、管理するための強力なツール、RBSについてお話ししました。

RBSは、プロジェクトという冒険の旅に出る前に手に入れる「未来のトラブル予測地図」のようなものです。この地図があれば、どこに危険な沼があり、どこに恐ろしい魔物が潜んでいるかを事前に把握し、備えることができます。

もちろん、地図作りには時間がかかりますし、すべての危険が描かれているわけではありません。でも、地図なしで闇雲に進むより、ずっと安全で確実な旅ができると思いませんか?

もしあなたがこれから何かのプロジェクトに挑戦するなら、まずは小さな規模で良いので、RBSの考え方を取り入れてみてください。「転ばぬ先の杖」として、RBSはきっとあなたの強力な味方になってくれるはずです。

定期的に地図を見直し、新しい情報を書き加えていくことも忘れないでくださいね。あなたのプロジェクトの成功を、心から応援しています!

セイ・コンサルティング・グループ株式会社のプロジェクトマネジメント研修

投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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