なぜ研修のアンケートで低評価を付ける人がいるのか?ポアソン分布との関係で考える

こんにちは。ゆうせいです。

研修のアンケートで低評価をつける人が一定数いるのは、不思議に思うことがありますよね。「研修内容はしっかりしているのに、なぜ満点を付けないのか?」と、主催者の立場からすれば少し不満に感じるかもしれません。この現象は、個人の意見や感じ方だけでなく、統計的な視点からも説明できます。そして、その背後には「ポアソン分布」という数学的なモデルが関係していることが考えられるんです。

今日は「ポアソン分布」を鍵に、この現象を解き明かしてみましょう!


ポアソン分布とは何か?

まず、ポアソン分布とは何かをご説明します。

ポアソン分布は、ある特定の条件下で「まれに起こる事象」の発生回数をモデル化したものです。例えば、

  • ある道路で一定時間に発生する交通事故の回数
  • 飲食店で1時間あたりに訪れるお客様の数
  • 研修のアンケートで極端に低い評価がつけられる回数

といった現象を予測する際に役立ちます。

この分布のポイントは、偶然性頻度の低さです。まれに起こる出来事がどのくらいの確率で発生するかを計算するために使われます。

ポアソン分布の式

ポアソン分布の確率を求めるための公式は以下です:

簡単に言えば、「平均的に起きる回数(λ\lambda)」をもとに、特定の回数が発生する確率を計算できます。


研修のアンケートとポアソン分布の関係

さて、研修のアンケートに低評価をつける人々をこのモデルに当てはめて考えてみます。

1. 低評価は「まれな事象」

通常、研修アンケートで低評価がつくのは稀な出来事です。ほとんどの参加者は「普通」や「良い」といった評価をしますが、何らかの理由で「非常に不満」と回答する人が少数存在します。この現象はポアソン分布の特徴に当てはまります。

2. 特定の条件下で偏りが発生

ポアソン分布では、「一定時間・一定条件」のもとで発生する事象をモデル化します。研修という環境では、評価が偏る条件が揃っている可能性があります。

例えば:

  • 講師の話し方が合わなかった(個人的感覚)
  • 研修内容が期待とズレていた(個別の事情)
  • 単に疲れていて集中できなかった(外部要因)

こうした条件が揃うと、一部の人が低評価を付ける確率が高まることがあります。


実際にポアソン分布を適用してみる

例として、平均的に研修参加者100人のうち1人が低評価を付けると仮定します。この場合、λ=1です。このとき、ポアソン分布を使って計算すると以下の結果になります。

確率計算

つまり、全員が低評価をつけない確率は約36.7%です。一方で、少なくとも1人が低評価をつける確率は100% - 36.7% = 63.3%と計算できます。

解釈

これは、研修がいくら良い内容だったとしても、3回中2回程度は「少なくとも1人が低評価を付ける」状況が起きることを示しています。これが統計的な現象です。


低評価があることへの理解

このように、低評価がつくのは必ずしも「研修の質が悪い」からではありません。むしろ、ポアソン分布的な視点では、「稀な事象」として予測できる範囲にあることがわかります。

主催者の対策

  • 評価の偏りを統計的に分析する:1人や2人の低評価に過剰反応するのではなく、全体の傾向を分析することが重要です。
  • 具体的なフィードバックを収集する:低評価をつけた理由を深掘りすることで、改善点を特定できます。

今後の学び方

ポアソン分布は、「偶然性」と「希少な事象」を理解するための強力なツールです。次に興味が湧いたら以下を学んでみましょう:

  1. 他の確率分布
    ガウス分布(正規分布)や二項分布など、日常に関連する統計モデルもたくさんあります。
  2. データ分析への応用
    研修の満足度データを用いて実際にポアソン分布を適用してみるのも面白いです。
  3. 改善策の設計
    統計的知識を活かして、参加者の満足度を高めるための施策を考えるスキルを磨いてみましょう。

いかがでしたか?低評価の存在を単なる「不満」ではなく、統計の観点から見直すと新たな視点が得られると思います!


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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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