Javaを学んだ新人エンジニアがJavaScriptでDOMを学ぶときのつまずきポイント

こんにちは。ゆうせいです。
今回は「Javaを学んだ新人エンジニアがJavaScriptでDOMを学ぶときのつまずきポイント」について解説します。

Javaのオブジェクト指向や型安全なコードに慣れたエンジニアほど、JavaScriptの柔軟さ(裏を返せば“緩さ”)や、DOM操作の特有の概念に戸惑いやすいものです。
それぞれの困難について、原因・背景・どうやって克服するかを具体的に掘り下げていきますね。


DOMとは何か?Javaには存在しない概念

まず大前提として、DOM(Document Object Model)という概念自体がJavaには登場しません。

DOMとは、HTMLやXMLドキュメントを「ツリー構造のオブジェクト」として操作する仕組みです。

たとえば、こんなHTMLがあったとします:

<p id="greeting">Hello</p>

JavaScriptではこれをこう書いて操作します:

const p = document.getElementById("greeting");
p.textContent = "こんにちは";

Javaの開発では、こうした「文書構造そのものをコードで書き換える」発想が少ないため、最初は感覚がつかみにくいのです。


Java出身者が戸惑う主なポイント

1. documentオブジェクトが何者かわからない

Javaでは明示的にオブジェクトをnewで作成しますが、JavaScriptでは「document」というグローバルオブジェクトが最初から存在します。

console.log(document.title); // HTMLの<title>の中身

「これはどこで定義されてるの? newしてないのに?」と疑問を持つのは自然です。
でも、これはブラウザによって提供される“ビルトイン”オブジェクトなんです。


2. 型が曖昧で安全性がない

Javaでは List<String> のように厳格に型を定義しますが、JavaScriptでは何でも代入できてしまいます。

const el = document.getElementById("myDiv");
el.textContent = 12345; // エラーにならないが意図不明

静的型チェックに慣れていると、「なぜこれで動くのか」「なぜ失敗してもエラーが出ないのか」という不安にぶつかりやすいです。


3. DOMがイベント駆動で動くことに慣れない

JavaScriptのWeb開発ではユーザー操作(クリック・入力・スクロールなど)に応じて処理を動かすのが基本です。

button.addEventListener("click", () => {
  alert("押されました!");
});

Javaのメイン処理は一方向に流れるのに対して、JavaScriptは**「ユーザーが動いたらコードが動く」というイベント中心の設計**になります。
この「順番が決まらない」感じが戸惑いの原因になります。


4. HTMLとJavaScriptが密接に連携していることへの違和感

Javaは「コードはコード」「UIは別」という分離型アーキテクチャ(MVCなど)が主流です。
一方JavaScriptは、HTMLの構造とコードが密接に結びついています。

<button onclick="alert('こんにちは')">あいさつ</button>

このようなHTMLに直接ロジックを埋め込む文化に、最初は違和感を覚える人が多いです。


5. DOM要素の取得や変更のAPIが暗記ゲーになりがち

たとえば次のようなAPIがたくさんあります:

処理メソッド
要素の取得document.getElementById()
クラスの追加element.classList.add()
HTMLの書き換えelement.innerHTML = "..."
イベントの登録element.addEventListener()

JavaではIDE補完で安全に書けますが、JavaScriptでは暗記やトライアンドエラーが多くなりがちです。


6. DOMの状態と内部状態が一致しないことに困惑

たとえばJavaでは状態管理はクラスの中で一貫しますが、JavaScriptでは「画面に見えている値」と「スクリプトで持っている値」がバラバラになりがちです。

let count = 0;
button.addEventListener("click", () => {
  count++;
  document.getElementById("counter").textContent = count;
});

「画面の数字が変わっただけでは、変数countが自動で更新されるわけじゃない」という点に注意が必要です。


どう克服すればよいか?

対策①:DOMの仕組みを「構造の木」として理解する

DOMは「木構造(ツリー)」であることを図でイメージしましょう。

Document
└── html
    ├── head
    │   ├── meta
    │   └── title
    └── body
        ├── h1
        └── p

このツリー構造をJavaScriptでたどっていく感覚を持つと、getElementByIdparentNode などの関係がスッと頭に入ります。


対策②:型安全性を求めるならTypeScriptに挑戦

JavaScriptは動的型付けですが、TypeScriptを使えばJavaに近い静的型チェックができます。

const el: HTMLElement | null = document.getElementById("foo");
if (el) {
  el.innerHTML = "こんにちは";
}

これにより、Java出身者でも安心して開発ができるようになります。


対策③:イベント駆動の発想に慣れるため、小さなUIを実装してみる

  • カウンター
  • ボタンで背景色を変える
  • 入力値をリアルタイムで表示する

こうしたシンプルなUIを実装しながら、イベント処理の基本を体感すると、DOMの扱いが自然になります。


まとめ

JavaエンジニアがJavaScriptのDOMを学ぶとき、特に以下の点でつまずきやすくなります:

  • documentオブジェクトや非newな構文に戸惑う
  • 型が曖昧で、エラーが出ず原因が追いづらい
  • ユーザー操作で流れが変わるイベント駆動に慣れない
  • HTMLとの密結合に抵抗を感じる
  • APIの暗記が必要でとっつきにくい

でも安心してください。DOMは「慣れ」が何より大事な分野です。小さなUIを作ることで理解は一気に進みます!


今後の学習の指針

  • DOMのツリー構造を意識して「どの要素を操作しているか」を明確にする
  • getElementByIdquerySelector の使い分けを練習する
  • イベントハンドラ(click, inputなど)でDOM操作を組み合わせてみる
  • 最終的にはTypeScriptやReactなどへ進むと、構造的な開発ができます!

DOMに慣れてくると、JavaScriptの楽しさが一気に広がりますよ!
次は「イベントの伝播(バブリング・キャプチャリング)」について学ぶと、より一歩進んだ理解ができます!

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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