SVMとカーネル法の「名前」に注目して、仕組みを理解しよう!

こんにちは、ゆうせいです。

今回は、機械学習でよく登場する2つのキーワード
「SVM(Support Vector Machine)」と「カーネル法(Kernel Method)」について、
それぞれの名前の由来を入り口に、その仕組みや意味をわかりやすく解説します。

「名前の意味を理解すると、難しく感じるアルゴリズムもグッと身近に感じられるようになります」よ!


Part 1: SVM(Support Vector Machine)とは?名前から仕組みをつかもう!

SVMを構成する3つの単語

 \textbf{SVM} = \text{Support Vector Machine}

英単語日本語訳アルゴリズムにおける意味
Support支える、支点になる境界に最も影響する重要なデータ点(=サポートベクトル)
Vectorベクトル、方向特徴量を持つデータそのもの
Machine機械、仕組み分類・予測を行うモデル全体の仕組み

つまり「Support Vector Machine」は、「サポートベクトルを使って分類する仕組み(機械)」という意味になります!


サポートベクトルとは?

SVMでは、2つのグループ間の距離を最大にするような境界線(=決定境界)を探します。

そのとき、境界に最も近い点(=最前線にいる点)を特別に重要視します。

これらの点を「サポートベクトル(Support Vectors)」と呼びます。

例えるなら…

川を挟んで敵と味方が向かい合っているとき、SVMは敵味方の最前線の兵士だけを見て、「川のどの位置を境界にすれば安全か」を考えるイメージです。


SVMの特徴まとめ

特徴内容
サポートベクトルに注目全データでなく、境界に影響を与えるデータだけを重視
最大マージンで決定境界を引く分類の「余裕(マージン)」を最大化
線形・非線形どちらも対応非線形でも「カーネル」を使えば対応可能
高次元にも強いテキストや画像など高次元データでも有効

Part 2: カーネル法(Kernel Method)の名前の意味

「カーネル(Kernel)」の意味とは?

「カーネル」とは英語で「核(core)」「中心部」「種(seed)」などを意味します。
OSの「カーネル(中核)」と同じ語源です。

機械学習におけるカーネルも、アルゴリズムの中核を担う関数であることからこの名前がついています。


カーネル法とは?

「データを高次元空間に写像して、そこで線形な分類や回帰を行うテクニック」です。

でも実際に写像(マッピング)を行うと計算量が大きくなってしまいます。

そこで使われるのが…


カーネル関数(Kernel Function)

特徴量ベクトル x, x' に対して、次のような形の関数です:

 k(x, x') = \phi(x) \cdot \phi(x')

これは、本来高次元空間で行うはずの内積を、元の空間のままで計算してしまう関数です。

このテクニックを「カーネルトリック(Kernel Trick)」と呼びます。


なぜ「カーネル(核)」なのか?

理由は2つあります。

1. 積分方程式における「核関数」からの由来

次のような積分形式:

 f(x) = \int k(x, x') g(x') dx'

この式の k(x, x') の部分が「カーネル(積分核)」と呼ばれます。
ここでも「他の関数との相互作用」を定義する中心的な関数ですね。

2. アルゴリズムのコアだから

SVMを含む多くのアルゴリズムでは、カーネル関数の種類が結果を大きく左右します。

まさに「核となる機能」であることから「Kernel」と呼ばれています。


代表的なカーネル関数

カーネル名数式特徴
線形カーネルk(x,x') = x \cdot x'普通の線形分類
多項式カーネルk(x,x') = (x \cdot x' + c)^d複雑な曲線境界を表現
RBFカーネル(ガウス)k(x,x') = \exp(-\gamma |x - x'|^2)無限次元空間に対応、高い柔軟性
シグモイドカーネルk(x,x') = \tanh(\alpha x \cdot x' + c)ニューラルネットに似た動き

まとめ:SVMもカーネルも「名前に意味がある」!

用語名前の意味仕組みや役割
Support支える、境界に影響サポートベクトル
Vectorデータそのもの特徴量ベクトル
Machineモデル全体の仕組み分類器としてのSVM
カーネル核、中心、種類似度を測る関数・中核的役割
カーネル法カーネルを使う技法非線形分類・高次元化の裏技

次に学ぶとよいこと!

  1. SVMで描かれる決定境界とマージンを図にしてみる
  2. カーネルトリックの仕組みを数学的に理解してみる
  3. PythonでSVM+カーネル法を実装して分類してみる

「名前を理解すること」は、「仕組みを理解すること」の第一歩です。

他の機械学習アルゴリズムでも、ぜひその名前に込められた意味を意識して学んでみてください!

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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