Σ(シグマ)記号の省略表記とは?新人エンジニアのためのやさしい数学記法入門

こんにちは。ゆうせいです。

数学やプログラミングの勉強をしていると、よく出てくるこの記号:

Σ(シグマ)

見たことはあるけど、どう読むのか、どんな省略表記があるのか、いまいちピンとこない…そんな新人エンジニアの方も多いのではないでしょうか?

今回はこの「Σ記号」にスポットを当てて、さまざまな省略表記の使い分けや読み方、意味を、丁寧にわかりやすく解説していきます!


そもそもΣ(シグマ)記号って何?

Σ(シグマ)は、複数の数を足し合わせることを表す記号です。

正式には「総和記号(そうわきごう)」と呼びます。

たとえばこんな式:

\sum_{i=1}^{5} i

これは、

「i を 1 から 5 まで動かして、それらを全部足し合わせる」

という意味で、具体的には:

1 + 2 + 3 + 4 + 5 = 15


Σ記号の基本構造

パーツ意味
\sum総和(合計)を示す記号
i = 1変数 $i$ の開始値
5終了値
i足し合わせる項の内容

\sum_{i=1}^{5} i
→ 「i を 1 から 5 まで増やしながら、i を合計せよ」


よく使われる 省略表記(略記法) には何がある?

では、実際の論文やコード、資料などでは、どう省略されていることがあるのでしょうか?


① 範囲を明示しない省略:変数だけ書く

例:

\sum_i x_i

これは、

i がどこからどこまで動くかは文脈から判断してね」

というあいまいな略し方です。たとえば、i=1n のつもりで使われていることも。

使いどころ:

  • 説明文や理論の中でよく使われる
  • 定義済みの範囲がある前提

② 上限・下限を省略:簡易な形にする

例:

\sum_{i} f(i)

この書き方も、「範囲は文脈で決まっている」ことを前提としています。

たとえば、配列 x_1, x_2, ..., x_n が定義済みなら、

\sum_{i} x_i = x_1 + x_2 + \cdots + x_n

と解釈されます。


③ 区間記号を使った略記

例:

\sum_{i \in [1, n]} x_i

この書き方は「i が 1 から n までの範囲にある」という意味を持ちます。

他のバリエーション:

  • i \in {1, 2, ..., n}(集合を明示)
  • i \in A(任意の集合 A 上での総和)

使いどころ:

  • 抽象的な定義やアルゴリズムでよく使われる
  • 配列や集合の要素に対して合計を取るときに便利

④ 添字の変形を省略

例:

\sum_{j=0}^{n} a_{2j}

この場合、偶数番目の項だけを足すということを表しています。

でも略記では:

\sum_{\text{even } j} a_j

\sum_{j \text{ even}} a_j

のように書かれることもあります。


⑤ 多重和を圧縮して書く

多重の総和を省略する場合もあります。

例:

\sum_{i=1}^{m} \sum_{j=1}^{n} a_{i,j}

を省略して:

\sum_{i,j} a_{i,j}

\sum_{i=1}^{m}, \sum_{j=1}^{n} a_{i,j}

と書かれることも。

注意: 順序があるとき(jiに依存するなど)は、省略せずに書いた方が誤解がありません!


【図】Σの省略記法まとめ

表記意味
\sum_{i=1}^{n} x_i $i = 1$ から $n$ まで足し合わせる
\sum_i x_i 範囲省略(文脈依存)
\sum_{i \in A} x_i 集合 $A$ の要素についての合計
\sum_{i,j} a_{i,j} $i$ と $j$ の2重和
\sum_{\text{even } i} x_i 偶数 $i$ のみに限定した総和

Σ記号はプログラミングにどう関係する?

Pythonや他の言語で、Σ記号を実装するとこんな形になります。

Pythonでの例:

total = 0
for i in range(1, 6):  # i = 1 ~ 5
    total += i
print(total)  # 出力: 15

同じ意味のΣ表記:

\sum_{i=1}^{5} i


まとめ:Σの省略記法とは?

  • Σ記号は「合計する」ことを表す
  • 数学では、文脈によって上限・下限・範囲などを省略して書くことがある
  • 慣れると読みやすいが、初学者はなるべく省略せずに読む癖をつけると理解しやすい
  • プログラミングにも直結する概念なので実装と対応させながら学ぶのがオススメ!

今後の学習の指針

Σ記号の使い方に慣れてきたら、次のステップに進んでみましょう:

  • 積分や微分との関係(Σと極限)
  • Π記号(積の記号)との比較
  • 行列のトレースやテンソルでのΣの応用
  • for文との対応関係をPythonで実装しながら学ぶ

省略記法は数学の「読みやすさ」と「書きやすさ」の工夫でもあります。
焦らず、自分のペースで一つずつ慣れていきましょう!

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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