Model Context Protocol(MCP)とは?AIが外部と繋がる新しい共通言語を徹底解説!

Model Context Protocol (MCP) は、AIモデルと外部のツールやデータソースを接続するためのオープンスタンダードなプロトコルです。Anthropic社によって提唱されました。

一言で言うと、MCPは「AIアプリケーションのための共通インターフェース」、あるいは「AI界のUSB-C」のようなものです。これまでAIモデルごとに独自に作っていた外部ツールとの連携部分を標準化することで、開発の手間を大幅に削減し、AIの能力を簡単に拡張できるようにします。


なぜMCPが必要なのか?

従来のAIモデルには、以下のような課題がありました。

  • 知識の鮮度の限界: AIの知識は学習した時点のものであり、リアルタイムの情報(例:「今日の天気」)にはアクセスできません。
  • プライベートデータへのアクセス不可: 企業の内部データベースや個人の予定表など、限定された範囲の情報にはアクセスできませんでした。
  • 個別開発の非効率: 外部ツール(API、データベースなど)と連携させるには、AIモデルやツールごとに専用の「アダプター」を開発する必要があり、非常に手間がかかりました。

MCPは、これらの課題を解決するための共通の「お作法」を定めることで、AIが様々な外部情報へスムーズにアクセスできるようにするのです。


MCPの仕組み:3つの登場人物

MCPは、主に3つのコンポーネントで構成されています。これをレストランに例えてみましょう。

コンポーネント役割レストランでの例え
MCP ホスト (Host)AIモデルが搭載されたアプリケーション。ユーザーからのリクエストを受け付け、全体を統括する。ウェイター
MCP クライアント (Client)ホストとサーバーの間を取り持つ仲介役。どのサーバーに何を依頼するかを管理する。注文を厨房に伝える伝令
MCP サーバー (Server)特定の機能(例:DB検索、API実行)を提供する軽量なサーバー。ツールそのもの。専門のシェフ(焼き場、サラダ担当など)

処理の流れ

  1. ユーザーがAIアプリケーション(ホスト)に「来週のA社との打ち合わせに関連するメールを探して」と指示します。
  2. ホスト(ウェイター)は、その指示を解釈し、クライアント(伝令)に伝えます。
  3. クライアントは、「メール検索」というタスクを処理できるサーバー(メール検索専門のシェフ)を特定し、リクエストを送信します。
  4. 依頼を受けたサーバーは、メールシステムにアクセスして該当するメールを検索し、結果をクライアントに返します。
  5. クライアントは受け取った情報をホストに渡し、ホストは最終的にAIモデルを使って「来週のA社との打ち合わせに関するメールはこちらです」と整形してユーザーに提示します。

この通信には、軽量なデータ交換フォーマットである JSON-RPC が使われています。これにより、異なるプログラミング言語で書かれたコンポーネント同士でも簡単に通信できます。


MCPとRAGの違い

AIの知識を外部情報で補強する技術としてRAG (Retrieval-Augmented Generation) がよく知られています。

  • RAG: 「検索拡張生成」の名の通り、ユーザーの質問に関連する情報を外部データベースから検索 (Retrieval) し、その情報をコンテキストとしてAIに与え、回答を生成 (Generation) させる一方向の技術です。AIが「教科書(検索結果)を見ながら答える」イメージです。
  • MCP: 情報の取得だけでなく、外部ツールの実行やデータの書き込みなど、より複雑な双方向のやり取りを可能にするための「プロトコル(通信規約)」そのものです。AIが「図書館で本を探したり、実験室で道具を使ったりする」ためのルールブックのような存在です。

つまり、RAGはMCPの上で実現されるユースケースの一つと考えることができます。MCPは、RAGを含むより広範なAIと外部システムの連携の基盤となるアーキテクチャなのです。


新人エンジニアとしての学び方

MCPはまだ新しい技術ですが、今後のAI開発のトレンドになる可能性があります。以下のステップで学習を進めるのがおすすめです。

  1. 公式ドキュメントを読む: まずは提唱元であるAnthropicの公式ドキュメントに目を通し、設計思想や全体像を理解しましょう。
  2. サンプル実装を動かしてみる: GitHubなどで公開されているサンプルコードを実際に動かしてみるのが一番の近道です。ホスト、クライアント、サーバーの役割とデータの流れを体感できます。
  3. 簡単なMCPサーバーを作ってみる: 普段使っているAPI(天気情報、ニュースなど)をラップする簡単なMCPサーバーを自分で作ってみましょう。プロトコルへの理解が格段に深まります。

MCPを理解することで、単にAIモデルを使うだけでなく、AIを様々なシステムと連携させてより強力なソリューションを構築する力が身につきます。ぜひ積極的にキャッチアップしてみてください。

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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