TPUとNPUの違い

新人エンジニアの皆さん、こんにちは!AI関連の技術に触れる中で、「TPU」や「NPU」といった言葉を耳にする機会が増えてきたのではないでしょうか。どちらもAIの計算を速くするためのプロセッサですが、それぞれに得意なことや使われる場所が異なります。

ここでは、その違いを分かりやすく解説します。


TPUとNPUの基本

一言でいうと、TPUもNPUもAI(特にニューラルネットワーク)の計算を高速化するための専用プロセッサ(頭脳)です。一般的なCPUが色々な計算をこなす「万能選手」なら、TPUやNPUはAI計算に特化した「専門選手」と言えます。


TPU (Tensor Processing Unit) 🧠

TPUは「Google生まれの、クラウドのAI番長」

TPUは、その名の通りGoogleが開発したプロセッサです。Googleのサービス(検索、翻訳、フォトなど)や、Google Cloud Platform (GCP) 上で、大規模なAIモデルの学習推論を高速に処理するために使われています。

  • 開発元: Google
  • 主な活躍場所: データセンター、クラウド環境 ☁️
  • 得意なこと:
    • 巨大なAIモデルの学習(トレーニング)
    • 大規模なデータを使った高速な計算
  • 特徴: Googleの機械学習ライブラリであるTensorFlowに最適化されています。性能を最大限に引き出す設計で、まさにAI計算のヘビー級チャンピオンです。

例えるなら、「巨大な工場で、専門の機械(TPU)を使って製品(AIモデル)を大量生産(学習)する」イメージです。


NPU (Neural Processing Unit) 📱

NPUは「いろんなメーカー製の、スマホや身近な機器のAIアシスタント」

NPUは、より一般的な名称で、様々な企業が開発しています。Appleの「Neural Engine」や、多くのAndroidスマートフォンに搭載されているAIチップなどがこれにあたります。主に、スマートフォンやIoTデバイスなどのエッジデバイス上でAI処理を行うために使われます。

  • 開発元: Apple, Samsung, Qualcommなど多数
  • 主な活躍場所: スマートフォン、スマートスピーカー、カメラなどのエッジデバイス 🤖
  • 得意なこと:
    • 学習済みのAIモデルを使った推論(顔認証、音声認識、背景ぼかしなど)
    • 省電力でリアルタイムな処理
  • 特徴: クラウドにデータを送らず、デバイス上(ローカル)でAI処理を完結させることを目的としています。そのため、速度が速く、プライバシーやセキュリティ面でも有利です。

例えるなら、「スマホという小さな店先で、気の利く店員(NPU)がその場で素早く接客(推論)する」Fイメージです。


一番の違いは「どこで、何をするか」

TPUとNPUの最も大きな違いは、その利用シーン設計思想にあります。

項目TPU (Tensor Processing Unit)NPU (Neural Processing Unit)
開発元GoogleApple, Samsung, Qualcommなど多数
主な場所クラウド、データセンターエッジデバイス(スマホ、PCなど)
主な役割大規模な学習と推論推論(リアルタイム処理)
設計思想パフォーマンス最優先電力効率と速度を重視
エコシステムGoogle Cloud, TensorFlow各デバイスメーカーの製品

簡単に言えば、TPUはクラウドでAIモデルを「育てる(学習)」のが得意で、NPUはスマホなどの手元でそのAIを「使う(推論)」のが得意ということです。


まとめ

新人エンジニアの皆さんは、まずこの2つの違いを大まかに理解しておけば大丈夫です。

  • TPU: Google製クラウドでAIを学習させるためのパワフルなプロセッサ。
  • NPU: 多くのメーカー製スマホやPCでAIをリアルタイムに動かすための省電力なプロセッサ。

今後、クラウド上でAIサービスを開発する際にはTPUを、モバイルアプリや組み込み機器でAI機能を実装する際にはNPUを意識することになるでしょう。どちらもAI技術の進化を支える重要な存在です。

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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