GPGPU(General-Purpose computing on Graphics Processing Units)とは、本来は画像処理を専門とするGPUの圧倒的な計算能力を、画像処理以外の一般的な計算目的にも活用する技術のことです。


GPGPUとは?

こんにちは。ゆうせいです。

以前、CPUを「天才博士」、GPUを「兵士の大軍団」に例えて、GPUは単純作業の並列処理が非常に得意だというお話をしましたよね?

その話を聞いて、「ゲームや映像のためだけじゃなく、そのすごい計算パワーを他のことにも使えたら…」と思いませんでしたか?例えば、もっと高速なAIの開発や、複雑な科学技術計算などです。

まさにそのアイデアを実現した技術こそが、今回お話しする「GPGPU」なのです!


GPGPU:グラフィックス専門家を「計算のプロ」に変える魔法

GPGPUは、「General-Purpose computing on Graphics Processing Units」の頭文字を取った言葉で、日本語にすると「GPUによる汎用計算」といった意味になります。

これを「兵士の大軍団」の例えで説明しましょう。

もともとGPUという軍団は、「画面に絵を描く」という任務しかこなせない、いわばグラフィックス専門部隊でした。兵士たちは、絵の描き方しか訓練されていなかったのです。

GPGPUは、この専門部隊に「新しい訓練マニュアル」を渡して、絵を描くこと以外の様々な計算(例えば、物理シミュレーションやAIの学習など)もできるように再教育するようなものです。

これにより、グラフィックス専門部隊は、どんな計算任務でもこなせる汎用的な「計算大軍団」へと進化したのです!


GPGPUを支える技術:CUDAの登場

しかし、司令官(プログラマー)が、グラフィックス専門の兵士たちにいきなり「AIの計算をしろ!」と命令しても、兵士たちはどう動けばいいのか分かりません。

そこで登場したのが、この「新しい訓練マニュアル」や「司令官が兵士に命令を出すための特別な言葉」の役割を果たす、NVIDIA社が開発したCUDA(クーダ)というプラットフォームです。

CUDAを使うことで、プログラマーはC++などの慣れた言語で、GPUの並列計算能力をフル活用したプログラムを書けるようになりました。

私たちが普段使っているPyTorchやTensorFlowといったAIフレームワークも、実はその裏側でCUDAを呼び出すことで、GPUの力を借りて超高速な計算を実現しているんですよ。


GPGPUはどんな場面で活躍しているの?

GPGPUの登場によって、これまでスーパーコンピュータが必要だったような大規模な計算が、より身近なものになりました。

  • AI・ディープラーニング 🧠まさにGPGPUの真骨頂です。AIの学習に必要な膨大な量の行列計算は、並列処理の塊であり、GPUの大軍団が最も得意とするところです。
  • 科学技術計算・シミュレーション 🔬天気予報、創薬のための分子シミュレーション、航空機の空力設計など、膨大な計算を必要とする分野で、研究開発のスピードを劇的に向上させています。
  • ビッグデータ解析 📈大量のデータの中から特定のパターンを見つけ出すといった処理も、並列計算によって高速化できます。
  • 暗号資産のマイニング ⛏️単純な計算をひたすら繰り返すマイニング作業も、GPGPUの得意分野の一つです。

まとめ:GPUの可能性を解き放つ鍵

GPGPUは、GPUをグラフィックス専門のパーツから、科学、医療、金融、AIなど、あらゆる分野で活躍する汎用的な超並列プロセッサへと進化させた画期的な技術です。

新人エンジニアのあなたにとって、まずは「今やGPUはAIや科学計算を高速化するための必須ツールである」という事実を理解することが第一歩です。そして、その背景にはGPGPUという技術と、CUDAのようなプラットフォームが存在することを覚えておきましょう。

AIフレームワークがなぜGPUを使うと速くなるのか、その理由が少しクリアになったのではないでしょうか。この知識が、あなたの技術への理解をさらに深めるきっかけになれば嬉しいです。

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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