【投資初心者エンジニア向け】コールとプットって何?オプション取引の「買う権利」と「売る権利」を徹底解説!
こんにちは。ゆうせいです。
前回の記事では、「先物」と「オプション」の大きな違いについてお話しましたね。
先物は「必ず実行する未来の約束」、一方でオプションは「実行するか選べる未来の権利」でした。
オプションの仕組みが「保険付きの予約」みたいだ、という感覚は掴んでいただけたかと思います。
さて、今日はその「オプション」をもう少し深掘りします。
オプション取引には、大きく分けて2つの基本的な種類があります。それが「コール・オプション」と「プット・オプション」です。
「買う権利と売る権利…?どう使い分けるの?」
「どっちがどういう時に役立つの?」
エンジニアの皆さんなら、この2つの「機能」の違いを理解するのは簡単ですよ!
今回も、お馴染みのGPUの例えで見ていきましょう。
コール・オプション (Call Option):値上がりに賭ける「買う権利」
まず、「コール・オプション」からです。
コール・オプションとは、「将来の決められた日(または期間内)に、あらかじめ決めた価格で、特定の商品を『買う』ことができる権利」のことです。
例え話:新型GPUの「購入予約権」
あなたは、3ヶ月後に発売される新型GPU「FutureX 9000」が気になっています。現在の予想価格は10万円です。
あなたは「これは人気が出て、発売日には15万円くらいに高騰するんじゃないか?」と予想しました。
そこであなたは、PCショップで「3ヶ月後に、FutureX 9000を10万円で『買う権利』(コール・オプション)」を、手数料(オプション料)5,000円で買いました。
3ヶ月後、価格が15万円に高騰したら?
あなたの予想通り!市場では15万円です。
あなたは「権利行使!」と宣言し、10万円でFutureX 9000を買います。市場で買うより5万円も安く手に入りましたね。
(実際には、先に払った手数料5,000円があるので、差し引き4万5千円の得です)
3ヶ月後、価格が7万円に下落したら?
あなたの予想は外れました。市場では7万円で売っています。
さて、あなたは「10万円で買う権利」を使いますか?
…もちろん使いませんよね!
あなたは「権利を放棄」します。そして、市場で普通に7万円で買います。
この場合、あなたの損失は、最初に支払った手数料の5,000円だけで済みます。
このように、コール・オプションの「買い」は、「価格が上がる!」と強く予想するときに使う戦略です。
プット・オプション (Put Option):値下がりに備える「売る権利」
次に、「プット・オプション」です。
プット・オプションとは、「将来の決められた日(または期間内)に、あらかじめ決めた価格で、特定の商品を『売る』ことができる権利」のことです。
例え話:持っているGPUの「価格下落保険」
あなたは今、旧型のGPU「OldX 8000」を持っており、現在の市場価格(中古価格)は5万円だとします。
あなたは「3ヶ月後に新型が出たら、この旧型GPUの価値は3万円くらいに暴落するかも…」と心配になりました。
そこであなたは、「3ヶ月後に、OldX 8000を5万円で『売る権利』(プット・オプション)」を、保険料(オプション料)3,000円で買いました。
3ヶ月後、価格が3万円に暴落したら?
あなたの心配通りになりました。市場では3万円でしか売れません。
しかし、あなたは「権利行使!」と宣言し、持っているGPUを(市場価格に関係なく)5万円で売ることができます。
(実際には、先に払った保険料3,000円があるので、差し引き1万7千円の損失回避=得をしたことになります)
3ヶ月後、価格が6万円に値上がりしたら?
予想に反して、旧型GPUが謎のブームで値上がりしました。市場では6万円です。
さて、あなたは「5万円で売る権利」を使いますか?
…もちろん使いませんよね!
あなたは「権利を放棄」します。そして、市場で普通に6万円で売ります。
この場合、あなたの損失は、最初に支払った保険料の3,000円だけで済みます。
このように、プット・オプションの「買い」は、「価格が下がる!」と予想するとき、または「価格下落のリスクに備えたい」ときに使う戦略です。まさに「保険」のような使い方ですね。
比較表:コールとプット(買い手の場合)
「買う権利」と「売る権利」、それぞれの特徴が見えてきましたか?
「買い手」の視点で、2つを比べてみましょう。
| 比較ポイント | コール・オプション (Call) | プット・オプション (Put) |
| 権利の種類 | 買う権利 | 売る権利 |
| 狙い(予想) | 価格が「上がる」と儲かる | 価格が「下がる」と儲かる |
| 例えるなら | 人気商品の「購入予約権」 | 保有資産の「価格下落保険」 |
| 最大利益 | 無限大(理論上) | ほぼ無限大(価格がゼロになるまで) |
| 最大損失 | 支払ったオプション料のみ | 支払ったオプション料のみ |
数式で見るロジックの違い
エンジニアの皆さんなら、数式の方がスッキリするかもしれませんね。
ある資産の価格について、
期日の市場価格を
あらかじめ決めた価格(権利行使価格)を
コール・オプションの手数料(オプション料)を
プット・オプションの手数料(オプション料)を
とします。
コール買い(買う権利)の損益
がプラス(市場価格 > 決めた価格)なら権利行使、マイナスなら 0 (権利放棄)する、というロジックです。最後に手数料
を引きます。
プット買い(売る権利)の損益
がプラス(決めた価格 > 市場価格)なら権利行使、マイナスなら 0 (権利放棄)する、というロジックです。最後に手数料
を引きます。
この という関数、プログラミングでもよく使いませんか?
まさにこの「マイナスなら0にする」という処理が、オプションの「権利放棄」という最大の特徴を表しているんです!
今後の学習の指針:絶対に「売り」から入るな!
さて、コールとプットの基本的な違いは理解できたかと思います。
ここで一つ、非常に重要な注意点があります。
ここまでの話は、すべて「権利を『買う』人」の視点でした。
オプション取引には、当然「権利を『売る』人」も存在します。
「コールを売る人」や「プットを売る人」です。
彼らは、買い手からオプション料(手数料や保険料)を受け取る代わりに、「買い手が権利行使してきたら、必ずそれに応じる『義務』」を負います。
オプションの「買い手」は、最悪でも支払ったオプション料以上の損失は出ません。
しかし、オプションの「売り手」は、利益は最初にもらうオプション料だけに限定されるのに、損失は理論上「無限大」になる可能性があるのです。(特にコール売りの場合)
これは非常に危険です!
99回勝って1万円ずつ儲けても、最後の1回で100万円の損失を出す可能性があるのが「売り」の世界です。
もしあなたがオプション取引に興味を持ったなら、まずは「コール買い」と「プット買い」の仕組みを徹底的に理解することから始めてください。
絶対に、仕組みを理解せずに「売り」から入ってはいけませんよ!
コールとプットは、投資戦略を組み立てるための基本的な「部品」です。
これらの部品をどう組み合わせるか、エンジニアとしての分析力を活かして、まずはシミュレーションなどで試してみてはいかがでしょうか。になるはずです。