【投資初心者エンジニア向け】先物とオプションって何が違うの?未来を取引する仕組みを徹底解説!
こんにちは。ゆうせいです。
新人エンジニアとして新しい技術を学ぶ毎日、お疲れ様です。コードと向き合う中で、「投資」の世界にも興味を持ち始めた方もいるかもしれませんね。
投資の世界には、株式や債券だけでなく、「デリバティブ」と呼ばれる少し複雑な金融商品があります。中でも「先物(さきもの)取引」と「オプション取引」は、ニュースでもよく耳にする言葉ではないでしょうか。
「名前は聞くけど、さっぱり分からない…」
「未来を取引するって、どういうこと?」
大丈夫です!これらは一見難しそうですが、基本的な「仕組み」さえ押さえれば、エンジニアのあなたならきっと理解できます。
今日は、この「先物」と「オプション」が何者で、両者がどう違うのかを、例え話を交えてゼロから解説していきますね。
そもそも「デリバティブ」って何?
まず、先物もオプションも「デリバティブ(金融派生商品)」という大きなカテゴリの仲間です。
デリバティブとは、その価値が「他の何か(原資産と言います)」の価格に基づいて決まる金融商品のこと。
…と言われてもピンときませんよね。
例えるなら、「人気コンサートのチケット引換券」をイメージしてください。
引換券そのものには価値はありませんが、「チケット(原資産)」が人気になって価格が高騰すれば、その「引換券」の価値も上がりますよね?逆にチケットが売れ残れば「引換券」の価値は下がります。
このように、元の資産(株式、為替、石油、金など)の価格変動によって、その価値が「派生」して決まる。だからデリバティブと呼ばれます。
先物とオプションは、どちらもこのデリバティブの一種で、「未来の価格」を取引するという点は共通しています。
先物取引:必ず実行する「未来の約束」
では、まず「先物取引」から見ていきましょう。
先物取引とは、「将来の決められた日(期日)に、あらかじめ決めた価格で、特定の商品(原資産)を売買することを『約束』する取引」です。
例え話:新型GPUの「予約購入」
あなたがエンジニアとして、3ヶ月後に発売される最新型GPU「FutureX 9000」が絶対に欲しいとします。
現在の予想価格は10万円です。
あなたは「3ヶ月後、値上がりしてるかも…」と心配になり、PCショップと「3ヶ月後に、FutureX 9000を必ず10万円で買います」という契約を結びました。これが「先物買い」です。
3ヶ月後、価格が15万円に高騰したら?
あなたはラッキーです!市場では15万円ですが、あなたは「約束」通り10万円で手に入れられます。(5万円の得)
3ヶ月後、価格が7万円に下落したら?
あなたはアンラッキーです。市場では7万円で買えるのに、あなたは「約束」通り10万円を支払わなければなりません。(3万円の損)
先物のメリット・デメリット
- メリット
- 将来の価格を固定できる(値上がりリスクを避けられる)。
- 「証拠金(しょうこきん)」という担保を少し預けるだけで、大きな金額の取引(レバレッジ)ができる。
- デメリット
- 「必ず実行する義務」がある。
- 予想が外れた場合、損失が無限大になる可能性がある。(レバレッジが裏目に出ると怖い!)
先物は、まさに「約束」です。儲かっても損しても、その約束は絶対に守らなくてはなりません。
オプション取引:実行するか選べる「未来の権利」
次に「オプション取引」です。
オプション取引とは、「将来の決められた日(期日)までに、あらかじめ決めた価格で、特定の商品(原資産)を売買する『権利』を売買する取引」です。
先物との最大の違いは、これが「権利」であるという点です。
例え話:新型GPUの「購入予約権(クーポン)」
先ほどと同じ状況で、あなたは3ヶ月後のGPU「FutureX 9000」が欲しいです。
今回は、PCショップで「3ヶ月後に、FutureX 9000を10万円で買う権利」を、手数料(オプション料)5,000円を払って購入しました。
これが「オプション買い(コール・オプション)」です。
3ヶ月後、価格が15万円に高騰したら?
あなたは「権利行使!」と宣言します。市場では15万円ですが、あなたは「権利」を使って10万円でGPUを手に入れます。
(5万円得しましたが、先に手数料5,000円を払っているので、実質4万5千円の得)
3ヶ月後、価格が7万円に下落したら?
あなたは、せっかく買った「10万円で買う権利」をどうしますか?
…使いませんよね?
あなたは「権利を放棄」します。そして、市場で普通に7万円でGPUを買います。
この場合、あなたの損失は、最初に払った手数料の5,000円だけで済みます。
オプションのメリット・デメリット (買い手の場合)
- メリット
- 「権利」なので、自分に不利な場合は権利を放棄できる。
- 最大の損失が、最初に支払った「オプション料(プレミアム)」だけに限定される。
- デメリット
- 最初に必ず「オプション料」というコストがかかる。(権利を行使しなくても戻ってこない)
- 予想が当たっても、オプション料の分だけ利益が減る。
オプションは、いわば「保険付きの予約」です。保険料(オプション料)を払う代わりに、最悪の事態(権利放棄)になっても損失は保険料だけで済みます。
一覧表で比較!義務と権利の違い
ここまでの話を、表で整理してみましょう。
| 比較ポイント | 先物取引 (Futures) | オプション取引 (Options) (買い手) |
| 契約の本質 | 義務 (必ず売買する) | 権利 (売買するか選べる) |
| 当初のコスト | 証拠金 (取引終了時に清算) | オプション料 (支払いっぱなし) |
| 利益の可能性 | 無限大 | 無限大 (オプション料を引く) |
| 損失の可能性 | 無限大 (相場が逆に動いた分だけ) | 限定的 (支払ったオプション料のみ) |
先物はハイリスク・ハイリターンな「約束」、オプションはローリスク(買い手の場合)・リターンな「権利」と言えるかもしれませんね。
ちょっとだけ数式で見てみよう
エンジニアの皆さんには、数式の方が分かりやすいかもしれませんね。
Jetpackプラグインが使えるよう、LaTeX形式で書いてみます。
ある資産の価格について、
市場価格を
決めていた価格(権利行使価格)を
オプション料を
とします。
先物(買い)の損益
市場価格 が上がれば無限に儲かりますが、下がれば無限に損します。
オプション(コール買い)の損益
の部分が「権利行使」を意味します。
が
より低ければ
の中は 0 になり(権利放棄)、損失は
(オプション料)で確定します。
が
より高くても、利益は常に
の分だけ差し引かれます。
この「損失が限定される」というのが、オプション(買い)の最大の特徴です。
今後の学習の指針
さて、先物とオプションの違い、なんとなく掴めたでしょうか?
もしあなたが、ご自身の資産を守ったり、あるいは積極的に運用したりするために、これらのデリバティブを学びたいと思うなら、以下のステップをお勧めします。
- まずは「オプションの買い」から理解するオプションの「買い手」は、損失が限定されます。仕組みを理解する第一歩として、リスクが計算しやすいオプションの買いから学ぶのが安全です。
- 「売り手」のリスクを理解する今回は解説しませんでしたが、オプションには「売り手」もいます。「売り手」は「買い手」と逆で、利益は限定的(もらえるオプション料だけ)で、損失は無限大になる可能性があります。なぜそうなるのかを理解してください。
- 「証拠金」と「レバレッジ」を徹底的に学ぶ特に先物取引では、「証拠金(Margin)」と「レバレッジ」の概念が必須です。少ない資金で大きな取引ができる魅力の裏には、「追証(おいしょう)」という強制的な資金追加のリスクが常にあります。
これらは非常に強力なツールですが、同時に非常に危険なツールでもあります。プログラムのポインタ管理やメモリリークと同じで、仕組みを正確に理解せずに使うと、取り返しのつかない事態を招きかねません!
まずは少額で試せるシミュレーションや、書籍で知識を固めることから始めてみてくださいね。
あなたのエンジニアとしての論理的思考力は、きっと投資の世界でも武器になるはずです。