声だけで人を動かす!研修講師と歌手の意外な共通点とは
こんにちは。ゆうせいです。
みなさんは、カラオケに行くのは好きですか?
歌が上手な人がマイクを持つと、つい聴き入ってしまいますよね。
逆に、お経のように一本調子な歌だと、なんだか眠くなってしまった経験はありませんか?
実はこれ、研修やセミナーでもまったく同じことが起きているんです。
「講師は知識を教える人であって、歌手じゃないでしょ?」
そう思うかもしれません。
しかし、トップレベルの研修講師は、まるで歌手のように「声」という楽器を使いこなしています。
声のトーン、リズム、大きさ。これらを操ることで、受講生の集中力を自在にコントロールしているのです。
今日は、声を操るプロである歌手と、学びを届けるプロである研修講師の共通点と相違点を探りながら、あなたの言葉を「届く言葉」に変えるボイステクニックについてお話しします。
研修講師と歌手の共通点:パラ言語(周辺言語)
研修講師と歌手の最大の共通点は、言葉そのものよりも「どう声を出すか」が重要であるという点です。
これを専門用語で「パラ言語(周辺言語)」と呼びます。
パラ言語とは?
なんだか難しそうな言葉ですよね。でも、中身はとてもシンプルです。
「何を言ったか(言語情報)」ではなく、「どう言ったか(聴覚情報)」のことです。
具体的には、声の大きさ、高さ、速さ、間(ま)、口調などのことを指します。
歌手のAdoさんが「うっせぇわ」と歌うとき、ただ文字を読んでいるわけではありませんよね。
叫ぶように歌ったり、ささやくように歌ったりすることで、強烈なメッセージを伝えています。
講師も同じです。
「ここはテストに出ますよ」と言うときに、ボソボソと言うのと、声を張り上げてゆっくり言うのとでは、受講生の受け取り方がまったく違います。
重要なポイントではテンポを落とし、低い声で強調する。
楽しい話題ではテンポを上げ、高い声で明るく話す。
このように、パラ言語を駆使して「聴かせどころ」を作る技術は、まさに歌手と一緒なのです。
リズムとグルーヴ感
素晴らしいコンサートには、心地よいリズムがあります。
研修にもリズムが必要です。
ずっと同じペースで話されると、人間の脳はそれを「雑音」として処理し始め、眠くなってしまいます。
早いリズムで畳み掛けたり、ゆったりとしたリズムで考えさせたり。
この「波」を作ることで、受講生を飽きさせないグルーヴ感を生み出すのです。
研修講師と歌手の相違点:主役は誰か
では、講師は歌手のように気持ちよく歌い上げればそれで良いのでしょうか?
ここで、絶対に忘れてはいけない違いがあります。それは「誰が主役か」という点です。
歌手は「自分が」主役
コンサートにおいて、観客は歌手を見に来ています。
歌手が感情を込めて歌い上げ、その世界観に観客を引き込むことが正解です。
歌手自身の感情やスキルが、感動の源泉になります。
講師は「受講生が」主役
一方で、研修講師が自分の知識に酔いしれ、気持ちよく喋り続けてしまったらどうなるでしょうか。
受講生は「先生、自分だけ楽しそうだな...」と冷めてしまいます。
講師の声は、あくまで受講生の理解を助けるための「ツール(道具)」です。
「いい声だね」と言われることがゴールではありません。
「分かりやすかった」「やる気が出た」と言われるために、あえて声を抑えたり、黙ったりする理性が求められるのです。
説得力を生み出す方程式
ここで、言葉の説得力がどのように決まるか、簡単な式で表してみましょう。
このバランス感覚が、プロの技です。
説得力 話の内容
声の表現力
見てください。やはり掛け算です。
「話の内容」は歌詞やメロディのようなもの。
「声の表現力」は歌唱力のようなものです。
どんなに素晴らしいテキスト(話の内容)があっても、ボソボソと聞き取りにくい声(表現力が低い)で話されたら、説得力はガタ落ちです。
逆に、どんなにいい声で話しても、中身がなければ「ただの声が大きい人」になってしまいます。
内容を完璧に準備し、それを最高の「声」に乗せて届ける。
この両輪が揃って初めて、人の心は動くのです。
「シンガー」の意識を持つメリットとデメリット
講師が、歌手のようなボイステクニックを意識することには、大きなメリットと、気をつけるべき点があります。
メリット
- 居眠りを防げる声に抑揚(メリハリ)をつけることで、受講生の脳に刺激を与え続け、眠気を防ぐことができます。
- 重要なポイントが伝わる「ここは大事!」という部分で声色を変えることで、マーカーを引くように、相手の耳に残すことができます。
- 信頼感が増すお腹から出た太く響く声は、自信と威厳を感じさせ、「この先生についていこう」という信頼感(ラポール)を醸成します。
デメリット
- 喉を潰すリスク正しい発声法を知らずに、ただ大声を出そうとすると、喉を痛めてしまいます。歌手のような腹式呼吸のトレーニングが必要です。
- 圧迫感を与える常に大きな声で張り上げていると、受講生は怒られているような気分になり、萎縮してしまうことがあります。静けさもまた、重要なテクニックです。
まとめと今後の学習指針
いかがでしたか?
研修講師は、マイク一本で世界を変える歌手と同じように、声という武器を使って受講生の人生を変えるエンターテイナーなのです。
あなたのその「声」には、あなたが思っている以上の力があります。
今後の学習へのステップ
もしあなたが「もっと声で惹きつけたい」「通りやすい声になりたい」と思うなら、ぜひ次のことにチャレンジしてみてください。
- 自分の声を録音して聞くこれが一番恥ずかしくて、一番効果があります。スマートフォンのボイスメモで、自分の講義やプレゼンを録音してみてください。「えー」「あー」といった不要な言葉(フィラーと言います)が多かったり、思った以上に早口だったりすることに驚くはずです。まずは現状を知ることから始めましょう。
- 腹式呼吸を意識する歌手の基本は腹式呼吸です。息を吸ったときにお腹が膨らみ、吐いたときに凹む。この呼吸法で話すと、喉に負担をかけずに、会場の隅々まで届く「通る声」が出せるようになります。寝る前に仰向けになって練習してみてください。
さあ、次はあなたがステージ(教壇)で、最高の歌声(講義)を響かせる番です。
自信を持って、第一声を発してください!
それでは、またお会いしましょう!
セイ・コンサルティング・グループでは新人エンジニア研修のアシスタント講師を募集しています。
投稿者プロフィール
- 代表取締役
-
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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