積分なんて怖くない!エンジニアのための直感的「面積」計算術

こんにちは。ゆうせいです。

みなさんは、高校時代に習った積分を覚えていますか。

エンジニアの仕事をしていると、データ分析や機械学習の文脈で、突然この積分記号に出くわすことがあります。特に確率密度関数などを扱うとき、このニョロっとした記号は避けて通れません。

うわっ、難しそう……とアレルギー反応が出る前に、ちょっと待ってください。

実は積分って、分解して考えれば単なる足し算や掛け算の延長なんです。

今回は、一見ややこしそうな式を、誰でもわかるようにバラバラに分解して解説します。さらに、数式を使わない図形的な解き方も紹介しますよ。これを知っていると、計算ミスを一瞬で見抜けるようになります。

今回解く問題はこちら

今回扱うのは、こんな式です。

\int_0^3 \frac{1}{18}x dx

数式が苦手な方は、これを見ただけでブラウザを閉じたくなるかもしれませんね。

でも大丈夫です。この式が言っているのは、 \frac{1}{18}x というグラフの、 0 から 3 までのエリアの面積を求めよ、というただの命令なんです。

では、手順を追って計算してみましょう。

手順1:定数は外に出せる

プログラミングで、変更されない値を定数として関数の外に出すのと似ています。

積分のルールでは、 x がついていない数字(定数)は、インテグラル記号の外に追い出すことができます。

今回の式には \frac{1}{18} という数字がくっついていますね。これは邪魔なので、外に出してしまいましょう。

元の式 = \frac{1}{18} \times \int_0^3 x dx

これで、中身はとてもシンプルに x だけになりました。だいぶスッキリしましたね。

手順2:積分の基本公式を使う

さて、残った \int x dx の部分をどう処理するかです。

ここは基本の公式を一つだけ思い出してください。

x を積分すると、 \frac{x^2}{2} になる。

厳密には xn 乗を積分すると、次数が 1 つ上がって、その数で割るというルールがあるのですが、今回は x だけなので、とにかく \frac{x^2}{2} になると覚えておけばOKです。

手順3:区間を当てはめる

積分した形 \frac{x^2}{2} がわかったので、これに数字を当てはめていきます。

今回は 0 から 3 までという指定がありました。

数学の記号では、このように書きます。

\left[\frac{x^2}{2}\right]_0^3

このカッコ記号の意味はシンプルです。

上の数字( 3 )を代入した結果から、下の数字( 0 )を代入した結果を引き算しなさい、という指示です。

手順4:実際に代入して計算する

では、やってみましょう。

まずは、 x3 を入れます。

\frac{3^2}{2} = \frac{9}{2}

次に、 x0 を入れます。

\frac{0^2}{2} = 0

最後に、この2つの差を取ります(引き算)。

\frac{9}{2} - 0 = \frac{9}{2}

これで積分の主要部分の計算が終わりました。

忘れちゃいけない最後の仕上げ

手順1で、 \frac{1}{18} を外に出していたのを覚えていますか。

最後にこれを合体させましょう。

答え = \frac{1}{18} \times \frac{9}{2}

分数の掛け算ですね。約分ができそうです。

918 で約分すると、 \frac{1}{2} になりますから、

答え = \frac{1}{2} \times \frac{1}{2} = \frac{1}{4}

計算結果は \frac{1}{4} (小数で言うと 0.25 )になりました!


直感で解く!図形的なアプローチ

ここまで数式で計算してきましたが、実はもっと直感的に、小学生の算数の知識だけで検算する方法があります。エンジニアとしては、この感覚を持っていることがとても重要です。

f(x) = \frac{1}{18}x という式をグラフでイメージしてみてください。

これは、原点を通る右肩上がりの直線です。

今回求めたいのは、 x0 から 3 までの範囲の面積でした。

原点から始まって、右に行くほど高くなる直線の下側の面積。

これって、形は三角形になりますよね?

三角形の面積の公式はなんでしたか?

そう、 底辺 \times 高さ \div 2 です。

底辺の長さ

0 から 3 までなので、長さは 3 です。

高さ

x = 3 のときの直線の高さです。式に代入してみましょう。

高さ = \frac{1}{18} \times 3 = \frac{3}{18} = \frac{1}{6}

面積の計算

では、三角形の公式に当てはめます。

面積 = 3 \times \frac{1}{6} \div 2

面積 = \frac{1}{2} \div 2

面積 = \frac{1}{4}

ほら、さっき苦労して積分計算した結果と、ぴったり同じになりました!

練習問題にチャレンジ

今回は2問用意しました。紙とペンの準備はいいですか?

第1問

前回の記事の最後で「宿題」として出したものです。区間が少し伸びています。

\int_0^6 \frac{1}{18}x dx

第2問

今度は係数( x の前についている数字)を変えてみました。

\int_0^4 2x dx

ヒント:どちらもグラフに描くと、原点を通る直線になりますよ。

(少し下にスクロールすると、解答と解説があります)

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第1問の解答と解説

それでは、答え合わせをしていきましょう。

アプローチA:積分の公式で解く

まずは、エンジニアらしく数式でカチッと解く方法です。

  1. 定数を外に出す\frac{1}{18} は定数なので、積分の外に出します。式 = \frac{1}{18} \int_0^6 x dx
  2. 積分するx を積分すると \frac{x^2}{2} になります。式 = \frac{1}{18} \left[ \frac{x^2}{2} \right]_0^6
  3. 値を代入して計算x = 6 のとき: \frac{6^2}{2} = \frac{36}{2} = 18x = 0 のとき: 0

引き算すると 18 - 0 = 18 です。

  1. 仕上げ外に出しておいた \frac{1}{18} を掛けます。答え = \frac{1}{18} \times 18 = 1

計算結果は 1 になりました。

アプローチB:図形(面積)で解く

次に、直感的な図形で解いてみましょう。

グラフ y = \frac{1}{18}x の、 0 から 6 までの面積を考えます。

  • 底辺 :区間が 0 から 6 なので、長さは 6 です。
  • 高さ : x = 6 のときの y の値です。高さ = \frac{1}{18} \times 6 = \frac{6}{18} = \frac{1}{3}

三角形の面積の公式(底辺 \times 高さ \div 2)に入れます。

面積 = 6 \times \frac{1}{3} \div 2

面積 = 2 \div 2

面積 = 1

お見事! ちゃんと 1 で一致しましたね。

第2問の解答と解説

続いて第2問です。 \int_0^4 2x dx を解きます。

アプローチA:積分の公式で解く

  1. 定数を外に出す今度は 2 が定数です。式 = 2 \int_0^4 x dx
  2. 積分する中身は前回と同じ \frac{x^2}{2} です。式 = 2 \left[ \frac{x^2}{2} \right]_0^4
  3. 値を代入して計算x = 4 のとき: \frac{4^2}{2} = \frac{16}{2} = 8x = 0 のとき: 0

差は 8 です。

  1. 仕上げ外に出しておいた 2 を掛けます。答え = 2 \times 8 = 16

こちらの答えは 16 です。

アプローチB:図形(面積)で解く

グラフ y = 2x は、 x1 増えると y2 増える、急な右上がりの坂道ですね。

  • 底辺 :区間は 0 から 4 なので、長さは 4 です。
  • 高さ : x = 4 のときの y の値です。高さ = 2 \times 4 = 8

三角形の面積を計算します。

面積 = 4 \times 8 \div 2

面積 = 32 \div 2

面積 = 16

こちらもピッタリ 16 になりました!

まとめ

みなさん、全問正解できましたか?

今回体験してもらったように、定積分というのは「関数が作るグラフの下側の面積」を計算しているのと全く同じことです。

  • 真面目に数式変形をして解く(王道)
  • 図形として捉えて面積公式で解く(近道・検算)

この2つの視点を行き来できるようになると、例えばAIの学習理論などで複雑な数式が出てきても、「要するにどっかの面積(合計値)を求めているんだな」とイメージが湧くようになります。

次回は、この「直線」を「曲線」に変えてみましょう。

xx^2 になると、三角形ではなく放物線になります。そうなると、さすがに三角形の公式は使えません。そこで初めて積分の真の威力が発揮されるのです。

メリットとデメリット

今回紹介した2つの方法には、それぞれ良い点と悪い点があります。

数式で解く方法(積分計算)

  • メリット:曲線が複雑になっても、公式さえあれば必ず解ける万能な方法です。
  • デメリット:計算手順が多く、途中で計算ミスをするリスクがあります。

図形で解く方法(幾何学的アプローチ)

  • メリット:直感的に理解しやすく、計算も単純でミスが少ないです。検算に最適です。
  • デメリット:直線(三角形や台形)のような単純な形でしか使えません。

今後の学習の指針

いかがでしたか。

難しそうな積分の式も、三角形の面積だと思えば急に親しみが湧いてきませんか。

実務で確率統計の計算をするとき、プログラムが出した結果が正しいかどうか不安になることがあります。そんなとき、今回のように図形的にざっくりと概算して、桁が合っているか、値が妥当かを確認するスキルは、バグを防ぐ強力な武器になります。

まずは、今回の 0 から 3 までの範囲を、 0 から 6 に変えたらどうなるか、三角形の図を描いて計算してみてください。きっと自信がつきますよ。

それでは、また次の記事でお会いしましょう。

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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学生時代は趣味と実益を兼ねてリゾートバイトにいそしむ。長野県白馬村に始まり、志賀高原でのスキーインストラクター、沖縄石垣島、北海道トマム。高じてオーストラリアのゴールドコーストでツアーガイドなど。現在は野菜作りにはまっている。