財布の中の最強カード!新人に「健康保険」の凄さを伝える授業
こんにちは。ゆうせいです。
研修講師のみなさん、新入社員の財布の中に必ず入っている「魔法のカード」をご存じですよね。
そうです、「健康保険証」です。
でも、彼らにとって保険証は「病院に行くときに受付に出すカード」くらいの認識しかありません。中には身分証明書としてしか使っていない、なんて強者もいるかもしれませんね。
しかし、社会保険(健康保険)は、日本が世界に誇る最強のセーフティネットです。
これがあるからこそ、私たちは安心して生活ができ、思い切り仕事に打ち込めるのです。
今回は、当たり前すぎて見落とされがちな健康保険の凄さを、新入社員に再認識させるための解説テクニックをお伝えします。これを話せば、彼らは保険証をより大切に扱うようになるはずです。
3割負担だけじゃない!3つの基本機能
まずは、健康保険が何をしてくれるのか、その基本機能を3つに絞って伝えましょう。
「70%オフ券」以上の価値があることを理解させることが重要です。
1. 医療費がいつでも「3割」で済む(療養の給付)
これはみんな知っていますね。
病院で治療を受けたとき、窓口で払うお金は実際にかかった費用の3割です。
残りの7割は、私たちが毎月払っている保険料から賄われています。
計算式で表すとこうなります。
実際にかかった医療費 0.3
私たちが払うお金
もしこの制度がなかったら、風邪で薬をもらうだけで1万円近く飛んでいくことになります。
「全国どこの病院でも使える、無期限の70%割引クーポン」を持っているようなものです。そう考えると凄さが伝わりませんか。
2. 手術代が高額でも破産しない(高額療養費制度)
ここが一番の「推しポイント」です。ぜひ熱く語ってください。
もし、大きな病気をして手術や入院が必要になり、医療費が100万円かかったとしましょう。
3割負担だとしても、30万円です。新入社員にとって30万円は、すぐには払えない大金ですよね。
そんなときに発動するのが「高額療養費制度(こうがくりょうようひせいど)」です。
これは、1ヶ月に支払う医療費の上限を決めてくれる制度です。年収によって変わりますが、一般的な新入社員の給与水準であれば、自己負担の上限は月額約8万円から9万円程度で済みます。
つまり、どんなに医療費がかかっても、支払いはそこでストップするのです。
「30万円払え」と言われるのと、「9万円でいいよ、あとは払っておくから」と言われるのでは、天と地ほどの差がありますよね。この安心感が健康保険の真骨頂です。
3. 病気で休んでも給料が出る(傷病手当金)
先日お話しした「労災保険」は仕事中の怪我が対象でしたが、プライベートでの怪我や病気はどうなるのでしょうか。
例えば、休日にスノーボードで骨折したり、インフルエンザで長期間寝込んだりして会社を休んだ場合です。
有給休暇を使い切ってしまったら、給料はゼロになります。それでは生活できませんよね。
そんなとき、健康保険から「傷病手当金(しょうびょうてあてきん)」というお金が出ます。
おおよそ給料の3分の2程度の金額が、最長で1年6ヶ月の間支給されます。
「働けなくなっても、ご飯が食べられるように守ってくれる」。これも非常に大きなメリットです。
保険料の仕組みと「扶養」の話
次に、お金の話をしましょう。
健康保険料も、厚生年金と同じく「労使折半(ろうしせっぱん)」です。会社が半分払ってくれています。
さらに、健康保険には「扶養(ふよう)」という概念があります。
将来、結婚して配偶者の収入が少なかったり、子供が生まれたりした場合、その家族を自分の健康保険に入れることができます。
ここですごいのは、「家族が増えても保険料は変わらない」という点です。
民間の保険なら、人数が増えれば保険料も倍になりますよね。
でも、健康保険は一人分の保険料で、家族全員が「3割負担」や「高額療養費」の恩恵を受けられるのです。このコストパフォーマンスの良さは、他の金融商品ではあり得ません。
メリットとデメリット(注意点)
どんなに優れた制度にも、できないことはあります。ここも正直に伝えましょう。
メリット
誰でも平等に医療を受けられる
お金持ちでもそうでなくても、同じ質の医療を同じ負担率で受けられます。これは世界的に見ても恵まれた環境です。
家族までカバーできる
先ほど伝えた通り、追加料金なしで家族を守れます。
デメリット(注意点)
対象外の治療がある
ここが落とし穴です。
例えば、「美容整形」「歯列矯正」「レーシック手術」などは病気の治療ではないため、全額自己負担(10割負担)になります。
また、入院するときに個室を希望した場合の「差額ベッド代」も保険は効きません。
「治療に必要なものは出るけど、贅沢や美容は自分で払ってね」という線引きがあることを教えてあげてください。
混合診療の禁止
保険が効く治療と、効かない最新の自由診療を混ぜて受けることは、原則としてできません。もし混ぜると、保険が効くはずの部分まで全額自己負担になってしまうルールがあります(一部例外を除く)。
研修での心に響く教え方
講義の締めくくりには、保険証の重みを伝えてください。
「みなさんの手元にあるその薄いカードは、もしもの時に数百万円、数千万円の価値を発揮する最強のお守りです。そして、そのお守りを維持するために、みなさんと会社がお金を出し合っています。健康でいることが一番ですが、いざというときはこのカードが生活を支えてくれることを忘れないでください」
こう伝えることで、ただのプラスチックカードが、頼れるパートナーに見えてくるはずです。
今後の学習の指針
いかがでしたか。
健康保険は、私たちが日本で生きていくための「インフラ」そのものです。
これからの学習の指針として、自分の会社が加入している健康保険組合(協会けんぽ、または組合健ぽ)のWebサイトを見てみることをおすすめしてください。
実は、保険組合によっては、保養所(ホテル)に安く泊まれたり、スポーツジムの割引があったり、テーマパークの優待があったりと、医療以外の特典がついていることがあります。
「え、こんなにお得なの!」という発見があれば、保険への興味が一気に湧くはずです。
新入社員のみなさんが、安心して社会人生活をスタートできるよう、この最強カードの魅力をたっぷりと伝えてあげてくださいね。