【脱・運任せ】AIの本当の実力を測る「K-分割交差検証」を徹底解説

こんにちは。ゆうせいです。

みなさんは、AIモデルを作って精度をテストしたとき、こんな経験はありませんか?

「やった!正解率90%が出た!俺のモデル最強!」

と思って、もう一度別のデータで試してみたら…

「あれ?今度は70%しか出ない…なんで?」

これは、AI開発あるあるです。

実は、たまたまテストに使ったデータが「簡単な問題」ばかりだったために、実力以上に良い点数が出てしまった可能性があります。

これでは、本当に実力があるのか、ただ運が良かっただけなのか分かりませんよね。

そこで登場するのが、今回解説する「K-分割交差検証(クロスバリデーション)」です。

これを使えば、まぐれ当たりを排除して、AIの「真の実力」を正確に見極めることができるようになります。

今日は、最も基本的な「ホールドアウト法」と比較しながら、なぜこの手法が優れているのかを解説します。

ライバル「ホールドアウト法」の弱点とは?

K-分割交差検証の凄さを知るには、まず比較対象である「ホールドアウト法」を知る必要があります。

ホールドアウト法は、手持ちのデータを「学習用」と「テスト用」の2つにバサッと分けるだけの、一番シンプルなやり方です。

例えば、100問の過去問(データ)があるとします。

  • 70問を勉強(学習)に使う
  • 30問を実力テスト(評価)に使う

これはとても簡単で速いのですが、大きな弱点があります。

それは、「テスト用の30問の選び方によって、点数が激変する」ということです。

もし、たまたまテスト用の30問が「超難問」ばかりだったら?点数は理不尽に下がります。

逆に、「超簡単な問題」ばかりだったら?実力がないのに満点を取れてしまいます。

つまり、ホールドアウト法による評価は、データの分け方という「運」に左右されやすいのです。

「K-分割交差検証」はここが違う!

そこで、運の要素を極力なくすために考え出されたのが、K-分割交差検証です。

仕組みをイメージで説明しましょう。

先ほどの100問のデータを使って、データを無駄なく使い切る「総当たり戦」を行います。

ここでは、データを5つのグループ( K=5 )に分けるケースで考えてみます。

  1. データを均等に5つのグループ(A, B, C, D, E)に分割します。
  2. 【1回戦】 グループAを「テスト」にし、残り(B〜E)で「学習」して点数を出す。
  3. 【2回戦】 グループBを「テスト」にし、残り(A, C〜E)で「学習」して点数を出す。
  4. これをC、D、Eと順番にテスト担当を変えていき、合計5回テストを行います。
  5. 最後に、5回の点数の「平均点」を計算します。

これがK-分割交差検証の全貌です。

他の手法より優れている2つのポイント

では、なぜこの手法が新人エンジニアにおすすめなのか、具体的なメリットを2つ挙げます。

1. 「まぐれ」や「不運」を排除できる(信頼性が高い)

これが最大のメリットです。

すべてのデータが必ず1回は「テスト用データ」として使われます。

「たまたま簡単な問題ばかり出た」という回があっても、別の回では「難しい問題」を担当することになるため、平均を取ることで運の良し悪しが相殺されます。

その結果、算出されたスコアは「たまたま出た数字」ではなく、そのモデルが持つ「安定した実力」として信頼できるのです。

2. 少ないデータを骨の髄までしゃぶり尽くせる

AI開発の現場では、十分な量のデータが集まらないことがよくあります。

ホールドアウト法だと、貴重なデータの一部を「テスト専用」として隔離しなければなりません。学習に使えないデータが出るのは、少ないデータしか持っていない状況では手痛い損失です。

しかし、K-分割交差検証なら、すべてのデータを学習に使い、すべてのデータをテストにも使います。

「データを1件も無駄にしたくない!」という貧乏性(いや、節約家)な状況において、最強のパフォーマンスを発揮します。

デメリットもしっかり理解しよう

もちろん、良いことばかりではありません。明確なデメリットが一つあります。

それは、「時間がかかる」ことです。

ホールドアウト法なら学習とテストは1回で終わりますが、K-分割交差検証( K=5 の場合)は、単純計算で5倍の時間がかかります。

データが数百万件あるような巨大なプロジェクトでは、5倍の時間は致命的です。そのため、「データが少なめで、精度の信頼性を重視したいとき」に使うのが定石です。

まとめ

最後に、今回のポイントを整理しましょう。

ホールドアウト法

  • 仕組み: データを2つに分けるだけ。
  • メリット: 速い。
  • デメリット: 分け方によって結果がブレる(運ゲーになる)。

K-分割交差検証

  • 仕組み: データを K 個に分けて、役割をローテーションしながら平均を取る。
  • メリット: 結果が安定して信頼できる。データを無駄なく使える。
  • デメリット: 計算に時間がかかる。

新人エンジニアの皆さんが、「自分が作ったモデルの精度、本当にこれで合ってるのかな?」と不安になったときは、迷わずこのK-分割交差検証を使ってみてください。

その「平均点」こそが、あなたのモデルの真の実力です。


次のステップ

このK-分割交差検証を実装してみます。

from sklearn.datasets import load_iris
from sklearn.tree import DecisionTreeClassifier
from sklearn.model_selection import cross_val_score
import numpy as np

# 1. データの準備
# アヤメのデータを読み込みます
data = load_iris()
X = data.data
y = data.target

# 2. モデルの準備
# 今回は「決定木」というシンプルなモデルを使います
model = DecisionTreeClassifier(random_state=42)

# 3. K-分割交差検証の実行
# cross_val_score という関数がすべてを自動でやってくれます
# cv=5 とすることで、データを5つに分割して検証します
scores = cross_val_score(model, X, y, cv=5)

# 4. 結果の表示
print("各回の正解率:")
print(scores)
print("-" * 30)
print(f"平均正解率(真の実力): {np.mean(scores):.3f}")

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
この記事に間違い等ありましたらぜひお知らせください。

学生時代は趣味と実益を兼ねてリゾートバイトにいそしむ。長野県白馬村に始まり、志賀高原でのスキーインストラクター、沖縄石垣島、北海道トマム。高じてオーストラリアのゴールドコーストでツアーガイドなど。現在は野菜作りにはまっている。