なぜ統計学に「円周率」が出てくるの?正規分布に隠された真ん丸な秘密

こんにちは。ゆうせいです。

前回、前々回と、ガンマ関数やネイピア数 e についてお話ししてきました。数式の主役たちが次々と登場して、だいぶ賑やかになってきましたね。

でも、統計学を学んでいると、誰もが一度は抱く「最大の疑問」があります。それは、正規分布の式になぜ円周率 \pi (パイ)が入っているのか?という点です。

「円周率は、円の長さや面積を求めるためのものでしょ? データのバラつきと何の関係があるの?」

今日は、そんな皆さんのモヤモヤを、とっても直感的なイメージで解き明かしていきたいと思います!

1. そもそも \pi とは何だったか

まずは基本に立ち返りましょう。円周率とは、円の直径に対する円周の長さの比率、約 3.14 です。

私たちは小学校以来、「丸いもの」を測るときには必ずこれを使ってきました。しかし、統計学の正規分布は「山なりのカーブ」です。どこにも「円」なんて見当たりませんよね?

実は、この「山」を下から見上げたり、回転させたりすると、驚くべき光景が見えてくるんです。

2. 山を回転させると「円」が現れる!

正規分布の合計面積を 1 にするための計算(積分)をするとき、数学者たちはある工夫をしました。

ひとつの正規分布の山(2次元)を、もうひとつの正規分布と組み合わせて、立体的な「お椀をひっくり返したような形」(3次元)を想像したのです。

この立体を真上から見ると、なんと、どの方向から見ても綺麗な「正円」になっていることが分かります。中心から等しい距離にある点は、同じ確率(高さ)を持っているからです。

この「確率の山」が円形に広がっているため、その体積や面積を計算しようとすると、どうしても円の性質を無視できなくなります。その結果、計算の最終段階で \pi がひょっこりと顔を出すのです。

つまり、正規分布の式に \pi が入っているのは、この分布が「あらゆる方向に平等にバラつく」という、円のような美しさと対称性を持っている証拠なんですよ!

3. 円周率が統計にいるメリット・デメリット

項目メリットデメリット
数学的な調和物理法則や自然現象の多くが円形や球形の対称性を持つため、現実を正確に模写できる「なぜここで 3.14 なの?」という初心者の混乱を招きやすい
極限の正確性データの数が無限に増えると、どんなバラつきもこの「円の秩序」に収束していく手計算で円周率を扱うのは面倒で、コンピュータ前提の式になる

4. 全てがつながる瞬間

ここで、以前お話しした「ガンマ君」を思い出してください。

正規分布の式に含まれる \sqrt{2 \times \pi} という部分は、実はガンマ関数が「円形の立体を平らな面積に押しつぶして、合計を 1 に整えた」ときの結果です。

  • e が、中心から離れるほど確率が減る「勢い」を決め、
  • \pi が、そのバラつきが「全方位に均等であること」を保証し、
  • Γ(ガンマ) が、それらを矛盾なく一つの式にまとめ上げる。

どうでしょう。バラバラだった記号たちが、ひとつのチームとして動いているように見えてきませんか?

これからの学習へのアドバイス

  • 「対称性」を意識する:左右対称の形を見たら、「どこかに円の性質が隠れているかも?」と疑ってみてください。
  • ガウス積分を調べてみる:もし数学に自信があれば、「ガウス積分」という言葉で検索して、どうやって \pi が導かれるかのパズルを楽しんでみてください。
  • 自然界の不思議を感じる:ランダムな出来事の積み重ねが、最終的に円という最も完璧な図形のルールに従う。その神秘に触れるだけで、統計学はもっと面白くなります!

「円周率は円だけのものじゃない」。この事実に気づけたあなたは、もう数式の見た目に惑わされることはありません。

皆さんは、この \pi の登場を「意外」だと感じましたか? それとも「納得」できましたか?

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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学生時代は趣味と実益を兼ねてリゾートバイトにいそしむ。長野県白馬村に始まり、志賀高原でのスキーインストラクター、沖縄石垣島、北海道トマム。高じてオーストラリアのゴールドコーストでツアーガイドなど。現在は野菜作りにはまっている。