AI初心者のための自己符号化器(Autoencoder)と変分自己符号化器(VAE)入門:データの「エッセンス」を抽出する魔法の仕組み

こんにちは。ゆうせいです。

新しい技術を学ぼうとするとき、名前の響きだけで「難しそうだな」と身構えてしまうことはありませんか?特にAIの世界には、自己符号化器や変分自己符号化器といった、漢字が並ぶ呪文のような言葉がたくさん登場します。

でも、安心してください。これらは突き詰めれば「情報の断捨離」と「新しい情報の創造」という、とても人間味のある動きをしているのです。今日は皆さんに、この2つの違いをどこよりも分かりやすく解説しますね。

そもそも、データを圧縮して元に戻すという作業に、どんなワクワクする未来が隠れていると思いますか?


自己符号化器(Autoencoder)は究極の「似顔絵師」

まずは基本となる自己符号化器、英語で Autoencoder(オートエンコーダ)と呼ばれる技術から見ていきましょう。

これは、入力されたデータを一度ギュッと小さくまとめ、そこから再び元のデータを復元しようとする仕組みです。例えば、あなたが友達の顔を誰かに伝えるとき、毛穴の数まで教えたりはしませんよね?「丸顔で、メガネをかけていて、優しそう」といった特徴だけを伝えるはずです。

専門用語の解説:エンコーダとデコーダ

ここで重要な2つの役割を紹介します。

  1. エンコーダ(Encoder)入力を受け取って、重要な特徴だけに絞り込む役割です。これを「符号化」と呼びます。例えるなら、分厚い小説を読んで、そのあらすじを3行にまとめる「要約者」のような存在です。
  2. デコーダ(Decoder)エンコーダがまとめた特徴を元に、元のデータを再現する役割です。これを「復号」と呼びます。3行のあらすじだけを頼りに、元の物語を書き直そうとする「執筆者」だと思ってください。

数式で見る復元の仕組み

自己符号化器がどれだけ正確に元に戻せたかを測るには、以下のような計算が行われます。

入力データ - 再現データ = 復元誤差

この誤差をできるだけ小さくするように、AIは学習を繰り返します。

メリットとデメリット

メリットは、膨大なデータの中から「本当に大切な情報」だけを抜き出せる点です。写真のノイズを取り除いたり、異常なデータを見つけ出したりするのが得意ですよ。

一方で、デメリットもあります。自己符号化器は「覚えたもの」を再現するのは得意ですが、「新しいもの」を作り出すのは苦手なのです。


変分自己符号化器(VAE)は「想像力豊かなクリエイター」

次に、発展形である変分自己符号化器、Variational Autoencoder(VAE)についてお話しします。

普通の自己符号化器が「このデータは、この点に圧縮する!」という固定的な考え方をするのに対し、VAEはもっと柔軟です。「このデータは、だいたいこの辺りの雰囲気(分布)に収まるはずだ」という考え方をします。

専門用語の解説:潜在空間(Latent Space)

エンコーダによって圧縮された情報が置かれる場所を「潜在空間」と呼びます。

普通の自己符号化器では、この空間の中にデータが「点」としてバラバラに存在しています。しかしVAEでは、データが「平均」と「分散」という統計的なルールに従って、綺麗に整列して配置されます。

平均 \mu と分散 \sigma^{2} を使って、データの「たまり場」を作るイメージです。

なぜこんな面倒なことをするのでしょうか?それは、データとデータの間にある「何もない場所」をなくすためです。

VAEの強み:新しいデータの生成

VAEの最大の特徴は、実在しない新しいデータを生み出せることです。

潜在空間が綺麗に整頓されているので、例えば「猫のデータ」と「犬のデータ」の中間地点をデコーダに渡すと、AIが想像力を働かせて「猫っぽい犬」の画像を作り出してくれます。これはクリエイティブな分野で非常に重宝される能力です!


自己符号化器とVAEの違いを比較

両者の違いを表にまとめてみました。

特徴自己符号化器 (Autoencoder)変分自己符号化器 (VAE)
目的データの圧縮・ノイズ除去新しいデータの生成
中間の形特定の数値(点)確率分布(広がり)
性格真面目なコピー機自由な芸術家
苦手なこと未知のデータの作成厳密すぎる再現

皆さんがもし「手書き文字のカスレを取り除きたい」なら自己符号化器を、「新しいキャラクターのデザイン案が欲しい」ならVAEを選ぶのが正解です。


まとめと今後の学習指針

自己符号化器と変分自己符号化器、それぞれの個性が伝わりましたか?

最後に、これらをより深く理解するためのステップを提案します。

  1. 統計学の基礎に触れるVAEを理解する鍵は「確率」にあります。平均や分散といった言葉に慣れておくと、数式が怖くなくなりますよ。
  2. Pythonで実際に動かしてみる理論を学んだ後は、実際にコードを書いてみましょう。数字が画像に変わる瞬間は、何度見ても感動するものです。
  3. 生成AIの世界を覗くVAEの考え方は、最近流行りの画像生成AI(拡散モデルなど)の基礎にもなっています。ここを固めれば、最新技術の理解もグッと早まります。

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
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学生時代は趣味と実益を兼ねてリゾートバイトにいそしむ。長野県白馬村に始まり、志賀高原でのスキーインストラクター、沖縄石垣島、北海道トマム。高じてオーストラリアのゴールドコーストでツアーガイドなど。現在は野菜作りにはまっている。