ニコニコカレンダーとは?新人エンジニア向けにチームの気持ちを見える化する方法を解説

こんにちは。ゆうせいです。

新人研修中に受講者から以下の質問をいただきました。

プロジェクトの空気が重いです。なんとかしたいです。

今回はこのお悩みに応えてニコニコカレンダーを紹介してみたいと思います。

名前だけ聞くと、少しゆるい感じがしますよね。

「ニコニコ?カレンダー?開発と関係あるの?」

そう思うかもしれません。

でも、ニコニコカレンダーは、チーム開発でとても大切な「メンバーの気持ち」や「チームの雰囲気」を見える化するための方法です。

ニコニコカレンダーとは何か

ニコニコカレンダーとは、チームメンバーがその日の気分を顔マークや色付きシールで記録していくカレンダーです。

たとえば、次のような形で使います。

日付山田さん佐藤さん鈴木さん
6/1😊😐😊
6/2😐😞😊
6/3😞😞😐

表情の意味はチームで決めてかまいません。

表情意味の例
😊良い感じ
😐普通
😞つらい、困っている

とてもシンプルですよね。

難しいツールも、複雑な分析も必要ありません。

プラクティスという言葉で説明されることもあります。

プラクティスとは、現場で使われる実践方法のことです。

つまり、理論だけではなく「実際にやってみる改善の型」だと考えてください。

ニコニコカレンダーは何のために使うのか

ニコニコカレンダーの目的は、チームの状態を早めに知ることです。

システム開発では、コードやタスクの進捗は見えやすいです。

たとえば、チケット管理ツールを見れば、次のような情報はわかります。

見えやすい情報内容
タスクの状態未着手、作業中、完了など
担当者誰がどの作業をしているか
レビュー状況レビュー待ちか、修正中か
進捗予定通り進んでいるか

でも、メンバーの気持ちは見えにくいです。

「実は疲れている」

「実は仕様が不安」

「実はレビューで詰まっている」

「実は質問したいけど言い出せない」

こうした状態は、画面上のタスクだけではわかりません。

ニコニコカレンダーは、見えにくい気持ちを少しだけ見えるようにします。

たとえるなら、車のメーターのようなものです。

車は外から見ると普通に走っているように見えても、ガソリンが少ない、エンジンが熱い、タイヤの空気が減っている、という状態がありますよね。

メーターがあるから、故障する前に気づけます。

チームも同じです。

メンバーが毎日黙って作業していると、一見問題がないように見えます。

でも、😞が何日も続いていたら、「何か困っているのかな?」と気づけます。

新人エンジニアにとってなぜ大切なのか

新人エンジニアは、困っていても声を上げにくいことがあります。

「こんなことを聞いていいのかな」

「自分だけ理解できていないのでは」

「先輩が忙しそうだから、あとで聞こう」

このように考えてしまう人は多いです。

でも、質問できない時間が長くなると、作業が止まります。

作業が止まると、焦ります。

焦ると、さらに質問しづらくなります。

まるで、数学の授業で最初の公式がわからないまま、次の問題に進んでしまうような状態です。

最初の小さなつまずきが、後から大きな不安になります。

ニコニコカレンダーがあると、直接「困っています」と言えなくても、😞や😐で小さなサインを出せます。

もちろん、絵文字だけですべては伝わりません。

でも、会話のきっかけにはなります。

先輩が声をかけやすくなる

ニコニコカレンダーを見ると、先輩は次のように声をかけやすくなります。

「昨日から少し元気なさそうだけど、何か詰まってる?」

「レビューで困ってる?」

「仕様の確認、一緒にやろうか?」

この一言があるだけで、かなり助かりますよね。

ニコニコカレンダーの使い方

使い方はとても簡単です。

まず、チームでカレンダーを用意します。

紙でも、ホワイトボードでも、スプレッドシートでも、チャットツールでもかまいません。

次に、気分の種類を決めます。

最初は3段階くらいがわかりやすいです。

記号意味
😊良い
😐普通
😞悪い、困っている

細かくしすぎないことが大切です。

たとえば、10段階評価にすると迷います。

「今日は6かな?いや、7かな?でも午前中は3だったし……」

こんなふうに考え始めると、続きません。

ニコニコカレンダーは、精密な心理検査ではありません。

毎日の体温チェックくらいの軽さで使いましょう。

記入するタイミング

記入するタイミングもチームで決めます。

タイミング特徴
今日のコンディションがわかる
夕方1日を振り返って記録できる
デイリースクラム前会話のきっかけにしやすい

おすすめは、チームで統一することです。

人によって朝に書いたり、夕方に書いたりすると、意味が少しズレます。

温度計を朝に測る人と、運動後に測る人が混ざると、比較しづらいですよね。

ニコニコカレンダーも同じです。

ニコニコカレンダーのメリット

ニコニコカレンダーのメリットは、チームの変化に早く気づけることです。

メリット内容
不調に気づきやすい😞が続いているメンバーに声をかけられる
会話のきっかけになる雑談や相談が生まれやすくなる
チームの雰囲気が見えるスプリント中の空気感を振り返れる
振り返りに使えるレトロスペクティブで原因を考えやすい

レトロスペクティブとは、チームで仕事の進め方を振り返るイベントです。

スクラム開発では、スプリントの終わりに「何がよかったか」「何を改善するか」を話し合います。

スプリントとは、一定期間で区切った開発サイクルのことです。

たとえば、2週間を1スプリントとして、その期間内に機能を作り、確認し、改善します。

ニコニコカレンダーがあると、振り返りで次のような会話ができます。

「今週の後半、😞が多かったですね」

「リリース作業が重なったからかもしれません」

「レビュー待ちが増えて、作業が止まった人もいました」

「次回はレビュー担当を早めに決めましょう」

このように、感覚だけでなく、記録をもとに話せます。

日記を見返すと、そのときの気持ちを思い出しやすいですよね。

ニコニコカレンダーも、チームの日記のような役割を持ちます。

ニコニコカレンダーのデメリット

一方で、ニコニコカレンダーには注意点もあります。

使い方を間違えると、逆効果になります。

一番よくないのは、監視ツールとして使うことです。

たとえば、マネージャーがこう言ったらどうでしょうか。

「なんで今日は😞なんですか?」

「最近😐が多いですね。やる気ありますか?」

「😊をつけるようにしてください」

これは最悪です。

ニコニコカレンダーは、メンバーを評価するための道具ではありません。

気持ちを見える化して、チームで助け合うための道具です。

監視に使われると、メンバーは本音を書かなくなります。

みんなが😊だけを貼るようになったら、もう意味がありません。

たとえるなら、体温計で熱を測ったあとに怒られるようなものです。

「なんで37.8度なんだ!」と怒られたら、次から正直に測りたくなくなりますよね。

ニコニコカレンダーも同じです。

記録された気分を責めてはいけません。

デメリット内容
本音が出ない場合がある公開されるため遠慮する人がいる
幼稚に感じる人もいる顔マークに抵抗を感じる場合がある
評価に使うと逆効果監視されていると感じる
理由まではわからない😞だけでは原因を特定できない

特に大事なのは、「😞が悪い」ではないということです。

😞は問題ではありません。

😞を見ても誰も声をかけない状態が問題です。

ニコニコカレンダーを導入するときの注意点

新人エンジニアがいるチームでニコニコカレンダーを始めるなら、最初に目的を説明してください。

いきなり「今日から気分を貼ってください」と言われると、不安になります。

導入時には、次のように伝えるとよいです。

伝えること理由
評価ではない安心して記録できるようにするため
チームの状態を知るために使う目的を誤解しないようにするため
つらい日があっても大丈夫無理に良く見せる必要をなくすため
理由は任意書きたくないことを守るため
困っている人に気づくため助け合いにつなげるため

ニコニコカレンダーは、信頼関係があってこそ機能します。

信頼関係とは、「正直に言っても責められない」と思える関係です。

安全な教室では、生徒が「わかりません」と言えます。

でも、間違えるたびに笑われる教室では、誰も手を上げませんよね。

開発チームも同じです。

「困っています」と言える空気があるチームは、問題を早く解決できます。

ニコニコカレンダーの良い使い方

良い使い方は、軽く見ることです。

毎日、全員の気分を深掘りする必要はありません。

😞が1日だけなら、「昨日は大変だったのかな」くらいで十分です。

でも、同じ人の😞が何日も続くなら、声をかけましょう。

チーム全体で😞が増えているなら、仕事の進め方に問題があるかもしれません。

カレンダーの状態考えられる原因
1人だけ😞が続く個別に詰まっている可能性がある
チーム全体で😞が多い仕様変更や納期の負荷が高い可能性がある
リリース前だけ😞が増えるリリース作業に不安がある可能性がある
レビュー待ちの日に😐が増える作業が止まっている可能性がある

ここで大切なのは、決めつけないことです。

😞だからといって、必ず仕事が原因とは限りません。

体調、家庭の事情、睡眠不足、人間関係など、いろいろあります。

だから、声をかけるときはやわらかく聞いてください。

「何か手伝えることありますか?」

「作業で詰まっているところありますか?」

「話せる範囲で大丈夫です」

このような言い方がよいです。

詰問ではなく、支援です。

ここを間違えないでください!

新人エンジニアが記録するときのコツ

新人エンジニアとしてニコニコカレンダーを書くときは、正直で大丈夫です。

毎日😊である必要はありません。

わからないことが多い日は😐でもいいです。

ずっと詰まってつらい日は😞でもいいです。

ただし、余裕があれば一言メモを添えると、さらに伝わりやすくなります。

一言メモの例伝わること
環境構築で詰まりました技術的な支援が必要だとわかる
レビュー待ちで少し不安です作業の停滞に気づける
APIの戻り値が理解できていません説明が必要な場所がわかる
テストが通ってうれしいです良い出来事を共有できる

一言あるだけで、先輩は助けやすくなります。

ただし、詳しい個人事情まで書く必要はありません。

ニコニコカレンダーは公開されることが多いので、書く内容はチームで合意しておきましょう。

リモートワークではどう使うか

リモートワークでは、紙のカレンダーを全員で見ることができません。

その場合は、デジタルで運用します。

方法内容
スプレッドシート日付と名前の表に絵文字を入れる
チャット毎日スレッドに絵文字で投稿する
タスク管理ツールカードやコメントに気分を残す
専用ツールムード記録用のボードを使う

デジタルでも大切なことは同じです。

見える場所に置くこと。

気軽に入力できること。

評価に使わないこと。

会話のきっかけにすること。

この4つを守ってください。

ニコニコカレンダーを始めるときの簡単なルール

最初は、ルールを少なくしましょう。

おすすめは次の5つです。

ルール内容
1日1回だけ記録する入力の負担を小さくする
3段階で記録する迷わず選べるようにする
理由は任意にする書きたくない日も尊重する
評価に使わない心理的安全性を守る
😞が続いたら声をかける支援につなげる

心理的安全性とは、自分の意見や不安を言っても、責められたり馬鹿にされたりしないと感じられる状態のことです。

新人エンジニアにとって、心理的安全性はとても重要です。

なぜなら、成長するためには質問や失敗が必要だからです。

自転車の練習を思い出してください。

最初から転ばずに乗れる人は少ないですよね。

転んでも大丈夫な場所があるから、練習できます。

開発チームも同じです。

「わかりません」と言える場所があるから、成長できます。

まとめ

ニコニコカレンダーとは、チームメンバーの気分を顔マークやシールで記録し、チームの状態を見える化する方法です。

目的は、メンバーを評価することではありません。

困っている人に早く気づき、チームで助け合うことです。

新人エンジニアにとっては、声に出しにくい不安を小さく表現できる道具になります。

ただし、使い方を間違えると監視ツールになってしまいます。

大切なこと理由
評価に使わない本音が出なくなるから
軽く続ける面倒だと続かないから
😞を責めない支援のサインだから
会話につなげる見える化だけでは改善しないから
チームで合意する押し付けると反発が起きるから

一言でまとめるなら、こうです。

ニコニコカレンダーは、チームの心の天気予報です。

晴れの日もあれば、くもりの日も、雨の日もあります。

雨の日が悪いわけではありません。

雨が続いているのに、誰も傘を差し出さないことが問題です。

新人エンジニアのうちは、技術だけでなく、チームで働く力も大切です。

今後は、ニコニコカレンダーとあわせて、デイリースクラム、レトロスペクティブ、心理的安全性、1on1、チームビルディングを学ぶと、開発現場でのコミュニケーション力がかなり伸びます。

まずは明日、自分のチームで「最近、みんなの状態を見える化する方法ってありますか?」と聞いてみてください。技術力だけでなく、チームを良くする視点も持てるエンジニアを目指しましょう!

セイ・コンサルティング・グループでは新人エンジニア研修のアシスタント講師を募集しています。

投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
この記事に間違い等ありましたらぜひお知らせください。

学生時代は趣味と実益を兼ねてリゾートバイトにいそしむ。長野県白馬村に始まり、志賀高原でのスキーインストラクター、沖縄石垣島、北海道トマム。高じてオーストラリアのゴールドコーストでツアーガイドなど。現在は野菜作りにはまっている。