ITソリューション営業のヒアリングとは?新人営業担当者向けに質問の流れ・聞くべき項目・商談の進め方を解説

こんにちは。ゆうせいです。

今回は、ITソリューション営業におけるヒアリングについて解説します。

ITソリューション営業では、いきなり商品説明をしても、なかなか受注につながりません。

なぜなら、お客様が本当に求めているものは「システムそのもの」ではなく、「業務上の問題を解決すること」だからです。

たとえば、お客様が「問い合わせ管理システムが欲しい」と言ったとします。

新人営業担当者は、すぐに次のように説明したくなるかもしれません。

Warning

弊社の問い合わせ管理システムには、ステータス管理機能があります。
担当者割り当て機能があります。
メール通知機能があります。
月額料金は〇円です。

もちろん、機能説明も必要です。

しかし、その前に確認すべきことがあります。

なぜ問い合わせ管理システムが必要なのか。

今はどのように管理しているのか。

誰が困っているのか。

対応漏れが起きているのか。

導入後に何を改善したいのか。

こうした背景を聞かずに商品説明をすると、お客様の課題とズレた提案になってしまいます。

つまり、ITソリューション営業のヒアリングは、単なる質問ではありません。

お客様の課題を見つけ、提案の土台を作るための重要な工程です。

ITソリューション営業におけるヒアリングとは

ヒアリングとは、お客様の状況、課題、要望、判断基準、導入条件などを聞き出す活動です。

ただし、雑談のように何となく聞くわけではありません。

営業として、提案に必要な情報を整理しながら聞く必要があります。

たとえるなら、ヒアリングは医師の診察に似ています。

医師は、患者が「薬が欲しい」と言っても、すぐに薬を出しませんよね。

いつから痛いのか。

どこが痛いのか。

熱はあるのか。

過去に同じ症状があったのか。

生活習慣はどうか。

こうした情報を聞いてから、原因を考え、治療方法を決めます。

ITソリューション営業も同じです。

お客様が「システムが欲しい」と言っても、すぐに見積もりや機能説明に進むのではなく、まず診察のように状況を確認します。

ヒアリングの目的

ITソリューション営業のヒアリングには、主に5つの目的があります。

目的内容
現状把握現在の業務、システム、運用方法を理解する
課題発見お客様が困っていること、まだ気づいていない問題を見つける
要望整理欲しい機能や希望条件を整理する
判断基準の確認価格、機能、導入時期、セキュリティなど、何で決めるかを知る
提案材料の収集提案書、見積もり、費用対効果資料に必要な情報を集める

ヒアリングの質が低いと、提案の質も低くなります。

料理で言えば、材料を確認せずに料理を作るようなものです。

相手が辛いものを苦手なのに、激辛料理を出してしまうかもしれません。

お客様に合う提案をするには、まず材料となる情報を集める必要があります。

ヒアリングと雑談の違い

営業では雑談も大切です。

しかし、雑談だけで終わってしまうと、商談は進みません。

ヒアリングと雑談の違いを整理しましょう。

項目雑談ヒアリング
目的関係をやわらかくする提案に必要な情報を集める
内容天気、近況、業界ニュースなど業務、課題、予算、決裁、導入時期など
成果話しやすい雰囲気ができる提案の方向性が決まる
注意点長くなりすぎると本題に入れない質問攻めになると相手が疲れる

雑談は、商談の入口です。

ヒアリングは、提案への道です。

入口でずっと立ち話をしていても、目的地には着きません。

一方で、いきなり質問ばかりしても、相手は身構えます。

雑談で空気を作り、ヒアリングで商談を進める。

このバランスが大切です。

ヒアリングで最初に意識すること

新人営業担当者がまず意識すべきことは、商品説明を急がないことです。

お客様から「御社のサービスについて教えてください」と言われると、すぐに説明したくなります。

しかし、説明の前に一言だけ確認しましょう。

Success

ありがとうございます。
ご説明の前に、より合う内容をお伝えしたいので、今回ご関心を持たれた背景を少し伺ってもよろしいでしょうか。





この一言が非常に重要です。

お客様の背景を聞かずに説明すると、一般的な機能説明になります。

背景を聞いたうえで説明すれば、お客様に関係する部分を重点的に話せます。

同じサービス説明でも、相手に刺さり方が変わります。

ヒアリングの基本の流れ

ITソリューション営業のヒアリングは、次の流れで進めると分かりやすいです。

1. 背景を聞く
2. 現状を聞く
3. 課題を聞く
4. 影響を聞く
5. 理想状態を聞く
6. 判断条件を聞く
7. 決裁プロセスを聞く
8. 次のアクションを決める

この順番には意味があります。

いきなり予算や決裁者を聞くと、お客様は警戒するかもしれません。

まず背景や現状を聞き、会話が深まってから、判断条件や決裁プロセスを確認します。

階段を一段ずつ上がるように進めましょう。

1. 背景を聞く

最初に聞くべきなのは、検討の背景です。

背景とは、お客様が今回相談してきた理由です。

たとえば、次のような背景があります。

背景意味
現場から不満が出ている業務負荷や使いにくさが問題になっている
既存システムの保守期限が近い入れ替えの必要性がある
経営層からDX推進を求められている全社方針として検討している
人手不足が深刻自動化や効率化が必要になっている
他社事例を見て関心を持ったまだ課題が明確でない可能性がある

使える質問例です。

Success
今回、このテーマをご検討されている背景を教えていただけますか。
いつ頃から、この課題を意識されるようになりましたか。
今回のご相談は、現場からのお声でしょうか。それとも経営層からの方針でしょうか。
背景を聞くと、商談の温度感が分かります。

すぐに導入したいのか。

情報収集の段階なのか。

社内で問題が大きくなっているのか。

それとも、まだぼんやりした関心なのか。

背景を知らずに提案すると、急ぎすぎたり、逆に浅すぎたりします。

2. 現状を聞く

次に、現在の状況を聞きます。

ITソリューション営業では、現状把握がとても重要です。

なぜなら、現状が分からなければ、改善提案ができないからです。

たとえば、問い合わせ管理を改善したいお客様に対して、現在の管理方法を聞きます。

Success
現在は、問い合わせをどのように管理されていますか。
Excel、メール、専用システムのどれを使われていますか。
問い合わせ件数は、月にどれくらいありますか。
対応担当者は何名くらいですか。
対応状況は、誰がどのように確認していますか。
現状を聞くときは、業務の流れをイメージします。

業務の流れとは、仕事がどのような順番で進んでいるかです。

問い合わせが来る
        ↓
担当者が確認する
        ↓
返信する
        ↓
対応状況を記録する
        ↓
上司が確認する
        ↓
完了する




この流れを聞かずにシステムを提案すると、現場に合わない提案になります。

地図を見ずに道案内するようなものです。

まず現在地を確認しましょう。

現状確認で聞くべき項目

項目質問例
業務フロー現在の作業は、どのような流れで進んでいますか。
利用ツール現在はExcel、メール、既存システムのどれを使っていますか。
件数月に何件くらい処理されていますか。
担当者数その業務に関わっている方は何名くらいですか。
作業時間1件あたり、または1日あたりどれくらい時間がかかっていますか。
確認方法進捗や完了状況は、どなたがどのように確認していますか。
既存システム連携が必要なシステムはありますか。

新人営業担当者は、まず「現状を図にできるくらい聞く」ことを目指してください。

実際に図を書く必要はありませんが、頭の中で業務の流れが見える状態にします。

3. 課題を聞く

現状を聞いたら、次に課題を聞きます。

課題とは、お客様が解決したい問題です。

ただし、お客様が最初から課題をきれいに言語化できるとは限りません。

次のような言葉から、課題を探していきます。

Warning

手間がかかっている
確認が大変
ミスが多い
属人化している
情報が探しにくい
対応漏れがある
集計に時間がかかる
現場から不満が出ている





使える質問例です。

Success
現在の運用で、一番手間がかかっている作業はどこですか。
ミスや確認漏れが起きやすい場面はありますか。
特定の担当者様しか分からない作業はありますか。
現場の方からよく出る不満や要望はありますか。
もし今の業務を改善できるなら、最初に変えたい部分はどこですか。
課題を聞くときのポイントは、「困っていますか?」だけで終わらないことです。

お客様は、困っている状態に慣れていることがあります。

毎日重い荷物を持っている人は、その重さを普通だと思っているかもしれません。

営業担当者は、具体的な場面を聞いて、負担を見える化します。

課題の種類

ITソリューション営業でよくある課題は、次のように整理できます。

課題の種類内容
工数の課題作業時間がかかりすぎる毎月の集計に3日かかる
品質の課題ミスや漏れが発生する入力ミス、対応漏れ、二重登録
属人化の課題特定の人しか分からない担当者が休むと業務が止まる
情報共有の課題必要な情報が見つからないファイルが散らばっている
管理の課題進捗や状況が見えない誰がどこまで対応したか分からない
セキュリティの課題情報管理に不安がある権限管理ができていない
拡張性の課題今後の増加に耐えられない件数が増えると手作業では限界

課題を分類できると、提案もしやすくなります。

たとえば、工数の課題なら自動化や連携を提案します。

管理の課題ならダッシュボードやステータス管理を提案します。

セキュリティの課題なら権限管理やログ管理を提案します。

4. 影響を聞く

課題を聞いたら、次に影響を聞きます。

影響とは、その課題によって何が起きているかです。

営業では、この影響確認が非常に重要です。

なぜなら、課題の影響が小さければ、お客様はお金を払ってまで解決しようと思わないからです。

たとえば、次の2つを比べてください。

集計作業が少し面倒です。
毎月の集計に3日かかり、担当者が残業しています。さらに、数字のミスがあると役員会議の資料を作り直しています。

後者のほうが、解決する必要性が強く伝わりますよね。

影響を聞くことで、課題の大きさが見えてきます。

影響を聞く質問例

Success
その作業には、月にどれくらい時間がかかっていますか。
そのミスが起きると、どのような対応が必要になりますか。
対応漏れが起きた場合、お客様や社内にどのような影響がありますか。
その業務負担は、どの部署や担当者に集中していますか。
現在の運用を続けた場合、半年後や1年後に問題が大きくなりそうですか。




影響は、できるだけ数字で確認します。

聞く数字
件数月に何件処理しているか
時間1件あたり何分かかるか
人数何名が関わっているか
頻度ミスや問い合わせが月に何回起きるか
金額外注費、残業代、機会損失はいくらか

数字があると、費用対効果を説明しやすくなります。

お客様が社内で上司に説明するときにも役立ちます。

5. 理想状態を聞く

課題と影響を聞いたら、次に理想状態を聞きます。

理想状態とは、導入後にどうなっていたいかです。

ITソリューション営業では、商品を導入すること自体がゴールではありません。

導入後に業務が良くなることがゴールです。

使える質問例です。

Success
今回の導入が成功だったと言える状態は、どのような状態でしょうか。
どの作業がどれくらい楽になると、効果を感じられそうですか。
現場の方から、どのような反応が出れば成功と言えそうですか。
経営層に報告するとき、どのような成果を示したいですか。
理想状態を聞くことで、提案のゴールが明確になります。
理想状態提案の方向性
作業時間を減らしたい自動化、入力補助、システム連携
ミスを減らしたい入力チェック、承認フロー、権限管理
状況を見える化したいダッシュボード、ステータス管理、通知
属人化をなくしたい標準フロー、マニュアル化、履歴管理
現場に定着させたい操作性、教育、導入支援

理想状態を確認しない提案は、ゴールのないマラソンのようなものです。

どこに向かうのか分からないまま走ることになります。

6. 判断条件を聞く

次に、判断条件を聞きます。

判断条件とは、お客様が導入を決めるときに重視するポイントです。

ITソリューションでは、判断条件が複数あります。

判断条件内容
価格予算内に収まるか
機能必要なことができるか
使いやすさ現場が使いこなせるか
導入期間希望時期までに導入できるか
セキュリティ社内基準を満たすか
サポート導入後に相談できるか
実績同業他社での導入事例があるか
拡張性将来の利用拡大に対応できるか

使える質問例です。

Success
今回のご検討で、特に重視されるポイントは何ですか。
価格、機能、導入期間、サポートの中では、どれが最も重要ですか。
比較検討される場合、どのような基準で判断されますか。
決裁者様は、どの点を一番気にされそうですか。
判断条件を聞かずに提案すると、相手が気にしていない部分を一生懸命説明してしまうことがあります。

たとえば、お客様が一番気にしているのはセキュリティなのに、営業担当者が価格と機能ばかり説明していたらどうでしょうか。

お客様は「この会社は分かっていない」と感じるかもしれません。

判断条件を知ることで、提案の重点を決められます。

7. 予算を聞く

新人営業担当者が苦手に感じやすいのが、予算確認です。

しかし、ITソリューション営業では予算を聞かないと、現実的な提案ができません。

予算を聞くことは失礼ではありません。

むしろ、お客様に合う提案をするために必要です。

聞き方の例です。

Success
今回のご検討では、すでにご予算の目安はありますか。
まだ明確な予算は決まっていない段階でしょうか。
社内で予算化する場合、どの程度の金額感であれば検討しやすいですか。
初期費用を抑えたいか、月額費用を抑えたいか、どちらを重視されますか。
予算が決まっていない場合もあります。

その場合は、予算化のための材料を作る方向に切り替えます。

まだご予算が決まっていないようでしたら、まずは概算費用と費用対効果を整理し、社内でご検討いただける資料にしましょうか。

予算を聞く目的は、相手のお財布を探ることではありません。

現実的な提案範囲を決めることです。

8. 決裁プロセスを聞く

ITソリューションは、担当者だけで決まらないことが多いです。

上司、情報システム部門、現場部門、経営層、購買部門など、複数の関係者が関わります。

そのため、決裁プロセスを確認する必要があります。

決裁プロセスとは、誰がどの順番で判断するかという流れです。

現場担当者が情報収集する
        ↓
課長が比較検討する
        ↓
部長が予算確認する
        ↓
情報システム部門がセキュリティ確認する
        ↓
役員が最終決裁する




使える質問例です。

Success
今回のご検討には、どなたが関わられますか。
最終的な決裁者様はどなたになりますか。
情報システム部門様の確認は必要になりますか。
社内で検討される際、どのような流れで進みますか。
次回のお打ち合わせには、どなたにご同席いただくと検討が進みやすいですか。
決裁プロセスを聞かないと、担当者とは盛り上がっているのに、上司で止まることがあります。

営業担当者は、目の前の担当者だけでなく、その先にいる関係者も意識してください。

9. 導入時期を聞く

導入時期も重要です。

導入時期によって、提案内容、スケジュール、見積もり、体制が変わります。

使える質問例です。

Success

いつ頃までに導入したいとお考えですか。

本格稼働の希望時期はありますか。
その時期に導入したい理由はありますか。
社内の予算申請や稟議のスケジュールはいつ頃ですか。

もし来期導入の場合、検討開始はいつ頃から必要になりそうですか。





導入時期では、「いつ入れたいか」だけでなく、「なぜその時期なのか」を聞きます。

理由によって、緊急度が分かります。

導入時期の理由意味
既存システムの保守終了期限が明確で緊急度が高い
新年度から使いたい予算や組織変更と関係する
繁忙期前に整備したい業務負荷を下げたい
まだ未定情報収集段階の可能性が高い

時期が未定でも、商談が弱いとは限りません。

まだ情報整理の段階かもしれません。

その場合は、導入時期ではなく、検討開始時期や予算化時期を確認しましょう。

10. 不安を聞く

IT導入には不安がつきものです。

お客様は、次のような不安を持っています。

Warning

本当に効果が出るのか
現場が使ってくれるのか
導入作業が大変ではないか
今のシステムと連携できるのか
セキュリティは大丈夫か
失敗したら責任を問われないか





営業担当者は、不安を聞く必要があります。

不安を聞かないまま提案すると、最後に「やっぱり不安なので見送ります」と言われることがあります。

使える質問例です。

Success
導入にあたって、不安に感じている点はありますか。
過去にシステム導入でうまくいかなかった経験はありますか。
現場の方が抵抗を感じそうな点はありますか。
社内で反対意見が出るとしたら、どのような点だと思いますか。
不安を聞くと、提案に安心材料を入れられます。
不安提案に入れるべき内容
効果が分からない費用対効果、事例、PoC
導入が大変そう導入スケジュール、支援体制、作業分担
現場が使わない操作説明、マニュアル、定着支援
セキュリティが心配権限管理、監査ログ、セキュリティ資料
既存システム連携が不安連携方式、技術確認、事前調査

不安は、隠れた反論です。

早めに聞いておけば、提案で先回りできます。

ヒアリングで使える基本質問集

ここまでの内容を、質問集として整理します。

分類質問例
背景今回ご検討を始められた背景を教えていただけますか。
現状現在はどのような流れで業務を進めていますか。
課題今の運用で一番手間がかかっている部分はどこですか。
影響その課題により、どのような影響が出ていますか。
理想導入後、どのような状態になれば成功と言えますか。
判断基準今回の検討で、特に重視されるポイントは何ですか。
予算ご予算の目安はありますか。
決裁最終的な決裁には、どなたが関わられますか。
時期いつ頃までに導入したいとお考えですか。
不安導入にあたって不安に感じている点はありますか。
次回次回はどなたにご同席いただくと検討が進みやすいですか。

新人営業担当者は、この表を商談前に見て準備してください。

商談中に全部聞く必要はありません。

ただし、どの情報が足りていないかを意識しながら会話することが大切です。

ヒアリングでやってはいけないこと

ヒアリングには、やってはいけないこともあります。

NG行動なぜ悪いか
質問攻めにするお客様が尋問されているように感じる
メモを取らない聞いた内容を忘れ、信頼を失う
すぐ商品説明に戻る課題を深掘りできない
お客様の発言を否定する話してもらえなくなる
誘導質問ばかりする営業都合の会話になる
予算や決裁を聞かない提案後に商談が止まりやすい
課題を勝手に決めつけるお客様の実情とズレる

ヒアリングは、質問リストを上から読み上げる作業ではありません。

相手の話を聞き、反応を見ながら、必要な情報を自然に深掘りする会話です。

釣りで例えるなら、力任せに引っ張るのではなく、相手の動きを見ながら糸を調整するようなものです。

良いヒアリングの会話例

問い合わせ管理システムを例に、良いヒアリングの流れを見てみましょう。

  • お客様「問い合わせ管理システムを探しています」
  • 営業「ありがとうございます。今回、問い合わせ管理システムをご検討されている背景を教えていただけますか」

  • お客様「最近、問い合わせ件数が増えてきまして」
  • 営業「問い合わせ件数が増えているのですね。現在はどのように管理されていますか」

  • お客様「メールとExcelで管理しています」
  • 営業「メールとExcelで管理されているのですね。運用上、特に困っている点はありますか」

  • お客様「誰が対応しているか分かりにくいです」
  • 営業「対応状況が見えづらいのですね。そのことで対応漏れや二重対応が起きることはありますか」

  • お客様「月に数件あります」
  • 営業「月に数件あるのですね。その場合、お客様への返信遅れや社内確認の手戻りが発生しますか」

  • お客様「はい。クレームになることもあります」
  • 営業「そうしますと、今回の目的は問い合わせを一元管理するだけでなく、対応状況の見える化と対応漏れ防止が重要になりそうですね」

  • お客様「そうです」
  • 営業「ありがとうございます。では、ステータス管理、担当者割り当て、通知機能、対応履歴の確認を中心にご提案したほうがよさそうです」




この会話では、営業担当者はすぐに機能説明をしていません。

背景、現状、課題、影響を順番に聞いています。

その結果、お客様自身も「何を解決したいのか」を整理できています。

良いヒアリングは、お客様の頭の中を一緒に整理する作業です。

悪いヒアリングの会話例

次に、悪い例です。

Danger
  1. お客様「問い合わせ管理システムを探しています」
  2. 営業「弊社のシステムは問い合わせを一覧管理できます。通知機能もあります。料金は月額〇円です。導入も簡単です」
  3. お客様「なるほど」
  4. 営業「資料を送りますね」
  5. お客様「お願いします」




この会話では、情報がほとんど取れていません。

なぜ検討しているのか。

現在どう管理しているのか。

どんな課題があるのか。

どの機能が重要なのか。

誰が決めるのか。

何も分かっていません。

この状態で資料を送っても、他社資料と一緒に比較されるだけになりやすいです。

御用聞き営業で終わってしまいます。

ヒアリング結果を提案に変える

ヒアリングは、聞いて終わりではありません。

聞いた内容を提案に変える必要があります。

提案に変えるときは、次の形で整理します。

現状
        ↓
課題
        ↓
影響
        ↓
理想状態
        ↓
提案内容
        ↓
期待効果




たとえば、問い合わせ管理システムなら次のように整理できます。

項目内容
現状メールとExcelで問い合わせを管理している
課題担当者と対応状況が見えづらい
影響対応漏れや返信遅れが月に数件発生している
理想状態問い合わせの状況を一覧で確認し、漏れなく対応したい
提案内容問い合わせ管理システム、担当者割り当て、ステータス管理、通知機能
期待効果対応漏れ削減、進捗確認の効率化、顧客満足度向上

このように整理すると、提案が単なる機能説明ではなくなります。

お客様の課題に対応した提案になります。

ヒアリング後に送るメールの例

ヒアリング後は、必ず内容を整理してメールで送るとよいです。

議事録のような役割になります。

件名:本日のお打ち合わせ内容の整理

〇〇株式会社
〇〇様

本日はお時間をいただき、ありがとうございました。

本日伺った内容を以下の通り整理いたします。

■ご検討の背景
問い合わせ件数の増加により、現在のメールとExcelでの管理に負担が出ている。

■現在の運用
・問い合わせはメールで受信
・担当者がExcelへ転記
・対応状況はExcel上で管理
・上長が定期的に進捗を確認

■課題
・担当者ごとの対応状況が見えづらい
・対応漏れや返信遅れが月に数件発生している
・集計や確認に時間がかかっている

■ご提案の方向性
・問い合わせの一元管理
・担当者割り当て
・ステータス管理
・対応漏れ防止の通知
・対応履歴の確認

次回は、上記内容を踏まえたご提案資料と概算費用をお持ちいたします。

引き続きよろしくお願いいたします。

このメールを送ることで、認識ズレを防げます。

お客様も「ちゃんと理解してくれている」と感じやすくなります。

ヒアリング力を上げる練習方法

ヒアリング力は、練習で伸ばせます。

新人営業担当者におすすめの練習方法を紹介します。

練習方法内容
質問リストを作る商材ごとに聞くべき質問を整理する
ロールプレイをする上司や先輩にお客様役をしてもらう
商談後に振り返る聞けた情報、聞けなかった情報を整理する
議事録を書くお客様の課題を文章化する練習をする
先輩の商談に同席するどの順番で質問しているか観察する
業界知識を学ぶお客様の業務を理解し、質問の質を上げる

特におすすめなのは、商談後の振り返りです。

次のように確認してください。

現状は聞けたか
課題は聞けたか
影響を数字で聞けたか
理想状態を聞けたか
予算を聞けたか
決裁者を聞けたか
次回アクションを決めたか

背景は聞けたか

聞けなかった項目があれば、次回の商談で補います。

一度の商談ですべて完璧に聞けなくても大丈夫です。

ただし、足りない情報を自覚することが大切です。

ヒアリングのメリット

良いヒアリングができると、営業活動に多くのメリットがあります。

メリット説明
提案の精度が上がるお客様の課題に合った提案ができる
価格競争になりにくい機能や価格だけでなく価値で比較される
お客様から信頼される理解してくれる営業だと感じてもらえる
決裁者向け資料を作りやすい判断材料が整理できる
失注理由が分かりやすい何が足りなかったのか振り返りやすい
導入後のミスマッチが減る期待値と提案内容のズレを減らせる

ヒアリングがうまい営業担当者は、話し上手というより聞き上手です。

お客様の言葉を拾い、整理し、提案へつなげます。

ヒアリングのデメリットや注意点

ヒアリングにも注意点があります。

注意点説明
時間がかかる深く聞くほど商談時間が必要になる
質問が多すぎると疲れさせる会話の流れを意識する必要がある
聞くだけで終わると価値が出ない最後は提案につなげる必要がある
準備不足だと浅い質問になる業界や業務を理解しておく必要がある
決めつけるとズレる仮説は持ちつつ、確認が必要

ヒアリングは、聞けば聞くほど良いというものではありません。

お客様の時間をいただいているため、目的を持って聞く必要があります。

質問のための質問ではなく、提案に必要な質問をしましょう。

新人営業担当者が最初に覚えるべき型

最後に、新人営業担当者が最初に覚えるべきヒアリングの型を紹介します。

背景
        ↓
現状
        ↓
課題
        ↓
影響
        ↓
理想
        ↓
判断条件
        ↓
次回アクション




商談中に迷ったら、この順番に戻ってください。

特に大切なのは、背景、現状、課題、影響です。

この4つが聞けていれば、提案の土台はかなり作れます。

項目最低限聞く質問
背景今回ご検討を始められた背景は何ですか。
現状現在はどのように運用されていますか。
課題一番困っている点はどこですか。
影響その課題によって、どのような影響が出ていますか。
理想導入後、どのような状態にしたいですか。
判断条件今回の検討で重視される点は何ですか。
次回次回までに弊社から何をご用意すればよいですか。

この型を覚えるだけでも、商談の質は大きく変わります。

まとめ

ITソリューション営業のヒアリングは、お客様の課題を見つけ、解決策を提案するための重要な活動です。

単に要望を聞くだけでは、御用聞き営業で終わってしまいます。

背景、現状、課題、影響、理想状態、判断条件、決裁プロセスまで確認することで、ソリューション営業らしい提案ができます。

ヒアリング項目意味
背景なぜ今検討しているのか
現状今どのように業務を進めているのか
課題何に困っているのか
影響その課題がどれくらい問題になっているのか
理想導入後にどうなりたいのか
判断条件何を基準に決めるのか
決裁誰がどのように判断するのか
時期いつまでに導入したいのか
不安導入にあたって何を心配しているのか

一言でまとめるなら、ITソリューション営業のヒアリングは「お客様の頭の中にある課題を一緒に整理する作業」です。

新人営業担当者は、まず次の一言から始めてください。

より合うご提案をするために、今回ご検討されている背景を教えていただけますか。

この一言が、商品説明だけの営業から、課題解決型の営業へ進む入口になります。

今後の学習では、業界研究、業務フロー理解、課題整理、質問力、費用対効果、決裁者ヒアリング、提案書作成、導入後のフォローを順番に学ぶとよいです。まずは次の商談で、背景、現状、課題、影響の4つを必ず聞く練習から始めましょう!

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
この記事に間違い等ありましたらぜひお知らせください。

学生時代は趣味と実益を兼ねてリゾートバイトにいそしむ。長野県白馬村に始まり、志賀高原でのスキーインストラクター、沖縄石垣島、北海道トマム。高じてオーストラリアのゴールドコーストでツアーガイドなど。現在は野菜作りにはまっている。