先行する情報が行動を決める:プライミング効果の仕組みと研修への応用

こんにちは。ゆうせいです。

研修や会議の前に見聞きした言葉が、その後の課題の取り組み方や意見に影響を与える場面を見受けることがあります。人間は、直前に触れた情報に無意識のうちに引っ張られ、次の判断や行動を決定する傾向を備えています。本稿では、行動経済学および認知心理学の概念であるプライミング効果について解説します。

プライミング効果とは何か

プライミング効果とは、先行して見聞きした情報(先行刺激またはプライマー)が、その後の思考や行動、判断に無意識の影響を及ぼす心理的な仕組みを指します。脳内の記憶のネットワークにおいて、ある概念が刺激されると、関連する他の概念も活性化しやすくなる性質に起因しています。

高校生の英単語のテストを例に説明します。一部の文字が隠された英単語の穴埋め問題に取り組む場面を想定します。テストを受ける直前に、生徒が果物に関する文章を読んでいた場合、隠された単語が「a_p_e」と提示されると、多くの生徒はappleという単語を即座に思い浮かべます。一方、テストの直前に果物とは全く関係のない文章を読んでいた生徒は、答えを導き出すまでに時間を要する傾向を示します。事前に触れた果物という情報が先行刺激となり、関連する記憶を引き出しやすい状態を形成している状態が、プライミング効果に該当します。

プライミング効果による影響

先行する情報が人間の認知に与える影響を踏まえ、プライミング効果が発生した場合の利点と不利益を列挙します。

先行情報による不利益

  • 研修の直前に参加者が業務の失敗や困難な事例に関する会話をしていた場合、研修中の課題に対しても消極的な態度をとる傾向が生じる
  • 研修の主題とは無関係な画像や言葉が資料の冒頭に配置されていると、参加者の思考が本題からそれてしまい、学習の効率が低下する
  • 否定的な言葉を事前に提示されることで、参加者の認知機能が一時的に下がり、問題解決にかかる時間が増加する

先行情報を活用する利点

  • 研修の冒頭で学習内容に関連する重要なキーワードを提示しておくことで、後の詳しい説明に対する参加者の理解速度を向上させられる
  • 協調性や達成感を連想させる言葉をあらかじめ見せておくことで、グループワークでの参加者同士の円滑なコミュニケーションを促すことができる
  • 適切な先行刺激を与えることで、参加者が自発的に知識を関連付ける手助けとなり、学習の定着を促進できる

学習を促進するためのステップ

先行刺激の仕組みを応用し、参加者の学習を適切な方向へ導くためには、以下の手順で情報の提示方法を調整する手法が有効です。

1. 目指す状態を定義する

研修を通じて参加者にどのような思考や行動をとってほしいかを明確にします。活発な議論を求めるのか、正確な手順の理解を求めるのかを決定します。

2. 先行刺激を選定する

定義した状態を引き出すために適した言葉や文章を選びます。活発な議論を促したい場合は、創造、発展、共有といった言葉をリストアップします。

3. 研修の冒頭に情報を配置する

選定した言葉を、研修の開始前の雑談、配布資料の表紙、または最初に行う簡単なワークの中に自然な形で組み込みます。

4. 直後に主要な課題を提示する

先行刺激の影響が残っている段階で、研修の核心となる課題や討議を参加者に提示し、事前の情報が課題への取り組み方にどのような影響を与えたかを確認します。

人間は、直前に触れた情報によって思考の準備を整える性質を持っています。まずは、次回の研修で使用するスライドの1枚目に、参加者に期待する姿勢を表す単語を配置し、説明を始める手順から進めてください。事前の情報を意図的に設定することで、参加者の思考を本題に向かわせる環境の構築が可能になります。

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
海外放浪の末、2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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学生時代は趣味と実益を兼ねてリゾートバイトにいそしむ。長野県白馬村に始まり、志賀高原でのスキーインストラクター、沖縄石垣島、北海道トマム。高じてオーストラリアのゴールドコーストでツアーガイドなど。現在は野菜作りにはまっている。