期待値の線形性とは:2つのサイコロを用いた計算手順と性質の解説
こんにちは。ゆうせいです。
確率や統計を学ぶ際、期待値という概念が登場します。期待値とは、ある試行を行ったときに得られる結果の平均的な値のことです。本記事では、期待値の重要な性質である期待値の線形性について、サイコロを用いた具体的な計算を通して解説します。
期待値の線形性とは
期待値の線形性とは、複数の確率変数を足し合わせたときの全体の期待値が、個別の確率変数の期待値を足し合わせた数値と等しくなる性質を指します。確率変数とは、サイコロの出目のように、確率によって結果が決まる値のことです。
専門用語である期待値の線形性を、高校の文化祭に例えて説明します。A組がたこ焼きの模擬店を、B組が焼きそばの模擬店を出店するとします。A組の予想される売上とB組の予想される売上を足し合わせると、2クラス合計の予想売上になります。2つのクラスが隣同士で客を奪い合う関係であっても、協力する関係であっても、合計の予想売上はそれぞれのクラスの予想売上を単純に足し合わせた金額になります。複雑な相互関係を考慮せず、個別の平均を足すだけで全体の平均がわかるという性質が、期待値の線形性です。
サイコロを用いた計算手順
期待値の線形性が成り立つ過程を、2つのサイコロを振る計算手順で確認します。サイコロAとサイコロBの2つを用意し、それぞれの出目の和の期待値を求めます。
個別の期待値を足し合わせる計算
まず、サイコロAを1回振ったときの出目の期待値を計算します。出目は1から6まであり、それぞれの目が出る確率は1/6です。期待値は以下の計算式で求められます。
1 × (1/6) + 2 × (1/6) + 3 × (1/6) + 4 × (1/6) + 5 × (1/6) + 6 × (1/6) = 3.5
サイコロAの出目の期待値は3.5となります。同様に、サイコロBの出目の期待値も3.5です。
期待値の線形性を適用すると、サイコロAの出目とサイコロBの出目の和の期待値は、3.5と3.5を足した7になります。
全てのパターンから期待値を直接求める計算
次に、期待値の線形性を使わずに、2つのサイコロの出目の和から直接期待値を計算します。2つのサイコロの出目の組み合わせは全部で36通りあります。出目の和とその和になる確率は以下の通りです。
- 和が2になる確率:1/36
- 和が3になる確率:2/36
- 和が4になる確率:3/36
- 和が5になる確率:4/36
- 和が6になる確率:5/36
- 和が7になる確率:6/36
- 和が8になる確率:5/36
- 和が9になる確率:4/36
- 和が10になる確率:3/36
- 和が11になる確率:2/36
- 和が12になる確率:1/36
それぞれの和に確率を掛けて足し合わせる計算式は以下のようになります。
2 × (1/36) + 3 × (2/36) + 4 × (3/36) + 5 × (4/36) + 6 × (5/36) + 7 × (6/36) + 8 × (5/36) + 9 × (4/36) + 10 × (3/36) + 11 × (2/36) + 12 × (1/36) = 7
すべての組み合わせから直接計算した期待値も7になり、個別の期待値を足し合わせた結果と一致します。サイコロの計算手順を通して、期待値の線形性が成り立つ過程を確認できました。
期待値の線形性のメリットとデメリット
期待値の線形性を活用する際のメリットとデメリットを解説します。
メリット
期待値の線形性を利用する最大のメリットは、計算手順を大幅に削減できる点です。2つのサイコロの例では、直接計算すると36通りの組み合わせをすべて考える必要がありました。しかし線形性を利用すれば、1つのサイコロの期待値を求めて足すだけで答えが出ます。扱う変数が多くなるほど、個別の計算を足し合わせる手法は時間を節約する有効な手段となります。
デメリット
期待値の線形性のデメリットは、適用できる演算が足し算と引き算に限定される点です。線形性は変数同士の掛け算には適用できません。確率変数Xと確率変数Yの積の期待値を求める場合、Xの期待値とYの期待値を単純に掛け合わせる計算は、XとYが互いに独立であるという特定の条件を満たす場合を除いて誤った結果になります。適用範囲を誤ると正しくない結果を導く原因となります。
まとめと次の学習ステップ
本記事では、期待値の線形性について、2つのサイコロを用いた計算を通して解説しました。全体の期待値が個別の期待値の和になる性質は、統計学やデータ分析において頻繁に利用されます。
今後の学習手順として、以下のステップを進めることをお勧めします。
- 分散の性質を学ぶ期待値に続いて、データのばらつきを表す分散について学習を進めてください。分散には線形性が無条件で成り立つわけではない点を比較しながら学ぶと理解が深まります。
- 独立と従属の違いを整理する確率変数が互いに影響を与えない独立な状態と、影響を与え合う従属な状態の違いについて学習を進めてください。掛け算における期待値の扱いを理解する上で不可欠な知識となります。
- 確率分布の種類を把握する二項分布や正規分布など、代表的な確率分布について学習を進めてください。期待値の計算が実際のデータにどのように適用されるかを把握できるようになります。
各ステップを順番に確認し、統計の基礎知識を広げていってください。
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投稿者プロフィール

- 代表取締役
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セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
海外放浪の末、2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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学生時代は趣味と実益を兼ねてリゾートバイトにいそしむ。長野県白馬村に始まり、志賀高原でのスキーインストラクター、沖縄石垣島、北海道トマム。高じてオーストラリアのゴールドコーストでツアーガイドなど。現在は野菜作りにはまっている。


