CNNにおけるプーリング層の役割と必要性を初心者向けに解説
こんにちは。ゆうせいです。
画像認識の技術として広く用いられる畳み込みニューラルネットワーク(CNN)では、画像から特徴を抽出する畳み込み層の直後に、プーリング層と呼ばれる処理層が頻繁に配置されます。畳み込み処理によって抽出された情報をそのまま次の層へ渡すのではなく、プーリング層を経由させる背景には、画像データの処理効率や認識精度を安定させるための明確な理由が存在します。プーリング層の基本概念、導入する理由、メリットとデメリットを順を追って解説します。
プーリング層の基本概念と処理の仕組み
プーリング層は、画像や特徴マップの縦横の寸法を縮小し、保持するデータ量を集約して圧縮する層です。畳み込み層のように調整すべき学習パラメータを持たず、あらかじめ決められた規則に従って数値を計算します。
プーリングの働きをモザイク画の遠目に例える
プーリングの役割は、細かなタイルで敷き詰められたモザイク画から少し離れて、全体の構図を大まかに把握する見方に例えられます。
モザイク画の目の前に立ち止まり、タイルの1枚1枚を凝視している状態では、細かな欠けや位置のわずかなずれに意識が向いてしまい、何が描かれているのか全体像を把握しにくくなります。少し後ろに下がり、視界を少しぼかして眺めることで、タイルの細かな位置の差異を気にすることなく、描かれている人物の輪郭や風景の形を捉えられるようになります。
CNNのプーリング層も同様に、画像の局所的なマス目の中で最も目立つ特徴だけを拾い上げることで、細かな位置のずれを吸収し、大まかな特徴だけを残す処理を行います。
プーリング層が必要とされる3つの理由
畳み込み処理の後にプーリング層を組み込む主な目的は、位置のずれに対する耐性の向上、計算負荷の低減、受容野の拡大の3点に整理されます。
位置の微小な変化に対する不変性の獲得
手書き数字や写真に写る被写体は、撮影の角度や筆跡によって、輪郭の位置が数ピクセル単位で上下左右にずれる場合があります。
入力画像の全体を厳密に照合する手法では、特徴の位置が1ピクセルずれただけでも別の画像と判断してしまう恐れが生じます。プーリング層によって近傍の領域から代表値を抽出すると、領域の内部で特徴の位置が少し移動しても、同じ代表値が出力されやすくなります。微小な平行移動や傾きに対して認識結果を安定させる性質を、位置の不変性と呼びます。
計算量とメモリ使用量の削減
高解像度の画像データをそのまま何層も畳み込み処理し続けると、ネットワーク内部を流れるデータの総量が膨大な数値となります。
プーリング層を通過させて縦横のサイズを半分に縮小すると、データ全体の面積は4分の1に減少します。後続の畳み込み層や全結合層で実行される掛け算や足し合わせの回数が大幅に削減され、コンピュータのメモリ消費と学習にかかる時間を抑制できます。
受容野の効率的な拡大
受容野とは、出力層に近いノードが入力画像のどれだけの広さを視野に収めているかを示す範囲を指します。
画像サイズを圧縮した後に畳み込み層を適用すると、同じ大きさのフィルタを用いても、元の入力画像に対して相対的により広い範囲の情報を1つのマス目で捉えられるようになります。細部の点や線だけでなく、物体全体の配置関係を把握するために、段階的なサイズ縮小が役立ちます。
プーリングの種類と計算手順
代表的なプーリングの手法には、最大プーリング(Max Pooling)と平均プーリング(Average Pooling)の2種類が存在します。画像認識では、特徴の有無を強調しやすい最大プーリングが広く採用されています。
縦2マス、横2マスの計4マスで構成される局所領域に対して最大プーリングを適用する場合、4つの数値の中から最も大きい数値を1つだけ選び出し、出力値とします。
入力領域の数値を次のように仮定します。
左上:3、右上:8
左下:1、右下:4
最大プーリングを適用した場合、領域内の最大値である8が選ばれます。平均プーリングを適用した場合は、4つの数値の合計を4で割る計算を行います。
この領域走査を、歩幅(ストライド)を2マスずつずらしながら画像全体に対して反復します。縦横それぞれのサイズが半分に縮小され、面積としては4分の1の大きさを持つ新しい特徴マップが生成されます。
プーリング層のメリットとデメリット
CNNの構造にプーリング層を組み込む際の特性を整理します。
メリット
- 被写体の位置の細かなずれやわずかな変形に対して出力が変動しにくくなり、認識の安定性が向上します。
- データの縦横寸法を圧縮することで、ネットワーク全体の計算コストとメモリ消費量を低く抑えられます。
- 重みやバイアスといった学習対象のパラメータを持たないため、モデルの自由度が増えすぎず、過学習の防止に寄与します。
デメリット
- 領域内の最大値や平均値以外の数値がすべて捨てられるため、物体の輪郭の正確な位置情報や微細なテクスチャが失われます。
- 画像内のどこに物体があるかをピクセル単位で正確に特定するセグメンテーションなどのタスクでは、位置精度の低下を引き起こす原因になります。
まとめ
プーリング層に関する理解を深めるための学習手順は次の通りです。
- 4×4のマス目に数値を配置した配列を想定し、2×2の枠組みを用いて最大プーリングと平均プーリングの計算を手作業で実行して出力結果を比較する。
- プーリング層を使わずに、畳み込み層の走査歩幅(ストライド)を大きく設定して画像を縮小するストライド畳み込みの手法と、プーリング層との動作の違いを確認する。
- 画像分類タスクの最終層付近で、特徴マップ全体の平均値を計算して全結合層のパラメータ数を大幅に削減する「グローバルアベレージプーリング」の仕組みへと学習を進める。
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投稿者プロフィール

- 代表取締役
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セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
海外放浪の末、2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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学生時代は趣味と実益を兼ねてリゾートバイトにいそしむ。長野県白馬村に始まり、志賀高原でのスキーインストラクター、沖縄石垣島、北海道トマム。高じてオーストラリアのゴールドコーストでツアーガイドなど。現在は野菜作りにはまっている。

