「著作財産権の共有と著作人格権の共有」を新人エンジニアに解説

こんにちは。ゆうせいです。

著作権には大きく分けて 「著作財産権」「著作人格権」 の2つがあります。
どちらも複数人で共有できる場合がありますが、性質が大きく異なるため、共有の仕方も違います。

1. 著作財産権の共有(可能)

▶ 著作財産権とは?

著作財産権(ちょさくざいさんけん)は、著作物を経済的に利用する権利です。
簡単に言うと、「著作物を売ったり、ライセンスを与えたりする権利」です。

  • 例:音楽の作曲者と作詞者が同じ曲の著作権を持っている
  • 例:複数人が共同で小説を執筆し、著作権を共有する

▶ 共有のルール

著作財産権は 共同著作物 である場合、原則として全員の同意が必要 になります。
これは、日本の民法の「共有物の管理」の考え方と同じです。

ポイント

  • 共有者全員の合意がないと著作権の譲渡やライセンスができない
  • 契約で「持ち分」を決めることも可能
  • 著作権の割合(持ち分)は明確にするべき
  • 持ち分に応じて利益を分配できる

💡 例え話 イメージとしては、「共同で買った家」のようなものです。
家を売るときや貸すときは、持ち主全員の同意が必要ですよね?
著作財産権も同じように、勝手に他人が売ったりできません。


2. 著作人格権の共有(不可)

▶ 著作人格権とは?

著作人格権(ちょさくじんかくけん)は、著作者の「精神的な利益」を守る権利です。
これは「作品がどう扱われるか」に関わるもので、経済的な権利ではありません

  • 公表権:作品を公表するかどうか決める権利
  • 氏名表示権:「誰の名前で発表するか」を決める権利
  • 同一性保持権:勝手に改変されない権利

▶ なぜ共有できないのか?

著作人格権は、著作者の「人格」に密接に関わるため、共有することはできません。
つまり、1つの著作人格権を複数人で持つことは不可能 なのです。

ポイント

  • 著作人格権は個人の人格に関わるので、1人1つ
  • 共同著作物の場合、それぞれが自分の著作人格権を持つ
  • 著作人格権は譲渡・相続できない

💡 例え話 例えば、1つの絵を2人で描いたとしても、
「どの名前で発表するか」「どのように改変するか」については、それぞれの著作者が自分の権利を持つという考え方です。


3. 著作財産権の共有と著作人格権の違い

著作財産権著作人格権
内容経済的な権利(売る・貸す・使用料をもらう)精神的な権利(名前の表示、改変の禁止)
共有可能(共有者全員の合意が必要)不可(個々の著作者がそれぞれ持つ)
譲渡・相続可能(契約次第)不可能(著作者本人のみ)
例え「共同で買った家」「個人のサインや署名」

まとめ

  • 著作財産権は「共有できる」(ただし全員の合意が必要)
  • 著作人格権は「共有できない」(著作者個人が持つもの)
  • 共同著作物の場合、それぞれの著作者が自分の人格権を持つ
  • 著作人格権は譲渡・相続ができないが、著作財産権は可能

共同で作品を作る場合、「誰がどの権利を持つのか」 を最初に決めておくことが大切!
特に著作財産権の扱い(収益の分配など) は契約で明確にしておくとトラブルを防げます。

著作権をうまく管理することで、創作活動をよりスムーズに進められますよ!

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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