研修の効果測定が難しい7つの理由
こんにちは。ゆうせいです。
企業や組織で実施される研修の効果測定って、意外と難しいですよね。「ちゃんと学んでいるのか?」「業務に役立っているのか?」といった疑問を持つ人も多いはずです。なぜ研修の効果測定が難しいのか、具体的な理由を詳しく解説していきます!
研修の効果測定が難しい理由
1. 学習成果が数値化しにくい
研修では、新しい知識やスキルを学ぶことが目的になります。しかし、それが実際に業務でどう活かされているのかを数値で測るのは容易ではありません。
例えば、営業研修を受けた後に売上が伸びたとしても、それが本当に研修の影響なのか、それとも景気の影響なのかを判断するのは難しいです。
具体例:
- 研修後の売上が上がった→ でも、新商品が売れやすかっただけかも?
- 研修後のミスが減った → でも、システム改善があったのかもしれない
このように、研修の効果を切り離して測定するのが困難なのです。
2. 時間がかかる
研修の直後にテストをして知識の定着度を測ることはできます。でも、それが本当に「業務に役立つ形で身についたのか?」を知るためには、長期的な観察が必要です。
例えば、リーダーシップ研修を受けた人が、本当にリーダーシップを発揮できるようになるには数ヶ月、あるいは数年かかることもあります。そのため、研修の効果測定を短期間で終わらせると、本当の影響を見逃してしまうのです。
3. 外部要因の影響を受ける
業務成果は、研修だけではなく他の要因にも大きく影響されます。
例えば:
- 経済環境の変化:市場の成長や不況によって売上が変動する
- 組織の制度変更:新しい評価制度が導入されると、社員の行動が変わる
- 上司や同僚のサポート:職場環境が改善されれば、研修を受けなくても成果が上がることがある
こうした要因を考慮しないと、研修の本当の効果を測ることはできません。
4. モチベーションの影響
受講者のモチベーションが高ければ、研修の効果は出やすいですが、低い場合は学んでも活かされないことがあります。
例えば、以下のようなケースでは効果測定が難しくなります:
- 「研修がつまらない」と感じて、受講態度が悪かった
- 研修内容が実際の業務とマッチしていない
- 研修後にフォローアップがなく、学びが定着しなかった
こうした個人の内面的な要素も、研修の効果に影響を与えるため、測定が困難になります。
5. 適切な測定指標がない
研修の効果を測定しようと思っても、「何を基準に評価するのか?」が曖昧なことが多いです。
例えば、以下のような指標が考えられますが、それぞれに課題があります:
- 受講者の満足度(アンケート)→ 「楽しかった」だけでは業務改善にはつながらない
- 知識の定着度(テスト)→ 研修内容を暗記しても、実際の業務で活かせるとは限らない
- 業務成果への影響(売上や業務効率の変化)→ 研修以外の要因も影響するため、因果関係を明確にできない
このように、何を指標として測るべきかが定まっていないと、研修の効果測定は難しくなります。
6. 学んでも時間が経つと忘れてしまう
人間は、新しく学んだことを時間が経つと忘れてしまいます。この現象は**「エビングハウスの忘却曲線」**で説明されることが多いです。
エビングハウスの忘却曲線とは?
心理学者エビングハウスによる研究では、「人間は学習した内容の約50%を1時間後に忘れ、1日後には70%、1週間後には90%を忘れる」と言われています。
つまり、研修直後に理解できていたとしても、適切な復習や実践がなければ、時間が経つにつれて知識が抜け落ちてしまうのです。そのため、研修の効果測定を行うタイミングによって結果が大きく変わることがあります。
解決策:
- フォローアップ研修を実施し、学んだ内容を定期的に復習する
- eラーニングやクイズを活用し、学習内容を繰り返し確認できるようにする
- 実務での応用機会を増やすことで、知識の定着を促す
研修の効果測定を正確に行うためには、単発の測定ではなく、継続的なフォローが重要になります。
7. 他者からの批判を恐れて「効果があった」と言いづらい
研修の効果測定では、受講者が「研修を受けて成長した」「業務に役立った」と思っていても、それを素直に表現しづらい場合があります。特に、日本の職場文化では**「出る杭は打たれる」**という心理が働きやすく、周囲の反応を気にして正直な意見を言えないケースがあるのです。
なぜ「効果があった」と言いづらいのか?
- 「調子に乗っている」と思われたくない
- 研修後に「すごく役立ちました!」と前向きに発言すると、周囲から「意識高い系だな」「そんなに効果あるわけないだろ」と冷ややかな目で見られることがあります。
- そのため、本当は成長を感じていても、あえて控えめな評価をすることがあります。
- 同僚や上司との関係を気にする
- もし自分が「この研修でスキルアップできました!」と言ったら、「じゃあ、君は研修を受けて成長したんだから、もっと成果を出せるよね?」と期待される可能性があります。
- 逆に、同じ研修を受けた同僚が「何も変わらなかった」と言っていた場合、「効果があった」と言うのは暗に「自分は成長したけど、君は成長しなかったね」と言っているように聞こえるかもしれません。
- 批判されるのが怖い
- 研修の成果をアピールすると、「本当に効果あったの?」「じゃあ、その成果を見せてよ」と周囲から突っ込まれることがあります。
- 「まだ実務で成果が出ていないのに、大げさに言うのはやめておこう」と考えてしまい、結局「まあ、そこそこ役に立ったと思います」と無難な評価をすることになります。
解決策:
- 匿名フィードバックを活用する
- 匿名アンケートを使えば、他者の目を気にせずに本音を伝えやすくなります。
- ポジティブな意見が歓迎される文化を作る
- 研修の成果をオープンに語れる雰囲気を作ることが重要です。「成長したことを認め合う」文化があれば、受講者も安心して意見を言いやすくなります。
- 研修の成果をチーム単位で共有する
- 個人が「効果があった」と言うと周囲の反応が気になるため、「チーム全体の学び」として共有することで、プレッシャーを和らげることができます。
研修の効果測定を正しく行うためには、「正直なフィードバックを言いやすい環境作り」が欠かせません。他者の目を気にせずに、成長を素直に認め合える職場を目指すことが大切です。
研修の効果測定を改善する方法
効果測定をより正確に行うためには、以下の方法を取り入れるのがおすすめです。
1. カークパトリックの4段階評価モデルを活用する
研修の評価モデルとして有名なのが、カークパトリックの4段階評価モデルです。以下の4つの視点で評価します。
レベル | 内容 | 例 |
---|---|---|
レベル1 | 反応(Reaction) | 受講者が研修をどう感じたか(アンケート) |
レベル2 | 学習(Learning) | 知識やスキルが向上したか(テスト) |
レベル3 | 行動(Behavior) | 業務で実際に活かせているか(観察・上司の評価) |
レベル4 | 結果(Results) | 業績や成果に結びついたか(売上・生産性向上) |
単にアンケートやテストだけでなく、業務での行動変容や成果まで確認することで、研修の本当の効果を測ることができます。
2. 研修前後でデータを比較する
研修の前後で、業務成績やスキルの変化を定量的に測ることも有効です。
例えば:
- 研修前後のテストスコアを比較する
- 研修受講者と未受講者の成果を比較する
- 研修後の業務パフォーマンスを追跡する
こうすることで、「研修によって本当に変化があったのか?」をより正確に把握できます。
3. フォローアップを実施する
研修直後だけでなく、一定期間経過後にもフォローアップを行うことで、長期的な効果を測定しやすくなります。
例えば:
- 研修から3ヶ月後に「業務で活かせているか?」を確認する
- 研修受講者同士でグループディスカッションを行う
- 上司や同僚からフィードバックをもらう
研修の知識やスキルが定着し、実務で活用されているかを確認できるため、より正確な効果測定が可能になります。
まとめ
研修の効果測定が難しいのは、以下のような理由があるからです。
- 学習成果を数値化しにくい
- 時間がかかる
- 外部要因の影響を受ける
- モチベーションの影響が大きい
- 適切な測定指標がない
- 学んでも時間が経つと忘れてしまう
- 他者からの批判を恐れて「効果があった」と言いづらい
しかし、カークパトリックの4段階評価モデルを活用したり、研修前後のデータを比較したり、フォローアップを実施することで、より正確な効果測定が可能になります。
研修をより有意義なものにするためにも、効果測定の工夫を取り入れてみてください!
投稿者プロフィール
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セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
この記事に間違い等ありましたらぜひお知らせください。
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