【フリーランス講師必見】入院で貯金が消える?「高額療養費制度」とキャッシュフローを守る手続き完全ガイド
こんにちは。ゆうせいです。
「来週の研修、講師が急病で倒れたらしい」
もし自分がその当事者になってしまったら、と想像したことはありますか。
研修講師にとって、身体は唯一無二の資本です。しかし、どれだけ気をつけていても、突然の手術や長期の入院が必要になることは誰にでも起こり得ます。そんな時、仕事に穴を開けてしまう申し訳なさと同じくらい頭をよぎるのが、「お金」の心配ではないでしょうか。
収入が途絶える中で、何十万円、何百万円という医療費を請求されたらどうしよう。
そんなフリーランスの不安を救ってくれるのが、日本の公的保険にある最強のセーフティネット「高額療養費制度(こうがくりょうようひせいど)」です。
今日は、この制度の仕組みと、私たち個人事業主が絶対に知っておくべき「キャッシュフローを守るための手続き」について解説します。
高額療養費制度とは何か
一言で言うと、医療費の支払いに「上限キャップ」をかける制度です。
たとえ手術代が100万円かかろうが、1000万円かかろうが、あなたが1ヶ月に支払う金額は、ある一定の上限額までで良い、と国が決めているのです。
この上限額は、年収(所得区分)によって異なりますが、一般的な収入の世帯であれば、おおよそ「月額8万円から9万円程度」に収まることが多いです。
もし窓口で30万円請求されたとしても、この制度を使えば、実質の負担は9万円弱で済むわけです。残りの21万円以上は、保険が肩代わりしてくれます。
すごい制度ですよね。これがあるおかげで、日本に住んでいる限り、医療費で破産することはそうそうないと言われています。
計算式を少しだけ覗いてみましょう
一般的な所得(年収約370万円~約770万円)の方の場合、自己負担の上限額は次のような式で計算されます。
少し複雑に見えますが、ざっくり言うと「8万円ちょっと+かかった医療費の1%」だけ払えばいい、ということです。
たとえば、総医療費が100万円かかったとしましょう。
3割負担なら、本来は30万円を窓口で払う必要があります。しかし、この式に当てはめると、
つまり、約8万7千円が上限となります。本来払うはずだった30万円との差額、約21万円以上が戻ってくるのです。
フリーランスが陥る「魔の3ヶ月」
「なるほど、後でお金が戻ってくるなら安心だ」
そう思った方、ここに落とし穴があります。
この制度の基本は「払い戻し」です。
つまり、一度病院の窓口で「3割負担の全額(先ほどの例なら30万円)」を支払い、その後で役所に申請をして、忘れた頃に差額が振り込まれるのです。
振り込みまでの期間は、診療を受けてから少なくとも3ヶ月以上かかります。
我々フリーランスにとって、これは死活問題です。
病気で働けず収入がストップしている時に、手元の現金が数十万円単位で出ていき、それが数ヶ月間戻ってこない。これは企業の資金繰りで言えば黒字倒産のような状態になりかねません。
必須の手続き:「限度額適用認定証」を手に入れろ
そこで、私たち研修講師が絶対に覚えておくべきアイテムがあります。
それが「限度額適用認定証(げんどがくてきようにんていしょう)」です。
これはいわば、水戸黄門の印籠のようなものです。
入院や手術が決まったら、事前にこの認定証を取得し、病院の窓口で保険証と一緒に出してください。
すると、窓口での支払いが最初から「自己負担の上限額(例:約9万円)」だけで済みます。
一時的に大金を立て替える必要がなくなるのです。これなら、手元の資金を大きく減らさずに済みますよね。
手続きの方法
国民健康保険(国保)に加入しているフリーランスの方の手続きは以下の通りです。
- どこで?お住まいの市区町村の役所(国民健康保険の窓口)に行きます。
- 必要なものは?
- 保険証
- 本人確認書類(マイナンバーカードや免許証)
- マイナンバーがわかるもの
これらを持って窓口で「限度額適用認定証が欲しい」と伝えれば、その場で発行してもらえることが多いです(自治体によりますが、郵送の場合もあります)。
また、マイナンバーカードを保険証として利用できる病院であれば、この認定証の手続きすら不要で、自動的に限度額までの支払いで済むようになりつつあります。このあたりはデジタル化の恩恵ですね。
対象外の費用に注意
最後に、この制度でもカバーしきれない費用があることを知っておいてください。
- 差額ベッド代(個室代)「静かな環境で療養したい」と個室を希望した場合の追加料金は、全額自己負担です。1日1万円以上かかることもザラにあります。
- 食事代入院中の食事代は、1食あたり460円(標準額)の自己負担があります。
- 先進医療の技術料保険適用外の特別な治療を受けた場合の技術料も対象外です。
高額療養費制度はあくまで「保険診療」の部分だけをカバーするものです。入院が長引けば、食事代や雑費だけでもそれなりの金額になることは覚悟しておきましょう。
まとめ
今日のポイントをおさらいします。
- 高額療養費制度を使えば、医療費の支払いは月額8~9万円程度で済むことが多い
- 通常の手続きだと「後から払い戻し」なので、一時的に現金が消える
- 「限度額適用認定証」を事前に出せば、窓口での支払いを最初から安くできる
- マイナンバーカードの保険証利用なら、手続き不要で限度額適用ができる場合がある
私たち研修講師は、自分が商品であり、自分こそが最大の資産です。
万が一の時、身体の回復に専念するためにも、お金の不安はできるだけ小さくしておきたいものですね。
「限度額適用認定証」という名前だけでも、頭の片隅に入れておいてください。いざという時、それがあなたとあなたの家計を守る盾になります。
さて、医療費の守りが固まったところで、次は「青色申告」について見直してみませんか?
医療費控除という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、実はこれ、確定申告で税金を取り戻すチャンスでもあるんです。
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投稿者プロフィール
- 代表取締役
-
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
この記事に間違い等ありましたらぜひお知らせください。
学生時代は趣味と実益を兼ねてリゾートバイトにいそしむ。長野県白馬村に始まり、志賀高原でのスキーインストラクター、沖縄石垣島、北海道トマム。高じてオーストラリアのゴールドコーストでツアーガイドなど。現在は野菜作りにはまっている。
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