【研修講師の節税】病院代が戻ってくる?確定申告で「医療費」と「経費」を賢く使う方法

こんにちは。ゆうせいです。

前回は、いざという時のための「高額療養費制度」についてお話ししました。大きな出費を抑える守りの制度でしたね。

今回は、支払ったそのお金を無駄にせず、税金を取り戻すための「攻めの知識」についてお話しします。

フリーランスの研修講師にとって、年に一度のビッグイベントといえば「確定申告」です。

「面倒くさいなあ」とため息をついているあなた。実は、病院で払ったその領収書が、あなたの税金を安くする「プラチナチケット」になるかもしれないことをご存知ですか。

今日は、講師業ならではの「経費」の考え方と、意外と見落としがちな「医療費控除」を組み合わせて、賢く手元にお金を残す方法を解説します。

そもそも「医療費控除」ってなに?

医療費控除とは、簡単に言うと「今年は病院代がたくさんかかって大変でしたね。その分、税金の計算の元になる金額を減らしてあげましょう」という国からの配慮です。

具体的には、1月1日から12月31日までの1年間に、自分や家族のために支払った医療費が「10万円」を超えた場合、その超えた部分を所得から差し引くことができます。

どんなものが対象になるの?

「風邪薬くらいじゃ10万円もいかないよ」と思うかもしれません。でも、この医療費控除、意外と範囲が広いのです。

  • 病院での診察代、治療費
  • 薬局で買った処方箋の薬代
  • ドラッグストアで買った市販の風邪薬や胃薬(治療目的のもの)
  • 通院のために使った電車やバスの交通費
  • (場合によっては)治療のためのマッサージや鍼灸

これらを家族全員分集めると、意外と10万円を超えていることがあるのです。

計算式はこのようになります。

( 支払った医療費の合計 - 保険金などで補填された金額 ) - 10万円 = 医療費控除額

この金額の分だけ、税金がかかる「所得」を減らせるわけです。

青色申告との合わせ技が最強

さて、ここからがフリーランスの本領発揮です。

あなたは「青色申告」をしていますか。もし「白色申告」のままだとしたら、非常にもったいないことをしています。

青色申告とは、少し複雑な帳簿をつける代わりに、税金面で大きな優遇を受けられる制度です。その最大のメリットが「650万円控除」です。

...おっと、間違えました。「65万円控除」ですね。

ただ、売上がそのまま利益になる我々のような仕事にとって、この65万円という金額は非常に大きいです。

この「青色申告特別控除(65万円)」と、先ほどの「医療費控除」は、ダブルで使うことができます。

  1. まず、売上から仕事の「経費」を引く
  2. そこからさらに「青色申告特別控除」を引く
  3. 最後に「医療費控除」などの個人的な控除を引く

こうして残った金額(課税所得)にだけ、税金がかかります。

つまり、引けるものは全て引くのが、節税の鉄則なのです。

研修講師ならではの「経費」の境界線

ここで重要になるのが、ステップ1の「経費」です。

どこまでを経費にしていいのか、迷うことはありませんか。

基本ルールは一つです。

「その支払いは、売上を作るために本当に必要だったのか?」

研修講師の場合、次のようなものが経費として認められる可能性があります。

  • 書籍・新聞代ネタ作りや専門知識のアップデートに不可欠ですよね。「新聞図書費」として計上しましょう。
  • 喉のケア用品プロの歌手や講師にとって、喉は商売道具です。通常の風邪予防とは違い、業務遂行に不可欠だと説明できれば、経費として認められるケースがあります。
  • 外見を整える費用ここは注意が必要です。普段使いできるスーツや眼鏡は、原則として経費になりません。しかし、舞台衣装のような「研修の時にしか着ない特別な服」であれば、「消耗品費」などで計上できる可能性があります。
  • Zoomなどのツール代オンライン研修のための有料プラン料金や、マイク、照明機材などは立派な経費です。

これらを漏れなく計上することで、課税所得を圧縮できます。

医療費と経費は「混ぜるな危険」

ここで一つ、非常によくある間違いをお伝えします。

「病院代も経費に入れちゃえ!」

これはNGです。

ご自身の病気や怪我の治療費は、あくまで「個人的な支出」です。事業の経費(福利厚生費など)にはできません。

事業の帳簿にはつけず、確定申告書の「医療費控除」の欄に書くのが正解です。

ここを混同すると、税務調査が来たときに「これは経費ではありません」と否認されてしまいますので、しっかり区別してくださいね。

住民税や国保料も安くなる?

確定申告で所得(課税される金額)を減らすことのメリットは、3月の所得税が安くなるだけではありません。

実は、その年の6月から支払う「住民税」や「国民健康保険料」も安くなるのです。

これらは全て「前年の所得」を元に計算されます。

つまり、医療費控除や経費をしっかり申告して所得を下げておけば、翌年の固定費がガクンと下がる可能性があるのです。

数万円、場合によっては十数万円の差が出ることもあります。領収書を集める手間をかける価値は、十分にありますよね。

まとめ

今回のポイントを整理しましょう。

  • 年間の医療費が10万円を超えたら「医療費控除」で税金を減らせる
  • 市販薬や通院の交通費も対象になるので、レシートは捨てない
  • 青色申告の65万円控除と組み合わせると、節税効果は絶大
  • 治療費は「経費」ではなく「控除」として申告する

確定申告は、国との知恵比べのような側面があります。

ルールを知っている人だけが得をして、知らない人は損をする。これが現実です。

領収書整理は面倒な作業ですが、「これも自分の手取りを増やすための仕事だ」と割り切って、今のうちから少しずつ準備を始めてみませんか。

さて、税金の話が出たところで、最近フリーランス界隈を騒がせている「インボイス制度」については対策済みでしょうか?

「自分には関係ない」と思っていると、取引先から突然値下げを要求されるかもしれません。

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
この記事に間違い等ありましたらぜひお知らせください。

学生時代は趣味と実益を兼ねてリゾートバイトにいそしむ。長野県白馬村に始まり、志賀高原でのスキーインストラクター、沖縄石垣島、北海道トマム。高じてオーストラリアのゴールドコーストでツアーガイドなど。現在は野菜作りにはまっている。