【初心者エンジニア向け】アンサンブル学習の基本的な考え方と代表的な手法

こんにちは。ゆうせいです。

今日は「アンサンブル学習(Ensemble Learning)」について解説していきます。

機械学習の中でも、実務でも試験でも超重要なテーマのひとつです。
でも「アンサンブルって複数のモデルを使うってこと?」というざっくりしたイメージで止まっていませんか?

この記事では、アンサンブル学習の基本的な考え方と代表的な手法を、図や例を交えながらわかりやすく説明します!


アンサンブル学習とは?

まずアンサンブル(ensemble)という言葉は、「合奏」や「集合体」という意味があります。

つまり、

複数の学習モデルを組み合わせて、精度の高い予測を目指す手法

それがアンサンブル学習です。


なぜ複数のモデルを使うの?

1つのモデルだけだと、過学習(overfitting)やデータの偏りによって失敗することもあります。

たとえば:

  • Aモデル → 画像には強いが音声は苦手
  • Bモデル → 音声には強いが画像は苦手

これを合わせれば、「両方にそこそこ強いモデル」ができますよね!

これは人間でも同じです。
1人の判断よりも、複数人の意見を平均したほうが正しいことってありますよね?
この発想がアンサンブルです。


アンサンブル学習の主な手法

では、実際にどんな手法があるのでしょうか?
大きく分けると以下のような3つの代表的な手法があります。

手法名特徴主なアルゴリズム例
バギング(Bagging)並列に学習、平均をとるランダムフォレスト
ブースティング(Boosting)失敗を補いながら順番に学習AdaBoost, XGBoost, LightGBM
スタッキング(Stacking)複数のモデルの出力をさらに別のモデルで統合Stacked Generalization

では、それぞれの手法を詳しく見ていきましょう。


バギング(Bagging)

Bootstrap Aggregatingの略で、バギングと呼ばれます。英語の【bagging 】には「 袋に入れること」という意味があります。

特徴:

  • 訓練データをランダムに分割して複数のモデルに学習させる
  • 予測結果を平均(回帰)または多数決(分類)でまとめる

例え:

クラスでテストをするとき、クラス全体で一斉に受けるのではなく、
毎回ランダムに10人ずつ選んで別々にテストをして、答えを多数決で決める、みたいなイメージです。

有名なモデル:

  • ランダムフォレスト(Random Forest)

これは、複数の決定木(Decision Tree)を使って構築されるアンサンブルです。ランダムな森なのでイメージそのままですね。


ブースティング(Boosting)

こちらは、前のモデルの間違いを修正しながら、順番にモデルを追加していく方法です。英語の【Boosting】には「押し上げる」といった意味があります。

特徴:

  • モデルは直列に学習される
  • 前のモデルの誤分類を重視して次を作る

例え:

生徒にテストを教えるとき、最初に簡単な問題で理解度を見る。
間違ったところを次の授業で重点的に復習し、さらにその間違いを次で補う、という指導スタイルです。

有名なモデル:

  • AdaBoost(Adaptive Boosting)
  • Gradient Boosting(勾配ブースティング)
  • XGBoost / LightGBM / CatBoost ← 実務でも大活躍!

スタッキング(Stacking)

異なるタイプのモデルを組み合わせて、最終的に1つのモデルでまとめる方法です。英語の【Stacking】には「積み重ねる」といういみがあります。

特徴:

  • 複数のモデルを作る(例:SVM, 決定木, ロジスティック回帰など)
  • その出力を新しいモデル(メタモデル)に入力して最終予測

例え:

いろんな先生(国語・数学・理科の専門家)が別々に採点して、それらの結果を教頭先生が最終判断するようなイメージです。

メリット:

  • 多様なモデルの「良いとこ取り」ができる
  • 複雑な問題に強い

図で比較してみよう

簡単な構成図でイメージを整理しましょう。

バギング(並列型):

Data → モデル1 →  
        モデル2 →  → 平均/多数決 → 最終出力
        モデル3 →

ブースティング(直列型):

Data → モデル1 → モデル2 → モデル3 → 最終出力
        ↑        ↑         ↑
      誤差      誤差       誤差 を補う

スタッキング(多段型):

Data → モデルA →  
        モデルB → → メタモデル → 最終出力
        モデルC →


まとめ

手法学習方式代表的なモデル向いている場面
バギング並列ランダムフォレスト過学習を防ぎたいとき
ブースティング直列XGBoost, LightGBM精度をとにかく上げたいとき
スタッキング組み合わせStackingClassifier等多様なモデルを活かしたい

今後の学習の指針

アンサンブル学習は実務でも最強クラスの手法です。
まずは以下の順番で手を動かしながら理解を深めていくのがオススメです。

  1. ランダムフォレストを使って単純な分類問題を解く
  2. XGBoost / LightGBMの導入と学習パラメータの意味を調べる
  3. スタッキングで複数モデルを組み合わせてみる
  4. 各手法の長所短所を比較し、自分の目的に合った手法を選べるようになる

さらに進むと、「アンサンブルの内部の重み調整」「ブレンディング(Blending)」など、より洗練された手法も学べます。

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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