つながりの質を変えろ!「ネットワーク理論」で目指すプロデューサー型キャリア

こんにちは。ゆうせいです。

みなさんは、「人脈」という言葉を聞いて、どんなイメージを持ちますか?

「パーティーで名刺を配りまくること?」「偉い人と知り合いになること?」

そんなふうに思って、ちょっと気が重くなってしまう人もいるかもしれませんね。実は私も、知らない人がいっぱいのパーティーは大の苦手です。

でも、安心してください。今日お話しする「ネットワーク理論」を使えば、無理に友達を100人作らなくても、キャリアを劇的に面白くすることができます。

キーワードは「プロデューサー」。

テレビ局の人だけではありません。異なる世界をつないで新しい価値を生み出す、これからの時代に最強のポジションについて解説しましょう!


「強い絆」と「弱い絆」どっちが大事?

まずは、ネットワーク理論の基本からお話しします。人間関係を「点(ノード)」と「線(エッジ)」でイメージしてみてください。

あなたは一つの「点」です。そして、友達や同僚と「線」でつながっています。この線には、実は2つの種類があることをご存知でしょうか。

  1. ストロング・タイ(強い紐帯):家族、親友、毎日顔を合わせる同僚など。絆が太く、信頼関係が強い状態。
  2. ウィーク・タイ(弱い紐帯):たまにしか会わない知人、昔の同級生、異業種の知り合いなど。絆が細く、ちょっとした知り合いの状態。

さて、ここで質問です。あなたが「転職したい」とか「新しいアイデアが欲しい」と思ったとき、役に立つのはどちらのつながりだと思いますか?

「そりゃあ、信頼できる親友(ストロング・タイ)でしょ!」

そう思いますよね。でも、社会学者のマーク・グラノヴェッターは驚きの発見をしました。

「新しい情報は、弱いつながり(ウィーク・タイ)から運ばれてくる」

これを「弱い紐帯(ちゅうたい)の強み」と呼びます。

なぜでしょうか?

親友やいつものメンバーは、あなたと同じ環境にいて、同じような情報を持っています。居心地はいいですが、「未知のチャンス」はそこにはありません。

一方で、「たまに会う知り合い」は、あなたの知らない世界(別の業界、別のコミュニティ)に生きています。だからこそ、彼らはあなたにとって「予想外のニュース」を運んでくれる運び屋なのです。

情報の価値 \propto つながりの遠さ

遠くからの情報ほど、あなたにとって新鮮で価値がある可能性が高いのですね。


「隙間」を埋めるプロデューサーになれ

では、この理論をどうキャリアに活かせばいいのでしょうか。ここで目指すべきなのが「プロデューサー」という役割です。

ネットワーク理論には「構造的空隙(こうぞうてきくうげき)」というカッコいい専門用語があります。英語では「ストラクチャラル・ホール」と言います。

簡単に言うと、「グループAとグループBの間にある、つながっていない隙間」のことです。

  • グループA:最新のIT技術に詳しいエンジニア集団
  • グループB:美味しい野菜を作っている農家集団

この2つのグループは、普通にしていたら出会うことはありません。会話も通じないかもしれません。ここに大きな「隙間(ホール)」があります。

もしあなたが、この隙間に橋を架ける存在になれたらどうなるでしょう?

「ITの力を使えば、野菜の収穫時期をもっと正確に予測できますよ!」と農家に提案し、エンジニアには「農業の現場には、君たちの技術を活かせる課題が山積みだよ!」と伝える。

こうして、「アグリテック(農業×IT)」という新しいプロジェクトを立ち上げる。これが「プロデューサー」の仕事です。

プロデューサーの価値は、自分自身がすごい技術を持っているかどうかではなく、「誰と誰をつなげたか」で決まります。

価値 = 異なる要素 \times 組み合わせ

足し算ではなく、掛け算を起こす触媒(しょくばい)のような存在。これが、市場価値の高いプロデューサーの正体なのです。


「つなぐ人」のメリット・デメリット

このポジションを目指すことには、大きなメリットと、覚悟すべきデメリットがあります。

メリット:情報の交差点になれる

あなたはグループAの情報も、グループBの情報もいち早く知ることができます。情報の「ハブ(中心)」になることで、多くの人があなたを頼るようになり、自然とチャンスが集まってきます。「あいつに聞けば、面白い人を紹介してくれる」という評判そのものが、あなたの資産になります。

デメリット:板挟みのストレスと「器用貧乏」

異なる文化を持つグループをつなぐのは大変です。両方の言葉を翻訳し、誤解を解く調整役にならなければなりません。また、「で、あなた自身の専門性は何なの?」と聞かれたときに、答えに窮する「器用貧乏」になるリスクもあります。自分の軸足をどこかに持ちつつ、越境することが大切です。


今後の学習の指針

いかがでしたか?

「プロデューサー」といっても、特別な才能が必要なわけではありません。意識を「内側」から「外側」へ向けるだけでいいのです。

明日からできるキャリア戦略のアクションプランを提案して、締めくくりたいと思います。

  1. 「いつものメンバー」から離れてみる:ランチや飲み会、いつも同じ顔ぶれではありませんか?たまには違う部署の人や、社外の人と話す機会をあえて作ってみましょう。
  2. 「通訳」になる練習をする:専門用語を使わずに、自分の仕事の内容を、全く違う業界の人(例えばおばあちゃんや子供)に説明できますか?異なる世界をつなぐには、この「翻訳スキル」が不可欠です。
  3. 「あの人とあの人」を思い浮かべる:あなたの知り合いの中で、まだ出会っていないけれど、会わせたら面白そうな2人はいませんか?もし思いついたら、紹介してあげてください。そこから新しい何かが生まれるかもしれません。

あなたが動くことで、世界がつながり、新しいワクワクが生まれます。

自分という「点」を起点に、素敵な「線」をたくさん描いていってくださいね!

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
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