【小規模企業共済】貸付制度を借り換え続けるとどうなる?フリーランス講師が陥る「落とし穴」

こんにちは。ゆうせいです。

フリーランスの研修講師として活躍されているあなたなら、入金サイトのズレに悩まされた経験が一度はあるのではないでしょうか。

「あの大手企業からの研修費、入金されるのは翌々月末か…」

そんなとき、手元の資金繰りを助けてくれるのが小規模企業共済の「貸付制度」です。審査なし、低金利で、積み立てた掛金の範囲内でお金を借りることができる、まさに魔法のような制度ですよね。

でも、この魔法、使い続けるとどうなるか想像したことはありますか。借りては返し、返してはまた借りる。これを延々と繰り返したその先に待っている未来について、きょうは少し怖いけれど大切なお話をします。

そもそも貸付制度とは?

まずは基本のおさらいです。小規模企業共済には、積み立てた掛金の範囲内(掛金総額の7割から9割ほど)でお金を借りられる仕組みがあります。これを「契約者貸付制度」と呼びます。

銀行の融資と違って審査がなく、最短で即日にお金が振り込まれるため、急な出費やつなぎ資金として非常に便利です。

しかし、これはあくまで「借金」です。当然、利息がつきます。

現在の一般貸付の年利は1.5パーセントです。

たとえば、100万円を借りた場合、1年後には利息を含めて返済する必要があります。

返済額 = 1000000 + ( 1000000 \times 0.015 )

つまり、1年後には101万5000円を返さなければなりません。ここまでは大丈夫ですよね?

「借り換え」を繰り返す永久機関のワナ

さて、ここからが本題です。

1年後、手元に現金がなく、この101万5000円が返せないとしましょう。

この制度には「借換(かりかえ)」という仕組みがあります。これは、新しい借金をして、古い借金をチャラにする方法です。現金を用意しなくても、書類一枚で返済期限を先延ばしにできるのです。

「なんだ、それならずっと借りていられるじゃないか!」

そう思いましたか?ここに大きな落とし穴があります。

借り換えをするたびに、利息は元金に組み込まれていきます。つまり、雪だるま式に借金が増えていくのです。

1回目:100万円借りる

2回目:101万5000円に膨らんだ借金を、新しい借金で相殺する

3回目:さらに利息がついた金額を、また新しい借金で…

これを延々と繰り返していくと、どうなると思いますか?

最終的に待っている「強制相殺」という結末

結論を言います。このサイクルを繰り返すと、いつか必ず「借りられる上限額」に達します。

あなたの積み立てた掛金には限りがあります。借金の額がその上限を超えてしまった瞬間、もう借り換えはできません。

そのとき、現金で返済できなければどうなるか。

「償還(しょうかん)事故」、いわゆる強制的な精算が行われます。

これは、あなたがコツコツ積み立ててきた大切な「退職金」から、借金の額が強制的に差し引かれることを意味します。これを「相殺(そうさい)」と言います。

これの何が恐ろしいか、わかりますか?

1. 退職金が消えてなくなる

老後のために積み立ててきたはずの数百万、数千万円が、借金の返済に充てられて消滅します。将来受け取るはずだった現金が、今使った借金の穴埋めに消えてしまうのです。

2. 元本割れのリスク

もし、この強制精算のタイミングが加入から20年未満だった場合、ペナルティが発生します。積み立てた掛金の総額よりも、差し引かれる評価額の方が低くなってしまうのです。つまり、ただ損をして終わります。

3. お金がないのに税金がかかる

これが一番のホラーです。

借金と積立金が相殺されたとき、税務上は「解約手当金を受け取った」とみなされます。

実際には手元に1円も現金が入ってきていない(借金とチャラになっただけ)のに、帳簿上は数百万円の収入があったことになり、その翌年にドカンと所得税や住民税の請求が来る可能性があるのです。

手元にお金がないのに、税金を払えと言われる。これこそが、貸付制度を安易に繰り返した末路です。

メリットとデメリットを再確認しよう

脅かすような話をしてしまいましたが、この制度自体は素晴らしいものです。正しく使えば、フリーランス講師の強い味方になります。

メリット

一時的な資金不足を、銀行に頭を下げずに解決できます。研修費の入金が遅れているときなど、数ヶ月で返せることがわかっているなら、これほど便利なものはありません。

デデメリット

無計画に借り続けると、複利効果で借金が膨らみ、最終的には自分の退職金を食いつぶします。そして最悪の場合、予期せぬ税金地獄に陥ります。

私たちフリーランス講師はどう付き合うべきか

小規模企業共済の貸付は、「自分の未来からの前借り」です。

あなたにお伝えしたい指針はこれです。

「返せるあてがある時だけ借りる。そして、借りたら最優先で現金を返す」

借り換え(借金のジャンプ)は、どうしても現金がないときの緊急避難措置です。それを常態化させてはいけません。

もし今、借り換えを繰り返しているなら、少しずつでも現金で元本を減らす計画を立ててください。未来のあなたが、「あのときちゃんと返しておいてよかった」と笑顔で引退できるように。

あなたの講師としてのキャリアが、最後まで豊かなものであることを願っています。

次のステップとして、現在のご自身の「貸付限度額」と「貸付残高」をマイページや通知ハガキで確認してみませんか?

セイ・コンサルティング・グループでは新人エンジニア研修のアシスタント講師を募集しています。

投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
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学生時代は趣味と実益を兼ねてリゾートバイトにいそしむ。長野県白馬村に始まり、志賀高原でのスキーインストラクター、沖縄石垣島、北海道トマム。高じてオーストラリアのゴールドコーストでツアーガイドなど。現在は野菜作りにはまっている。