【研修講師の極意】なぜ一流の講師はマジシャンなのか?受講者を熱狂させるエンターテイメント技術

こんにちは。ゆうせいです。

突然ですが、みなさんに質問です。

人前に立って何かを教える研修講師と、ステージ上で不思議な現象を起こすマジシャン。この二つの職業には、実は驚くほど多くの共通点があることをご存知でしょうか?

えっ、全然違う仕事じゃないの?と思われたかもしれませんね。

しかし、受講者が思わず前のめりになってしまうような一流の講師は、例外なく優れたエンターテイナーであり、マジシャンのような技術を使いこなしているのです。

今日は、研修講師という仕事を、マジックというエンターテイメントの視点から解き明かしてみましょう。これから人前で話す機会がある方、あるいはもっとプレゼンが上手くなりたいと思っている方にとって、目からウロコの発見があるはずです!

研修講師とマジシャンを結ぶ意外な共通点

まずは、この二つの職業が似ている点についてお話しします。最大に共通しているのは、アテンション・コントロールという技術です。

これは専門用語で、日本語では「注意の制御」や「注目の誘導」と訳されます。

マジックの世界ではミスディレクションという言葉がよく使われます。これは、観客の注意をある一点に集中させることで、タネや仕掛けのある場所から意識を逸らす技術のことです。例えば、右手のハトに注目させている間に、左手でコインを隠すような動きです。高校生のみなさんなら、バスケットボールのフェイントを想像してください。相手の意識を右に行かせると見せかけて、左に抜く。あれも一種のアテンション・コントロールです。

研修講師も、まったく同じことをしています。

ただし、講師の場合は隠すためではなく、重要なポイントを際立たせるために使います。

スライドの一部分を指差して「ここを見てください」と言ったり、急に声を小さくして「実はここだけの話ですが」と囁いたりする。これらはすべて、受講者の意識をコントロールし、本当に伝えたいメッセージを確実に届けるための技術なのです。

みなさんも授業中、先生が急に黒板を強く叩いたとき、ハッと顔を上げた経験はありませんか?あれこそが、アテンション・コントロールの瞬間です。

決定的に異なるゴール地点

共通点がある一方で、両者には絶対に間違えてはいけない決定的な違いがあります。それは、ゴール地点の設定です。

マジシャンのゴールは、不思議や驚きを提供することです。

「なんでそんなことが起きるの?」「タネがわからない!」と、観客を謎の迷宮に連れて行くことが成功です。

一方で、研修講師のゴールは、納得や理解を提供することです。

研修が終わった後に「結局、あの講師は何が言いたかったんだろう?謎だ」と思われてしまったら、それは講師としては大失敗です。

つまり、技術としての「惹きつけ方」は同じでも、その先にある目的が真逆なのです。

  • マジシャンは、タネを隠して不思議を残す
  • 研修講師は、タネ(理屈)を明かしてスッキリさせる

この違いを理解していないと、ただ面白おかしいだけで中身のない研修になってしまいます。

エンターテイナー型講師のメリットとデメリット

では、マジシャンのようなエンターテイメント性を研修に取り入れることには、どのような良し悪しがあるのでしょうか。ここをしっかり押さえておきましょう。

メリット

最大のメリットは、受講者のエンゲージメントが高まることです。

エンゲージメントとは、本来は「約束」や「契約」という意味ですが、ここでは「没頭度合い」や「参加意欲」と捉えてください。要するに、前のめりになって聞いてくれる状態のことです。

話がつまらないと、人はすぐに眠くなりますよね。でも、まるでマジックショーを見ているかのようにワクワクする展開であれば、眠気なんて吹き飛びます。感情が動くと、記憶にも定着しやすくなるという効果もあります。「あの時の話、面白かったな」という感情とともに、学習内容が深く刻まれるのです。

デメリット

一方で、デメリットも存在します。それは、パフォーマンス過多による本質の欠落です。

演出や話し方の面白さばかりに力を入れすぎて、「楽しかったけど、明日から何をすればいいんだっけ?」と受講者が路頭に迷ってしまうケースです。これをエデュテインメントの罠と呼ぶこともあります。エデュケーション(教育)とエンターテインメント(娯楽)を融合させた素晴らしい手法ですが、バランスを崩すとただのショーになってしまいます。

あくまで主役は「学び」であり、エンターテイメントはそれを届けるための「配送トラック」に過ぎないことを忘れてはいけません。

今後の学習の指針

いかがでしたか?研修講師とマジシャン、一見遠い存在のようで、実は「人の心を動かす」という一点で深くつながっていたのです。

もしあなたが、これから人前で話す技術を磨きたいと思うなら、ぜひ次のステップに進んでください。

それは、自分のお気に入りのYouTuberや芸人、あるいは学校の先生を「観察」することです。

漫然と見るのではなく、「今、なぜこのタイミングで間を空けたんだろう?」「なぜここで声を大きくしたんだろう?」と、その裏側にあるアテンション・コントロールの意図を探ってみてください。タネ明かしをするような気持ちで観察することで、あなたの伝える力は飛躍的に向上しますよ。

さあ、次はあなたが誰かを惹きつける番です。恐れずに、エンターテイナーへの第一歩を踏み出してみましょう!

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
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